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クリスと誠


誠の中の熱さを拳で感じるクリス

彼も全身全霊でそれに応えるかの様に殴り合う


疲弊した体に拳の威力は半減するも彼等は想いを

拳にのせ体と心で語り合う。


クリス(こんな戦い初めてだな……)


生かす為の戦いだった。


諦めは終わりを意味する、それは命のやり取りで

あろうが、仕事であろうがゲームであろうが

同じだった。


耳から流れる故郷の音楽に体を震わせ戦う

『守りたいものは何なのか』

『何戦うのか』


(母さん……ソフィア……ハクに誠、健

ははっ増えてるな……)


(そもそも何で俺はコイツ等を守りたい?

裏切らないから?)


「……」


(以前にもそれは考えたっけな……裏切る前提が

ないコイツ等との関係)


(だが何故俺は……戦う、そして何で今痛い思いを

してるのにこんなに心地良い?)


誠の渾身のパンチを腹に受けうずくまり

倒れるクリス


(オェ……気持ちわり)


砂を噛む口から血が流れる


(苦しいな……やめちまいたいな、何もかも捨てて

楽に……なりたい)


(楽か……へへ、辞めたいか、そしてら皆んな

終わってしまうのかな?母もソフィアもハクも

誠も健も輝子さんも……)


「誠が何か叫んでるな……」


「暑苦しい奴だ……全く、コイツは何でこう諦めが

悪いのか?頭悪いのは知ってるが」


(そもそもなんでコイツは俺と戦ってる?

コイツにメリットなんかねぇ筈だ、まだこれから

熊との戦いを前にして体力を消耗する事に

何の得があるってんだ)


戦いとは無関係に音楽は彼の耳から心に響く

そして音楽は彼の好きだった幼き日に憧れた

ヒーローモノの音楽へと変わる。


(俺の好きだった曲だ……大人なのに変だぜ?

って仲間に笑われた曲だ、しばらく意識して

聞いてなかったな)


胸倉を捕まれ再び殴られる、しかしクリスも応戦

誠は地面へと這いつくばった。


クリス(もう立つなよ……めんどくせーからよ)


だが誠は何度でも立ち上がる。


クリス(そういやヒーローも何度も倒されてたな

でもその度に強く立ち上がった……そう今の誠の

様に……)


(迷いが無いのかこのバカは……俺は……)


(母さん、ソフィア、ハク、誠、健が殺されて

も良いのか?)


音楽が彼の中の何かに響く……


(嫌だ……)


(嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!)


「嫌だ‼︎」


思わず言葉に出た


そして今迷いが消える


(誰かの為……それも正解だろう

自分の為……それも正解だろう

そしてそれに理由をつける事が必要か?)


「……」


押され気味のクリスだった


「クソ何故立つ……そして俺とコイツの戦闘能力は

差はない筈だ、だが何故か勝てる気がし無い」


「何処に差がある!」


そして音楽は移り変わり彼が最も愛した母の

好きだったバラードへと変わる。


「……」


母「私には貴方が全てなのよ……」


幼き日に聞かされた母の言葉に心震え、絶大なる

安心感の言葉に全てが解かれた。


「理由なんかいらねぇ……諦めは終わり

其処に大切なものがあるならば迷いや理由は邪魔な

だけ……」


(此処に来る前に無我夢中で駆けた感覚……

そうか……考える事自体が無意味なんだ)


『ただ自分の中にある失えない大切なモノ』それが

他人であろうが自分であろうがそこに理由をつける

意味はねぇんだ……だから苦しい時、俺は迷い、

奴は迷わない、迷わないから後の事も無い苦しいと

思う事より辛い事より何時でもその先頭にある物に

ブレが無いから強いのか……

何度でも立ち上がる筈か……」


『考えるのはやめだ』


「失いたくないなら道は一つしか無い!」


言葉には明確には出来なかった、

だが彼の中に決意と言う信念が今確信となって

音楽と共に向かい合った自分を奮い立たせた。


「誠……ありがとな、聞こえてねぇだろうが

そう言う事なんだな……言葉には出来ねぇ、俺も頭

悪かったみたいだわ、だが理解した、しっかりと」


「母さん、ソフィア俺諦めてたケド何とかして

探し出して見せるよ、奴らの様に、結果が

どうであれ……生きてると信じて」


「その時に俺は堂々と2人の前に立てる強き自分に

なって見せる!」


音楽は再びヒーローモノに

「守りたいモノの前に恥も悩みも葛藤も邪魔だ

泥臭くて結構、その全てが自分を奮い立たせる餌だ

挫折も混沌も俺が産んでる産物なんだ!」


「俺に足ら無いモノ勝て無いモノは『決意』

上手く説明できねぇが、漠然だがそう言う事

なんだな……」


顔つきが変わったクリスを見てニヤリと笑う誠が

大振りの拳をクリス目掛け顔面を捉えた、また

クリスも同じ動作で彼の顔面に拳をぶち当て

2人は同時に倒れた……


ハク「決着はついたみたいだね」

「熊さん僕達も決着をつけよう」


ハクは目の前の熊を見た

熊は目を前足で覆い暴れていた

ハクは子供等が普段集会所で遊んでいた水鉄砲を

借り、その中に唐辛子や激辛で有名なスコーピオン

の辛味調味料を茹で入れた液体を中に入れ熊の目に

向けて撃っていた。


ハクの手に持たれた杭を熊の左横から心臓にめがけ

一気に熊に向け突き刺した。


ハク「……ゴメンね、でも人を襲った熊はまた人を

襲う……君はもう熊では無いんだ」


「だけどゴメン……」


悲しげな目をするハクだった。


誠とクリスはmp3を耳から外しハクの元へと

駆け寄った。


誠「おいお前、熊居たのなら言えよ!」

クリス「病み上がりで熊を1人で退治するなんざ

馬鹿のする事だ!俺達をもっと信用しろ!」


ハクは怒られた


クリス「……しかも水鉄砲で倒すとは……

さっきといい」


誠「こーゆー奴なんだわ、最早、戦闘能力とか

そういう類のもんじゃねーんだコイツは」


「しかし相変わらず空気の読めねぇ奴だな、

ははっ」


ハク「へへっ」


だが全てが正解だった、クリスの覚醒により

戦闘値は跳ね上がり、彼等自身の命をも

一見無駄に思えるタイマンが全ての生存率を

跳ね上げたのだった。


誠「だがサンキューな!」


クリス「……バリショイエ スパシーバ」


誠「なんだスパシーバ?あれかスパゲティか」


クリス「ふふ……やはりお前は馬鹿だな」


誠「……タイマンが足らねーよーだな」

「日本語で言え馬鹿野郎、お前はやはり面倒臭い

奴だな」


「……ククク」


クリス「ハハハッ」


そして笑う3人の前に熊がまた現れる


誠「おいおい何匹いやがるんだコレ」

クリス「確認されてるだけでも20匹らしい」


誠「多っ!」


ハク「大丈夫、どんなけ敵が居ようと人が

結束すれば熊に勝てない通りは一つもないよ」


「人の最大の強さは団結と自ら考え行動出来る

事なんじゃ無いかな」


「じゃお願いしまーす!」


手を高々と挙げた瞬間熊に向け無数の槍が3人の

頭上を越え熊に向かい放たれた。


『グガァ!』


誠  「へ?」

クリス「へ?」


放たれた槍数本が熊に刺さる、そして倒れた。


ハクの後ろに集会所の人々が沢山集まっていた。


ハク「皆さん待ってくれてありがとう!」


誠「……おいおい皆んなさっきのタイマン

や……やり取り見てたのか?」


クリスは顔を真っ赤にしていた。


「は、恥ずかしい……」


ハク「にゃはは」


ハク「さぁ!皆んなで反撃開始だ!」


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