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籠城終結


ハクの体調を最優先に考える2人は

まだ体の弱ったハクを連れて

照子さんが居る集会所へと向かう事に合意した。

支度を済ませ、誠がハクを背負うも体重の重さを

感じない誠が心配そうにハクをシッカリと支えた。


誠「おいおい軽いな……大丈夫か、しっかり休めよ、

おいテメェ何があったかしらねぇが、

守ってくれてたんだよな……」


「礼言っとく、ありがとな」

クリス「……」

「お前に礼を言われる筋合いはない」


まだ人馴れしていないクリスは素直な気持ちを

表現する誠に対してどう接して良いか解らず

気恥ずしい気持ち、ハクを追い詰めた事に対する

罪悪感もあり困惑していた。


誠「……ヌググ可愛くねぇ奴だな!」

ハクを背負いながらクリスに顔を近づけ

眉を細め睨みを効かす誠、

いわゆるメンチというヤツだ。


実に解り易い行動をする誠に興味もあった。

顎に手を置きマジマジと誠を観察したクリス


クリス「いわゆるヤンキーて奴か……

漫画やゲームで出てくる

最初の雑魚キャラってとこか」

「品の無い顔……髪型……眉の細さ……

雑魚キャラの完成度が高く素晴らしい

完璧だな、お前……」


此処は素直なクリス

誠「ななななんだと!テメェ!れっ冷静に人を

観察してんじゃねーよ!

しかも絶妙に具体的なんだよ!

ぬぉぉお!可愛くねぇぇえ!

テメエ後でシッカリあの時の続きだ覚えとけ」

名一杯のメンチを切り威嚇する誠に含み笑いを

見せ一言呟いた。


クリス「すまん……礼は言う必要は無ぇって事だ」

「守られてたのは俺の方だ」

誠「……」

「ケッ……素直なんだか、ひねてんだか

めんどくせー奴だなお前」


クリス「お前は実にシンプルだな」

誠「駄目だ……お前と話してると目眩が」


誠の背中でクスクス笑うハク

ハク「仲良いねえ~息ピッタリだね~」


誠  「何処が!」

クリス「何処が!」


ハク「……ほらね」


誠  「……」

クリス「……」

ケタケタ笑うハクを見て何だかんだ言いながらも

元気そうな彼に安堵する2人だった。


大通りを抜け民家の少ない場所へと通路を通る3人

誠(しかしコイツ……ガリガリだな、

そこまでして守ってたと言う事か……ハクを)

痩せたクリスに状況が大変だった事を察した

誠が声を掛ける。


誠「お前、集会所に着いたら

ちゃんと飯食えよ……」

クリス「……あぁ」

「……だが」

「俺がコイツをここまで追い詰めた様な物だ……

こうなった経緯を聞かないのか?

聞いたら……お前は俺を敵と見なすだろうよ」


気にするクリスを高笑いで一蹴する誠

誠「……経緯なんて知ってどうする?

お前は現にハクを守ってたじゃねーか」


「ハクは笑ってる、それが現実だ

くだらねえ事聞いてんじゃねぇよ」

クリス「……」

「くだらない事か……」

「成る程な、お前もハクや晴の仲間だったな」

優しい顔で少し微笑むクリス


「だが甘い、甘すぎて笑える」

誠「……お前一言多いって言われんだろ!

その言葉呑みこんどいてやる、今はハクだからな

元気なったら再戦だぞテメェ

その甘さの強さ糖尿病なるまで叩き込んぢゃる!」


クリス「……」

「甘さか俺の国では殆ど無かったな

楽しみにしとくぜ」

誠「……怖っ!Mかお前は」

クリス「ばーか、甘すぎるから俺が現実の劇辛を

たらふく食わしてやるって言ってんだよ」

誠「うギャァああ!腹立つこの野郎!」

ハク「調味料対決!激甘VS激辛」

「混ぜると絶妙な味がしそう」


誠   「キムチか!」

クリス 「キムチか!」

言い合いは集会所に着くまで続いた、ハクは

笑い転げ、いつしか眠っていた。


照子さんは周りの人々に話を通してくれた様だ

老人が大多数占める集会所である。

町から然程離れて居ないこの場所は建物はそこそこ

存在し、幾つかの民家や路地を抜け、然程壊れて

居ない、道路設備も良く、いい場所だった。


都会から離れた場所は若者が少ない、老体に鞭打ち

其れでも彼等は避難民を受け入れる体勢を

整えようと奮闘していた証拠である。


だがゾンビの数が小さな町だとしても極端に少ない

事が彼等には少し気にかかっていた。

集会所は以前訪れた美優達の居た公民館同様、

作物が周りに植えられ、環境は良かった。

だが集会所は暗く、少し嫌な雰囲気の中

2人は奥へと通された、


誠「……」


ハクは看病の為別室で寝かされる事となった。

食事が用意され、2人は鍋をいただいた。

鹿肉鍋だ、久しぶりの豪華な肉に誠は『遠慮』等

微塵の無い位にガッツリ食う。


誠「うめっ!おばちゃん!おかわり!」

遠慮の欠片も無い誠に呆れ顔のクリス

クリス「お前少しは遠慮ってものをだな……」


クリスの肩を叩く照子さんは言った。

照子「良いんだよ、若い者がこれからの時代を

作るんだから、私達にできる事はさせておくれや」


クリス「……」

誠「てこった!お前食わないなら俺が貰い!」

クリス「このボケ!」

そう言いながら誠の頭を叩くが怯まず食い続ける誠


クリスが誠の耳を引っ張り小声で話す。

クリス『他の人の鍋見ろや!具材が俺らと

段違いで質素だろうが!無理してんだよ!

だから少しは遠慮しろってんだ!このヤンキー!」


それでも食うのを辞めない誠が小声で言った。

誠「……だからだよ」


クリスには意味が分からなかったコイツ本当に

頭おかしいのか、もしくはクズなのかとも思った。

誠「ゲップ……ゴチソー様!」


「さて……」


誠「照子さん、ハクを受け入れてくれて有難うな、

俺達に出来る事があったら何でも手伝うぜ!

其処の日本人の顔したエセ外人もだ!」

クリス「は?俺もか!」

誠「たりめーだろ!感謝には感謝で返す!

コレが人ってもんだろーが」

クリス「……だりい風習だな」

誠「やんだろ?どうせ……」

ニヤリとクリスを見て含み笑いする誠


クリス「……ケッ」

誠「で?照子さん、何でもやるぜ、困った事

言ってみな!」

照子「……困った事はあるけどねぇ、

あんた達を危険に晒すわけには行かないわ……」

誠「俺は遠慮無しに飯を食った!ばぁちゃん達も

俺達に遠慮無く用事を言う、お互い様だ!」


誠「それに老人が頑張ってんだ、

危険な事なんだろ?

そう言うのは若者の仕事なんだよ

ホレ、言ってくれ!」


照子「実は……ここら辺一帯は人が少ないから

ゾンビ自体は少ないんだけどねぇ……

若い衆が居なくなった原因が……

熊が出るんだよ……その熊はゾンビ化

してるような目が真っ赤で、動きも早いんだ

犠牲者は増える一方でな……」


誠「熊退治か……わかった!任してくれ!

という訳だ、クリス、飯詰め込むだけ腹に詰めとけ

体力仕事にエネルギーは必要だからな、食える時に

食って倍返ししよーぜ!俺達の大事なもん守って

くれる彼等に報いる為にもよ……」


クリス「……」

クリスは誠の真意を理解した、

止めた箸を再び握ると誠さながらに飯を

食いまくった。


クリス(やっぱハクの仲間だわコイツ)

ニヤリと笑いながら食うクリスの横で誠が

同じくニヤつく


クリス(だが……何故かコイツはムカつく)

それを察してか誠が更にニヤつく

クリス(……ドS決定)


こうして夜を迎えハクは別室で照子さんの

看病の元、寝ていた。

別室で誠、クリスが計画を練る為に集まり、

デスクの上に町周辺の地図を開く。


誠「おう、気付いたか?」

クリス「……あぁ照子さんの事だろ?」

誠「察しが良いな、おそらく住民の反対に

あったんだろな、他の大半の人の視線は

俺達を良くは見てなかった」

クリス「あぁ、さっきも廊下での話、俺も聞いた、

余所者を勝手に入れて大切な飯まで食わした

裏切り者だってさ」


誠「……あぁまぁそれも正論だ、仕方ねぇ、

だからこそ俺達は熊退治、失敗する訳にはいかねぇ

照子さんの為にもだ」


クリス「あぁ俺達を入れてくれた照子さんの

判断が正しかった事を証明しなきゃな、

だからあんな飯食ってたのか」


誠「あぁ倒れてるゾンビも含め被害者の

傷みたらな……ありゃ人間の力で出来るもの

じゃ無い、明かに爪創だった」


クリス「しかしゾンビやら異星人やら人間に

野生動物か……なんでもありだな……」

「戦いに次ぐ戦い……か」

誠「こんな時代だトラブルが無いって事の方が

珍しいってもんだろーが」

誠「もう常識は通用しねぇ世の中だ、

お前の腕はタイマンの時に理解した、

お前が一緒ならこの仕事、不可能って事はねぇ」


クリス「簡単に俺を信じ……」

言いかけた言葉を飲み込んだ……

クリス「……必ず結果は出す」

誠「そうこなくっちゃな!終わったら

タイマンだかんな!忘れんなよ」


クリス「しつこいなお前……」


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