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助成


しかし銃弾が捕らえた物はハクではなく佐々木の

ライフルだった、佐々木のライフルの弾丸はその

火を噴くことなくゾンビ集団の中に埋もれていく

怪訝な表情を浮かべ佐々木の視線はハクの方向を

向いてはいなかった、


佐々木「……何でこうなる?」

「……栗栖、お前だろう、どう言うつもりだ」


その視線の先は横転したトラックの上に居た栗栖

に向けてであった、構えたライフルの銃口は確か

に佐々木に向けられていたからである。


やれやれと言った顔で呟くーー

栗栖「……つまんねーんだわ、お前のやり方がな」

佐々木「何だ?あのゾンビの話か、頭にウジ湧い

てんじゃねーか?俺が勝手に細工したのが気に入

らねぇってのかよ、お前と俺の何に違いがある?

あれか、冒涜ってヤツか?」


栗栖「あぁ綺麗事は言わねぇ、お前と俺、他人か

ら見たら同じだろうからな、だけどよ、俺も頭悪

りぃから上手く説明出来ないんだわ」


「俺の育った町はお前らが知ってる通りそりゃ酷

いモンだったさ、命の重さなんて考えた事も無い

……いや考えたら多分俺は既にこの世には居なかっ

たかも知れない」


「マフィアにいた時もそうだった、日本で言うヤ

クザか……仲間と呼べる奴はいない、隙を見せる

と殺されるからな……」

ハク「……」

栗栖「暴力が全て……そんな世界だった、いつも

独りで生きてきた、この日本に呼ばれた時は嬉し

かった、噂の平和な日本はどうなんだろうなって」


「だが、答えは同じだった、裏切りや上辺だけの

人、人、人の山だ、俺は思った、場所が違えど、

平和に見える日本ですら……事の根本は変わらね

ぇ、と、だから俺はこの日本を作り直すって兄貴

の誘いに乗ったんだ、だけど日を追う毎に、兄貴

のやり方で統制された日本に人としての暮らしが

あるか、と」


栗栖は佐々木を指差し言った。

「特にお前らだ……この日本を作り替える人間が

コレでいいのかってな」

佐々木「何がいいてぇ?」

栗栖「……」

「……てめぇ、裏切るつもりか」

栗栖「まぁどうとでも取ってくれ、どうせ日本は

終わりだ、俺は今から好きに生きさせて貰う、折

角、自由になったんだ、法も、秩序も無い、人間

の未来も無い」


「好きに生きて散っていくさ、ほら俺の方見てて

いーのか?奴らが動き出したぜ」

ハクは内輪揉めしている姿をチャンスとばかりに

一斉に指示を出していた、先ずは晴達を守る為、

陸と共に彼等に近寄りそうなゾンビを片付けて

行く。


佐々木「チッ!お前の事は兄貴に報告する、お前

はもうお終いだ、兄貴も今度ばかりは許しはしな

いだろう、掟は知っている筈だ、俺が必ずぶち殺

す」

そう言い放ち、ハク達の方へと急ぎ駆けてゆく佐

々木。


背中に背負ったマチェットを抜き、鎧男と合流

佐々木「佐藤、栗栖が裏切りやがった」

鎧男「は?どうなってんだ、アイツらにあってか

ら何もかもうまく行かねぇじゃねーかよ」

佐々木「どいつもこいつもムカつく、ウゼェ……」

爪の先を噛み苛立ちを露わにする佐々木、


鎧男「どうする、ゾンビの大半は奴らのロープに

絡み付いて動けないぞ、残りのゾンビも大半やら

れたようだ……」

佐々木「奴等は許さねぇ……それにゾンビは直ぐ

に集まるさ、有利には変わらねぇ……見ろ」


武装ゾンビに向かい指を指し示す、最初にハクと

晴にやられた武装ゾンビはガッチリハマった買い

物カゴで身動きは取れない状態ではあったが残り

8体の武装ゾンビに至っては絡みつつロープに身体

中から飛び出た刃や剥き出しの鉄筋が徐々に捥が

く動きでロープに切れ目が入り出していた。


「援軍は時間の問題だ、チッだが2体は出血が酷い

な、もうすぐ動けなくなるか……だがまだ6体いる、

俺とお前でアイツらを殺るぞ」

鎧男「おい……落ち着けって」


冷静さも無く彼本来の凶暴性が露わになっていく

佐々木「あ?お前もぶち殺すぞ」

鎧男(駄目だ完全に熱くなってやがる)

鎧男「くそ、こうなったら相手してやるよ!あの

デカい晴と言う奴が居ない今、鎧を着た俺に勝て

る奴なんざいねぇからな!」


ガシャガシャと音を立て、血みどろの斧を両手に

近づく鎧男、それに気付く陸が叫ぶ、


陸「来た!よくも……よくも晴さんを!」

陸はポケットに入れたナイフを取り出し晴を囲み

守る皆の前に悠然と立ちはだかる。


戦闘経験の無い陸だが懸命に飛び出した、ナイフ

を手に鎧男に突きかかるが、鎧には通じない……

闇雲に突くナイフは過去幾度となく剛腕なる剣や

矢を防ぐ為に造られた鎧に無残に弾かれる、ナイ

フ如きが敵う相手では無い、一度刺そうとしただ

けで鉄と鉄はぶつかり合い、それを持つ陸に強烈

な痛みが走った、そして握る手が限界に来た時、

弾かれたナイフは弧を描き地面へと落ちた……。


陸「まだ……」

即座に側にある木の棒を拾いガムシャラに叩く、

しかし強さを誇示する様に鎧男はそれを甘んじて

受ける、鎧の下の顔はニヤリと笑っていた。


皆が晴を守る様に囲む中、1人ハクがその輪を抜け

陸の側に歩み寄ると言った。

ハク「はい、君のナイフ、形はどうあれ君の大切

なモノでしょ」

ハクは弾かれたナイフをワザワザ取りに行ってい

た理由はーー

陸「もう僕には必要ないよ?」

ハク「そうだね……もう君を守る物としての必要

では無くなったけど、今度のこのナイフの役目は

君を癒す道具だから……形見なんでしょ?」


陸「……はいそうです」

涙が頬を伝う、無理に武器で捨てる事で彼は立と

うとしたが、それは武器という道具ではなく今や

彼にとってはかけがえの無い思い出と解釈したハ

クの思いである。


「母は冷たかったけど、こんな時代になって生き

て行くのに必要と考えたんだと思います……コレ

を捨てることが僕に取って大事な儀式なんだと思っ

てたけど……はは、捨てなくていいんだ、コイツ

も生まれ変わったんですね……武器も生まれ変わ

れるんだ、うぅ、あ、ありがとう御座います……」


鎧男「なんだ?茶番か?それにお前、1人で俺と

戦うつもりか?晴ならいざ知らず、お前みたいな

力のない者がこの鎧を着た俺にダメージを与えら

れると思ってんのか?笑わせんなよハハハッ」


栗栖(鎧……このライフル銃なら貫通して助ける

事が出来るが……アイツの目、アレは諦めてる目

じゃねぇな、此処はお手並拝見てとこか、だが獲

物も持ってねぇ、どうするつもりだ……)


ハク「鎧かぁ……固いだろうねぇ、鉄だし」

佐々木「ぎゃはは!硬いに決まってんだろ、博物

館から頂いたモンだ、刀であろーが切れるモノで

も無ぇよ、何せ中世で刀やら斧を防ぐ、本物の戦

争で使われたもんだからな」


「お前らは何も出来ねんだよ、芋虫の様に手足を

ズタズタに引き千切り、今ここでゾンビの餌にし

てやる、行け!佐藤!」

鎧男「あぁ!やっちゃるわい!」

ガシャガシャと音を立てハクに走り来る。


ハク「芋虫ねぇ……」

含む言葉を呟くハクに鎧男が今、襲い掛かる……


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