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人間の悪意


正人「何だ!あれは!」

時男「ゾンビ?なのか?アレ……」


その目に映ったゾンビは体から血を流し、全身に

工事現場でよく見る様な鉄の棒など背中から貫通

させ剥き出しとなった鉄先は近づく物を傷つける、

更に長さのあるマチェットや刀など無数に腕や肩

に粘着テープで頑丈に固定され、触れる事も出来

ない異様なるゾンビ達であった、頭部や弱点であ

る心臓には鉄板が付き、ハクが渡した武器すら無

効にする仕掛けも丁寧にしてある醜悪で凶悪を具

現化したゾンビであった……


ホラーに出て来るような怪物の様相に皆の顔が強

張り、また同時にゾンビに対し同情すらする程の

モノであった。


顔を両手で覆い顔が蒼ざめるユキ、

ユキ「……酷い、いくらゾンビだからって」


唇を噛みしめ怒りの表情の晴

晴「……よくこんな酷い事を思い付くな」


絶望する陸

陸「あれじゃ倒せないよ……」


言葉の出ない正人、時男に美香、その異様なゾン

ビの背後には、またしても鎧男に引き連れられた

ゾンビ集団が見える、数はおよそ30体、


ハクは十字路を見る、正人が言う市街に出る北方

向はゾンビ集団、東は道路に地面が割れ凹みが激

しい、向こう側にもゾンビが集まって見える、商

店の出入り口は封鎖され辺りはゴミが溢れていた、

竹箒、ゴミ袋、消化バケツ、車のタイヤが外れた

物、消防隊の物かロープに動けなくなったゾンビ

数体、何か使えそうな物はと目を凝らし見る。


西はトレーラが横転し、車の事故か?複数台が絡

み合い行く手を阻む、八方塞がりであったー


晴「どうするハク、南に戻るか?」

ハク「それは駄目、追ってきてるゾンビにあの通

路、挟まれたら終わりだ」


鎧男が前へ出てトランシーバーを晴に向け投げつ

けた。

鎧男「出ろ」

鎧男「安心しろ、話が済むまではロープを離さねぇ

から」


ゾンビは北側通路にある電柱に繋がれたロープで

前へ出れない様、鎧男が紐の先を握っていた」


晴は黙ってトランシーバーに耳を傾けた。

『ガーッ』

『おい聞こえるか?どうだ!この素晴らしいステ

ージは気に入って貰えたかな?ヒャハッ、お前達

がどう殺されるか楽しみだ、ぞっと』

『……』


怒りに今にもトランシーバーを握り潰しそうな晴

の手が震えミシミシと音を立てる、

『条件は何だ、要求があるなら出来るだけ

飲む、皆んなを助けて……くれ』

佐々木『条件?んな物ねーよ!』


晴『無い?なら何故こんな酷い事をする!ゾンビ

にまで細工してまで!』

佐々木『怒ってるねぇ、まぁ冷静なれよ、遊びだ

よ、遊び』

晴「あ……遊び?コレがか、遊びだと!」

大声で怒鳴る姿に時男、正人含め5人は晴の温厚な

顔しか見ていない彼等は驚いた。


ハク「晴代わって」

ハクにトランシーバーを渡す晴の手が震える、そ

の手を握り絞めるようにハクは頷く。

ハク「遊びなんだ、ふーん、つまんない遊びだね」

『ハッ、よく言うぜ、どうしようもない癖に、泣

いて詫びれば許してやるかも知れないぜ」


それを聞いた正人がハクの横から大声で叫ぶ、

「おい!聞いてくれ!謝る!ごめんなさい!助け

て……下さい、お、お願いします!」

ユキ等も懸命に懇願する、

佐々木『あーん?そうかそうか、だが2人はそうは

思って無いみたいだぜ?』


晴「……」

時男「おい!晴!お前も謝れや!」

晴「……何を謝る」

正人「いいから謝れや!いい加減強情張るのもや

めてくれよ!」

晴「……すぐに殺されなかった事を謝るのか」

ユキ「……」

陸 「……」


佐々木『おいおい素直じゃ無いなぁ……正人君に

時男君だっけ?いいのか?それで僕ちゃん怒りに

ゾンビを襲わせそうで怖いんだけどなぁ』


ハッとする時男が晴に突っかかる、

「何してんだテメー!此処で皆んな殺されちまっ

たらどう責任とんだよ!」

佐々木『時男ちゃん、いいね君、助けちゃいたく

なってきたよ僕、あーいい事思い付いた!そうだ

よな、悪者と言えば此処で戦わすんだった、俺と

した事が、じゃそう言う事で、逆らった晴ハクを

痛めつけちゃって、皆んなで』


ユキ「もうやめて……ここまで助け合って来たじゃ

無い」

美香がハクに近寄ると前に立った。

美香「ごめんね……」

そう言うと力の限り平手打ちをした、ハクはそれ

を立ったまま受け、口が切れたのか血が口を伝い

落ちた……


時男は晴の胸ぐら掴み拳を振り上げる。

時男「お、お前が悪いんだからな……」

しかし今まで助けてくれた晴に心が痛むも殴りつ

けた。

晴の鼻から血が滴り落ちるも晴もまた微動だにし

ない。


正人がハクの側に立つ、

正人「お前には感謝してる、けど、お前がいらな

い事をしたから、結果こうなった!」

彼も解っている、解っているのだが怒りや絶望、

恐怖に自我を保つ為、誰かに八つ当たりという形

でしか自分を保つ事が出来ない事をハクも理解し

ていた。


正人に殴りつけられハクの体は後方に吹き飛ばさ

れた光景を見て笑いが止まらない佐々木である、

「ククク……オモしれーぞ!何だこの人の感情が

今俺の手に委ねられてるぜ!」


【正人談】


解ってる……充分解ってる、コイツらが悪くない

なんて事、でも俺達にはどうしようもなかったん

だよ……助かるって聞いたらそりゃするだろ、自

分の命は一つ……


たった一つ何だ、強いモノに従う、何が悪い俺だっ

て偉くなりゃこんな事は俺だったらささねぇ……

畜生、一番上だったら俺だってこんな酷い事ささ

ねぇのに……。


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