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甲冑


追い込まれる晴達、それを観戦し楽しむ栗栖一味

が放ったモノとはーー


ーーそれはーー

その姿は中世の戦争で使われた甲冑を纏ったモノ、

異様な雰囲気に正人が叫ぶ、

正人「ギャァァ!怪物だ!」

時男「マジか!ゾンビに、怪物、いや亡霊!まさ

か異星人!」


慌てユキから手を離す時男に1人では支え切れない

陸も重さに耐えきれずガクンと腰を落とした。正

人は美香を放り出し逃げようとするも逃げ場なんて

何処にも無く、右往左往し再び戻らざるを得ない。


正人も時男も混乱し顔が真っ青だ……後ろにはゾ

ンビ集団、前にもゾンビ集団に甲冑男、その男の

腕には血だらけの斧……

晴「落ち着け!中は人が入ってるだけだ!奴が……

甲冑が持つ左手を見ろ!傷つけた鳥だ、肉に誘わ

れアレでゾンビを誘導してるんだ!」


よく見ると得体の知れない動く甲冑にゾンビも喰

らおうと噛み付いている、が当然の如く鉄で出来

た甲冑の中の人間には何も影響しない。


熊と戦うのにこう言ったモノで対抗する動画等は

あるが、力の強い熊では甲冑自体の強度を上げる

ために重さがネックとなり身動きの取れない状態

になるのがオチだが、本来、実際に使われている

甲冑に関しては、矢を防いだり戦闘を実際に行う

ため強度、および稼働区域はかなり広い。


【14世紀に登場、鎧だけで20キロ~30キロ超え兜

や武器を入れると35キロから4おキロ超えもある。

フルプレートアーマー(名称)】


甲冑男『佐藤』(大丈夫かコレ……背中にかじり

ついてんだけど、確かにでも影響はないが、目立

つ分、ゾンビ誘導もうまくいったが、ゾンビがも

たれると……重い)


甲冑の重さは30キロにもなった、各部位の隙間に

は厚めの布生地が巻きつけられ、噛まれても問題

無い。

佐々木「博物館から拝借したものだが意外と使え

る物だなおい」

栗栖「そりゃそうでしょうね、実際、戦争で使わ

れていた物、簡単には壊れませんよ」

佐々木「おい気になってたんだが、兄貴を慕って

の口調なんだろうが、時折、じが出てるぞ、紛ら

わしいから普通にしゃべれ」


栗栖「おっと失礼、だな、兄貴を崇拝はしていな

いが一緒にいると、ついな」

佐々木「おい見ろよ笑える、彼奴らビビリまくって

んぞ!」


晴「落ち着け皆んな!中は人だ」

佐藤の出立は鎧に血だらけの戦斧である腰がひけ

ても仕方ない。

佐藤「……」

無言の佐藤にも意味がある、恐怖心にかられた人

間の行動パターンはーー


『逃げる』

腰が引け動きが出来なくなる窮鼠猫を噛むだ。


無言を通す佐藤自身、本音は叫び逃げ出したい気

持ちなのだ、しかし左手に持つ肉に殆どのゾンビ

が注目、自身には時折、噛み付いて来るがダメージ

が無い事に佐藤自身にも『余裕』が生まれてくる。


佐藤……こりゃイケるな

佐藤が斧を高々と掲げガシャガシャと晴達に向か

い歩を進めた、それに従いゾンビらも甲冑を追う、

数体が晴達に気付き鎧男を通り過ぎて向かってき

た。


晴(駄目だ皆錯乱してる……)

辺りを見回し打開策を絞り出すーー

晴(何も無い……なら恐怖の元凶鎧男が人間とい

う照明を彼等に直接見せるしかない!)


決意した晴は甲冑に飛び込んだ、前一体のゾンビ

を軽く殴り倒し、佐藤も、まさか逃げ惑う事を予

想していただけあって行動が遅れる。


振り上げた斧を渾身の力で飛び込んできた晴の頭

をカチ割る様に振り下ろした、斧の風切り音が晴

にも聞こえたが、晴は一切怯まない、斧が当たる

前に渾身の右正拳を甲冑の上から叩き込んだ。


晴「おラァ!!」

ガコンと甲冑の鉄が晴の凄まじい剛打に凹む、彼

は躊躇無く二撃目、三撃目を連続で打った、その

衝撃自体は鎧が吸収し凹むものの中の佐藤には届

きはしないがが佐藤自身の心には響いた、


佐藤「おわ!何だこいつ!甲冑が凹む!このまま

だと壊れて……俺が、俺がゾンビの餌になっちま

う!」

打撃の強さに怯み、半歩後ろに下がる、その空い

た距離を利用し晴の前蹴りが炸裂、甲冑は吹き飛

び地面へと倒れた……


だが其れにより晴の手は打撃により血だらけだ……

呼吸音も荒くなる晴、甲冑に仕込んだ栗栖からの

声が倒れる佐藤の耳に届く。


栗栖「喋るなよ、デカブツ以外はまだ恐怖心で囚

われてる、圧をかけろ、中身は無事だろ?ユック

リと立ち上がるんだ、無様に立ち上がるなよ、演

技しろ、恐怖で彼奴らの行動を狭めろ、じきに廃

墟から出たゾンビが彼等に到達するから」

佐藤「……了解」


指示に従い、佐藤が立ち上がる、ユックリと何事

も無かったかの様に、亡霊を演じ切る。

甲冑からの金属音が響くーー

『ギー……』

『ガシャ……ガシャ』


佐藤が持っている斧で恐怖を煽るが如く、近くの

邪魔なゾンビを叩く仕草をしようとした動きが急

に止まる、無線から指示が入ったのだ。

晴「?」


栗栖「バカかお前は、お前にデカブツの様なパワ

ーは無ぇだろうが、しかも甲冑だぞ、ゾンビを叩

き伏せる所か、お前が押し負けてよろけるぞ、そ

んな無様な姿を見せたら奴等が冷静になるだろう

が」


手が止まる佐藤

佐藤(いちいちうるせーな……だが確かに叩いた

亡霊甲冑がよろけたら滑稽だよな)

(演技って難しい……)


晴「……」

晴には通じなかった、彼等の意図を理解したが事

を説明してもよろける現実を見せねば彼等に、恐

怖に囚われたモノは信じない。

正人「もう駄目だ……」

諦め腰を落とす。


時男「晴なんかの言う事聞かず大人しく廃墟に入

ればよかったんだ!このクソ野郎!」

ユキは倒れ、美香も意識がまだ朦朧とする、

陸「……晴さんのせいだ」

「アンタのせーだ!こうなったのは!」

陸は持っていたナイフをとうとう取り出し、ソレ

をゾンビではなく晴に向けたのだった。


晴「……でも、あの中に居たら」

全てを言う事を言おうとしたが、やめた晴だった。

晴「陸、みんな……すまない」

深々と謝る晴にーー

時男「ふざけんな!謝ったってどうしようもない

んだよ!」

正人「お前、そうだ、そうだよ餌んなれよ、その

間に逃れるかも知れない」


状況はそんなに甘くは無かった、1人犠牲になった

所で袋小路で詰まったゾンビが数体犠牲になった

屍を貪り食う位で活路は見出せない。


ユキが目を覚まし叫ぶ、

「キャー!何これどうなってんの!」

その声で美香も目を覚ました。

時男「コイツの晴のせーだよ!」

冷たい目で晴を指差し唾を吐いた。

美香「よくわかん無いけど、私歩けない」

「こうなったのはアンタのせいだ!」

感染する非難、それは行き場のない感情すべては

悪人を決めつけ怒号を浴びせる事しか出来ない。


晴「すまない……」

時男「そうだ!晴、美香お前ら餌なれよ!2人なら

いけんじゃねーか?」

正人「そうだ、それがいい」

美香「ちょっと!それどうゆう意味よ!」

正人「仕方ないじゃん、誰かが犠牲にならなきゃ、

歩けないんだろ?お前、ただの荷物じゃん」


美香「なっアンタ私が好きなんじゃないの!」

正人「好きだよ女としてな、だけど女なんか他に

もいるだろ、なんでお前みたいに軽い女に命捨て

て助けないといけないんだ?」

美香「なっ!あんた、あんた最低!」

時男「お前も最低じゃねーか、助かりたいから正

人について行って、今、晴にも犠牲に慣れ言った

のはお前もだろ」

正人「そうだ、自分が見捨てられる側になったら

今度は俺を責めるのかよ」


仲間割れが始まった……。


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