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世紀末異星人侵略世界でスローライフ【解説付き】  作者: しおじろう
昔話 道場編
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昔話 道場編⑥


そしてラスト一本となった晴vsハクとの試合。


師範「双方、ラスト一本、悔いのない様、試合を

存分に楽しむといい、始め!」

この試合の有益さを師範も感じた。何時もと違い

師範すらこの試合の行く末に興奮していた。


しかしハクは晴の顔色が悪い事に気付き始めてい

た……


時間を追う毎に悪くなる顔色、初回の突進攻撃後、

何故続けて攻撃をしなかったのか……無論、しゃ

がみ防御や巴投げを警戒しての事もあるだろう、

ハクも巴投げは視野に入れていたが、立て続けの

投げはハクにとっても警戒されたままでは成功率

は激減する、そして2回目の突進は素晴らしいが、

その後、急速に青ざめる顔色……。


答えは怪我を折っている、恐らく初回の壁激突の

際だろう……だが晴は怪我を押してまでこの試合

を楽しんでいる、彼のその心に、行動に僕は裏切

る訳には……手を抜く訳にはいかなかった。


雪丸「もう試合結果は決まったな……」

道場生「でしょうね、晴の突進力になす術がない

ハクはもう手が無いでしょうね、しゃがみは警戒

しているだろうし不意打ちは手の内を見せれば終

わりの一回が限度ですからね」

雪丸(バカかお前らは……だから上に上がれない

んだよ、勝つのはハクだ)


フィールドの広さを利用し、晴の怪我を利用し追

随が難しくなりつつある晴に勝つだけなら既に容

易な事ではあった、にじり寄る2人に先行で攻め込

んだのは意外とハクであった。


雪丸「なっ!何故?近接で晴にかなう訳が無い事

はハク自身が一番理解している筈」

(情に流されたか……小物め)


しかしハクにも考えはあった、先ず突進攻撃を防

ぐ為には距離を開けない事、しかしハクは晴の怪

我を優先、移動をあまり行わなくて良い近接攻撃

を選んだ。


晴の正拳突きの連打が炸裂、受けるのが精一杯の

ハク、辛うじて一本は避けるものの腕がみるみる

内に腫れていくのだった。


一撃を喰らう度に骨まで振動が伝わるーー

一撃を放つ度に、骨まで振動が伝わるーー


晴「たっ楽しいな!ハク」

だがもう顔色は真っ青だ。


晴も自分の体調等気にし無い猛追にそれを受け続

けるハク、互いに道着ははだけ、両腕にぶら下がっ

ているだけの状態に成り果てるのだった。


凄まじい猛追、防御の上から躊躇無く繰り出す晴、

防御自体を打ち崩し一本を取る野性味溢れた攻撃、

さらに猛追はハクの反撃の余裕すら奪う、


晴「どうする!ハク!」

ハク「……」

ハク「だね、でも、もう終わりにしよう」


晴の正拳に勢いが乗り身長の高い彼の頭上からの

渾身の一撃がハクを襲った、が、その瞬間、十字

受けで渾身の正拳を受けるも力で押し込む晴に対

し、その勢いを借り、受けた十字受けの両手を広

げ、しゃがみ込み半円を描き道着を瞬時に脱ぎ、

晴の足元に汗で濡れた道着を鞭の様に巻きつけ絡

ませた!


勢いに乗った晴はバランスを崩し倒れ込む、そし

て晴の目の前に上半身裸のハクの正拳が顔面の前

にあった。


晴「……楽しかった」


師範「一本!2本先取でハクの勝利!」

こうして俺とハクの試合は終了した。


試合が終わると激痛が晴を襲う、が晴は試合の礼

をハクや師範、周りの者へと尽くした。


ハクは大きな身体の晴をヨタヨタ歩きで支え、皆

がいる場所まで運んだ、師範も晴の状態異常に気

付き病院へ連れて行く為、手を貸そうとするも断

る晴とハクがいた。


晴「すいません、ハクといかせて下さい」

ハク「……晴」

晴「親友じゃ無いか、頼むよ、なっハク」

ハク「……」

「……親友だよ、生まれて初めての」

ニコリと笑う晴に半泣きのハクだった。


どっちが勝ったのか側から見て逆に見える光景だっ

た、人当たりが異常に良い晴にとっても実は親友

が出来たのはこの時が初めてであった、こうして

準決勝を勝利したハク、次の対戦は決勝戦、相手

は全国ナンバー1の雪丸であった。


雪丸「甘いな、甘い……ヘドが出る位だ」

(格闘技は勝つか負けるかの二つ、情に流された

お前に格闘家として価値は無い)


「本当の格闘技を俺が身をもって教えてやる」

雪丸の実家は格闘技一家である、幼き日々から鍛

錬を重ね技に至っても力に至っても晴を軽く越え

る至極のモノである。


勝利が全て、頂は一つ、情は敵、武道は敵を粉砕

するモノと教えられた雪丸には先程の戦いは自分

の信念を揺るがしかね無いものであり、粉砕しな

ければならないものと感じた。


ーーこうして決勝戦が始まるーー


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