表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世紀末異星人侵略世界でスローライフ【解説付き】  作者: しおじろう
民家攻防戦
31/237

脱出


翌朝ハクは快適な睡眠を取った、そして食事を制

限しない方向で食べ尽くした食料のお陰で体調は

万全、いよいよ脱出の準備に取り掛かる。


普段から忘れ物が多いハクは丁寧に常備している

物をリッュクに詰め込んで準備は万態である。

場合にもよるが、保険に食料を保存し、体力の無

い状況で無茶をした場合、その保険を使う事なく

命の危険にさらされる場合もある。


何を優先するべきか、使うべき所は使う、ケチる

時はケチる、この判断を間違えてはならない。


中から外の様子を見る。

完全に取り囲まれている様子だ。

雑草を踏みしめる音は小屋の裏からも聞こえる、

そこら辺にある物を積み踏み台にしてゾンビの背

の高さより目線を高く辺りを見渡す。


先ずは目標の坂への目印だ、大きな木が一本ある、

そこの奥に直ぐに坂が存在する、先ずはその近く

に色を塗った小石を飛ばす、


赤……飛ばし過ぎた、坂を転がって見えなくなっ

た。


2投目赤……窓の隙間、ゾンビを避けて投げている

為、ゾンビに当たり近くに落ちる、当たったゾン

ビが恨めしそうに見ている気がする……。


3投目赤、位置は良いものの、ドアから直線部分か

らは遠い、ダメだ。


ややこしくなるので4投目黄色ーー

これまた方向がイマイチ。


5投目グリーン

「良し!手前3メートルといった所か、ジャストミー

ト!」

腕を上げ喜びを表現するそして再び周りの様子を

伺う。


中がよく見える窓に人間という鑑賞物、いや食料

か、それに見える窓、そしてドア付近に最も多く

のゾンビ、裏側にも多数いるだろう、見る事が出

来ない、はぐれゾンビが壁を押し付けている、ま

ぁ人が地力で押して家が壊れるなんて事は先ず無

いので、其処は心配はしていないが、腐敗に体臭

が凄まじい、病原菌の蔓延も怖い所だ。



ーー作戦開始ーー


先ずは、小屋にあった目覚まし時計を2分後にセッ

ト、窓の隙間から投げる。そしてドア付近でリッ

ュクを背負い、製作した三角形の板を尖った方を

先端に持つ、取手はシッカリと握り、ソリは簡易

にその板に貼り付けてある。


1分30秒経過ーー

……5

……4

……3

……2

……1

「ジリジリジリジリ!!」


一斉に目覚ましに反応するゾンビ達、呻き声が大

きくなり一斉に目覚ましの方向へと動き出した、

それを見計らい、ドア付近から離れたゾンビが背

後向きになった事を確認したハクはドアを一気に

開け、防護壁を前に全速力で背後からゾンビを突

き飛ばしながら走った。


先端の角に当たるゾンビは勿論、正面の点のよう

な場所には存在出来ず、脇へと、どんどん追いや

られる、それは旧約聖書のモーゼの様である。


ハク「はい!どいてどいて!」

板の内側のハクには続々とゾンビがはじき出され

る鈍い音がする、距離の目測は足元から見える情

報と最初に見た目測、そして防護壁に開けた小さ

な穴だけ。


その小さな穴で先ずは目標地点を目指すもゾンビ

の肉片や衣服が引っかかり穴を塞ぎ始めた、しか

し、その為の目標物だ、慌てず方向もわかってい

る。


ゾンビが当たる度に衝撃が走るも防護壁は強かっ

た、目標地点に到達、足元の視界に緑色の石が見

えると防護壁から小型ソリを取り外し、一気に滑

り落ちるのだった。


と言いたい所だったが……

滑らない(笑)

ハク「……」

「ハイハイ」

勢いよく坂を下り加速した状態でソリに乗ると、

ようやくソリは動き出し、加速につぐ加速に体が

着いていかない


ハク「……」

「はっはっ早ーい!早すぎるうぅぅぅ……」

操作も、ままならないまま、下まで一気に滑り落

ち、ソリを手放し転げ勢いを殺す、


手を頭を包める様に、そして手足には攻防戦同様

予備の服に本を入れた物を巻き付け滑落の後、転

げ落ちる状態を想像しての怪我対策だ、下手した

ら小枝が刺さる可能性もある、この時代何回も言

うが怪我は命取りだ。


更にお腹にも本を巻いた、紐で縛り防具に身を纏

う、背中にはリッュクが守ってくれている、お尻

は……都合上運任せである。


スピードも落ち、転げた状態の加速を生かし、一

気に走るハク。

「ほいほい!お尻セーフ!」

チラリと走りながら背後を確認ーー


ゾンビはハクを追うも坂を落ち、バラバラな状態

で散乱、中の多くは骨折、動きも這いずり回る感

じであったがゾンビとの距離はもう充分な位離れ、

安全は確保されたのであった。


「用心には用心を、何せ命がかかってるからソリ

はもっと簡素でも良かったのだが、目印は正解だ

ったな……後は充分な睡眠とサバ缶のエネルギー

で走り抜けるのだ!いざゆかん!僕ちん!」


ハクは一気に最初来た場所の原付まで到達すると

原付に置いてあったビリボ君と共に颯爽とその場

を後にしたのであった。


トラブルの後の風は気持ち良い……バイクのスピー

ドも30キロでのんびり景色を堪能する、この辺は

元々畑や田んぼが多いのだろう、四角に形どられ

た土地の後が続く、しかし手入れのしない田畑は、

普段当たり前の光景だった景色を一変させる。


雑草が生茂り、稲穂等、雑草に負け何もあったも

んじゃ無い、田畑等、隙間を探せば野菜など生き

残った物も多少あるだろうが見た目はホント雑草

の田畑である。


電信柱も倒れ、送電が行われなくなった電線が無

造作に散乱する、あの襲撃後、しばらくは電線は

とても怖い物だった。


田畑に流れる川はそれとは逆に綺麗この上無い、

サラサラと流れる音が風の音と混じり心を癒す、

時折見えるゾンビが景観を一気に現実へと呼び戻

すケド……。


目標地点の駅まで、残り後約25キロといった所で

ガソリンが切れ、辺りを見渡すも車やバイクの形

跡も無い……時間にして3時。


「歩く速度は人は平均時速5キロと言う所か、不動

産の徒歩、何分は確か……4・8キロ計算だったな。

5キロと言うと1時間半弱×5で6時間超えか……」


夜道は危険と判断した彼は、そのまま向かうのを

断念、泊まる場所を探す事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ