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世紀末異星人侵略世界でスローライフ【解説付き】  作者: しおじろう
民家攻防戦
26/237

2人のゾンビ


ハクは先ず本屋に移動、本屋の中に、2体、

「ゾンビって本屋には必ずいる気もするなぁ

……本を読む訳でも無いのに、まぁだけど、この

匂い落ち着くもんなぁ……それも人によりケリだ

けど」

(人間の生理機能と何か関連があるのか、もしく

は落ち着く雰囲気から何か関係があるのか?もし

くは水分を失わない為に?)


まぁ其処は考えても仕方ない、背後から近づくと

足をビリボ君に引っ掛け、転ばすその音に反応し、

起き上がるゾンビ計三体。


「あちゃ……慣れは怖い、仲間と居た時のように

は行かないから注意を怠らない様にしないと」


【初心忘れるべからず】


反省する猿である。

一体を速かに退治退治、2体目は、もう血で汚した

く無いので、女性ゾンビである事もあり、ビリボ

君で押し出す。

「ホイホイホーイ」


転かさない様に押す力を加減する様に、コツはコ

チラ向きに襲ってくる時にお腹を押す感じ、後ろ

向きで移動させるので、慎重に慎重に、そうこう

している間に本屋の列の隣に居たゾンビもコチラ

と並行する様に歩くゾンビ、棚の隙間から顔を見

ると、結構なイケメンゾンビだった。


何気無く押す女性ゾンビの指を見ると指輪がイケ

メンゾンビを、見ると同じ様な指輪を見てしまっ

た……。


「……見てしまった」

複雑な顔をするハク。


「……」

首を振り自分のホッペを叩き気合を入れた。

「だが、しかし、まぁ何と言うか、その……あの、

えーと……」

肩を落とし溜息を一つ……。


女性ゾンビを転ばせ、隣の列のゾンビに駆け寄り、

素早く転ばした、棚の本を素早く散乱させたと思

うと直ぐにそれを倒しゾンビを閉じ込める。


同じ要領でもう一体の女性ゾンビも閉じ込める、

虫でやった事がある人もいるのではないだろうか

触れずに閉じ込め外に逃す作戦をーー


「小さい店だけど耐震用の棚配置しとかないと危

ないよ……」

なんて呟きながら、棚の上に本を置き重しにして、

取り敢えず鍵を閉め、外から見えない配置で本を

物色する。


「静岡……静岡……と」

旅行ガイドマップを棚から発見、嬉しそうに手に

取り、少し立ち読み、いや座り読み、いや隠れ座

り読み。


「茶、みかん、苺、メロン……」

「……」

いきなり躓く、果物等、人間の手が無い現状で実

がなる可能性は極めて低い。

「お茶……か、可能性があるなら、これか」

「お肉……お肉食いたいなぁ」

「牛、自然放置されて生き延びて無いかな?しか

し1人で食べ切れる物でも無いし、生き残りの集団

がいた時の為にやめておこう」


勿体無い上に腐食がヤバイ、ゾンビも寄ってきそ

う、いやでも、冷蔵庫か干し肉、でも塩とか……

あんもー」


ブツクサ言いながら仕方なく諦めた。


此処でも公民館等探せば人は居て、ある程度生活

に潤いが取り戻せてる可能性もあるが人とあまり

出会いたく無い、リスクもかなり大きい、少ない

食料を他人に与える余裕もあるかどうかも解らな

い現状で、安易な行動は出来ない。


ターゲットはお茶!

店を出る前にゾンビ2体を紐で縛り、運搬用の台車

に乗せて近くの公園へーー


恐らく傷のない状態、そして痩せ細り方からして、

あの異星人襲撃を乗り切り、ゾンビに追われ、本

屋に逃げ込んだのだろう、年は20代と言う所か、


ーー情景ーー


太一(男)カナ(女)

太一「カナ!頑張れ!」

カナ「ハァハァ……もう歩けない」

太一「背中に乗れ!もうすぐ後ろにゾンビが来て

るんだ!」


オンブし早歩きでゾンビから逃げる太一達、しか

し、襲撃後のゾンビは足が早く、オンブ状態の彼

等には振り切る事が出来なかった。


もう少し早く移動出来れば、近くの公園にまで行

ければ、緊急避難の放送があった自衛隊が待機し、

無事逃れたはずだった。


『しかし現場はゾンビにグリマンの襲撃を受け、

自衛隊はおろか、生存者0、ゾンビが大量に発生す

る地獄であった』


追われ商店街を走るーー

ゾンビ集団との距離は2メートル程、太一の目に

いつも立ち寄る本屋が見えた、店主は余程慌てた

のか鍵もかけず店舗は開戸であった。


太一「空いててくれ!」

カナ「もういいよ……太一だけでも逃げて」

太一「バカ!できる訳ないだろ!」

カナ「でも他の人は彼女らしき人を置いて行った

り、中には彼女を犠牲にして走り去った人が殆ど

だったじゃない!」


災害、襲撃、それは同時に起きた。

人を狂わせるには充分なインパクトを与えて刃物

を持った通り魔、銃を乱射する海外の犯罪、更に

は地震、洪水状態にホラー映さながらの同時多発

の状況に人は人でなくなり、パニックが起きた。


我先に逃げる人々は邪魔な人を押し除け、その相

手が転けようが振り返りもしない本能のみで自分

の身を守るのが精一杯だった。


離れ離れになった子供が泣いてようが、気に止め

る他人は居らず、ひたすらに逃げ惑う、逃げる場

所ですら検討のつかないと言うのに……その場所

で人の波は渦を巻く。


東へ逃げたものはゾンビを見てUターンし西へ、

西にグリマンを見て我先へと北へーー


中には人を救おうとする人も居た、しかし、こう

ゆう状況に優しさは危険と隣り合わせだ論理的に

考えると、優しさこそ命の危険を伴う、しかし同

時に人を救う事が出来る矛盾、そして逃げる渦の

中にいつの間にか『存在するゾンビ』


パニックは加速し、やがて暴動が起きる。AはBを

疑いBはCを疑う、不用意に近づけば命は無い、し

かし人がひしめき合った状況でソレを判断するの

は至難の技である。


すぐ隣にいる『かも』しれない存在に、人は人で

なくなりやがて力の弱い女性や子供が次々と犠牲

になって行く。


元々、生まれ持った男としての力の強さは女性や

子供に向けられる事もなく自分を守る為のものと

して暴力と言う名の力が横行。


建前や倫理等無い、培われた裏の顔を人は曝け出

す、果たして何人もの人が人間で居られるという

のだろう……。


太一「他人はどうあれ僕は君を助ける!」

太一の第一の願いである本屋の鍵は空いていた。


太一「こっちだ!」

強引に彼女を中に押し込め急ぎ自分も本屋へと入っ

た、ギリギリのタイミングでゾンビの侵入を防ぐ

事は出来た。


ガラスがゾンビの体重で押しつぶされそうだ、急

ぎ太一は側にあった粘着テープでドアの窓を封鎖、

割れたとしても簡単に侵入できない様に細工をし

た後、近くの重しになりそうな物でドアを封鎖。


カナ「怖い……」

声にならない様な声でカナが震えていた、太一も

それ以上何をしていいか解らず、ただ右往左往と

するばかり、深呼吸をし呼吸を整え、カナの横に

座ると頭を抱える様に2人は抱きしめ合い、そして

2人して身を小さくし震えた。


太一どうしよう……

ゾンビの徘徊は3日経ってもおさまる事はなく、

蠢く影は日中問わず見えた、声に怯え影に怯え過

ごす2人、特にカナは衰弱状態が酷くなっていた。


トイレは完備されて居らず垂れ流し状態、本屋の

角で用は足すものの、羞恥心から神経も使う、し

かし外へ出る事も出来なかった。


太一「……俺、食料と水、取ってくるよ」

カナが太一に飛びつく、

カナ「いや!いやいやいや!側にいて!」

太一「……」

錯乱状態のカナを見て悩んだ、このまま此処にい

ても、明らかな人生の終わりは確定だ。


しかし最早、病的なカナの精神状態を放って行く

のも心配であった。

無理もない、人の軽薄さ、異星人の映画でしか想

像しなかった現実、ゾンビ、肉、血、全てが世界

の終わりを告げていた、しかし彼女には太一がい

る、太一と言う光にカナの精神は依存し、ギリギ

リの精神を保てる唯一の存在。


意識はもう夢なのか現実なのかさえ半分解らない

でいた、暗闇に幻覚を見る、日は登っていても、

本屋には電気も付かず窓から入る僅かな光など気

に止める余裕もなかった。


友達と遊んだ日々、楽しかった日々、ソレらを自

らの意思で脳から無理やり引き摺り出す様に、脳

を思い出で掻き混ぜる。


自分の世界に閉じ籠るカナに飛び出していまうよ

うな突発的行動に走りかねないカナを見て、太一

はどうしたらいいか?


その問いに悩む、しかし時間は刻々と過ぎて行く、

人は立ち止まり何もせずに居ても時間は待ってく

れはしない……


刻々と2人の本来の寿命平均90歳を今、大きく削

り、残された時間は時にして2日が限界を迎えよ

うとしていた。



【今日のポイント】


時間は待ってくれない、サバイバル状態となった

時、効率や冷静な判断が出来ないとなにも出来な

い時間だけが過ぎて行く。


時間は緩やかにも急ぎ過ぎて行く様にも感じるが

『常に一定』しかない事を考える。


下手をすると水を確保するのに毎日かかり、食料

調達も出来ずアウト、最初の水でもアウト、更に

寝床を増やす時間も費やさねばならない、感染症

や毒虫、はいアウト、今までと違う環境に適応す

る平和な時代だけだぞ!


時間が一定で無く感じるのはーー


by誠


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