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世紀末異星人侵略世界でスローライフ【解説付き】  作者: しおじろう
民家攻防戦
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民家攻防戦集結


凄惨の光景が広がる町、そして豪雨、更に音楽や

ノイズ音、共喰い、裏切り、助け合い色々な情景

と想いが混雑する町に生き残り足掻く人々……


純衣も剛田の仲間の怪我人を民家に退避させ、封

鎖後、町の状態から作戦の意図を理解した。


純衣「剛田だっけ、アンタも手伝いな、ほら」

リュックから数個のmp3、そしてビニールに入った

カイロ、壁紙1ロールにハサミを渡す。


自分に困惑するもそれを受け取る剛田だったが純

衣に作戦内容を伝えられ納得したのだった。


行動を共にする剛田、そして仲間のゾンビ化した

向井の姿も発見した、銃の跡こそ無いにしろ胸に

ゾンビが使う筈の無い、刀で刺した跡を見た……


剛田「……」

向井のゾンビは内臓も無くなって血液も既に流れ、

ほっといても直ぐに動かなくなる事は目に見えて

いたが、剛田はゾンビ化した向井にトドメをさす。

(こいつとはウマがあった、せめて俺の手で葬る

のが筋だよな……純衣)


心の中で純衣にそう呟くのだった……

ゾンビを倒しながら彼女から学んだ固定観念であ

る頭部を狙わず心臓を狙う。基本は胸、急ぎ動き

を止める時は、危険だが頭部。


そして作戦通りmp3から音が流れ、其処に集まる

ゾンビの背後から壁紙とカイロを次々と貼ってい

く、面白い様にそれらは集まり、再び醜い共喰い

が始まった。


作戦内容を納得はしたものの、目の前で起こる現

実に困惑の色は隠せない。


剛田「これ程効果があるとはな……成る程、生き

てる者との違いを探ったかのか、お前の彼、考え

方が変わってるな」

純衣「変わってるんじゃなくて特別なの」

剛田「はいはい」

皆が皆、懸命に必死で戦う、守る為に、また守ら

れる為に……


豪雨がやがて小雨に変わり始めた頃、視界が少し

良くなった先に、純衣、剛田にけたたましいマシ

ンガンの銃声が耳に飛び込んで来るのだった。


剛田「浅井……」

(マシンガンは健在か……自分が帰れる弾は計算

済みという訳か)

純衣は血相を変えて浅井の元へいきなり走った、

その純衣の姿をみた剛田も同時に走る、それは純

衣を追う為にだった、追い付くも、止めるだけの

余力が少ない剛田は力ずくで純衣を止める事が出

来ないでいた、だが、それでも、がむしゃらに体

にしがみつく剛田だった。


雨の中手が滑るのを必死で純衣を掴む、

純衣「離せ!アイツはハクに合わせたくない、私

がアイツを、ハクが見つける前に!」


剛田「まっ待て!相手はマシンガンを持ってるん

だ!9ミリ弾だ!3ミリ以上の鉄板があったとして

もキツいぞ、生身で行くなんて無茶だ!」


それを聞いても尚、剛田を振り切ろうとする、

純衣「無茶かどうか試してやる!」

剛田「やめろー!」

「たっ頼む……」

「……お前には生きていて欲しいんだ」


彼の切実な態度に思わず動きを止めた……

純衣「……アンタ」


剛田「アイツは生かしては置けないのは解る、ア

イツはまた、同じ事を繰り返すだろう……仲間、

いや人を人だとは思ってない奴だ」


「雨が小雨になってきている、それに視界が良く

なったのは向こうも同じだ、いくらお前でも、視

界に入らない様に近づくのは無理だ」

「無理なんだ……」


純衣「……」

浅井を見る純衣の顔は険しい、浅井は笑いながら

マシンガンを撃ちまくった、最早その姿を見て人

間とは思えない狂気を感じる、返り血で真っ赤に

なった服は雨でも流れきれず着ている服が赤く染

まっていた。


同時に純衣の視界に浅井と共に映った一件の民家、

その前には裕太が守る様に立ちゾンビと戦ってい

る光景が飛び込むのだった。


『ハッ』何かに気付く彼女、

純衣「……あの民家!鈴ちゃんが居る所ね!」

同時に浅井もソレに気付いた、


瞬時に浅井は考えた……

弾が少ない事もあるが、アジトに帰るより封鎖さ

れた民家でやり過ごす、そして人質がいる事はハク

達への防護策になる、最前の策と考えた浅井が、

アジトへと向かうのをやめ、民家側に方向を変え

たのだった。


純衣「まずい!離せ!行かなきゃ!行かなきゃ、

行かなきゃ!」

剛田がしがみつきながらも純衣の背中に背負った

リュックから一台のMP3を無理やり取り出すと、


剛田「どけ!」

最後の力を振り絞り純衣を引っ張り後ろ側へと突

き飛ばす、純衣は地面に転げるも素早く立ち上が

ろうとするも剛田が自分の持ってた銃を純衣に放

り投げたのだった。


剛田「俺が行く……俺の銃、お前にやるよ」

純衣「ちょ……何言ってんの」

剛田(悪りぃな……俺、お前には生きて居て欲し

いんだわ……お前の行動の意味が今少し解ったわ

……言葉じゃないんだな)


大事そうにmp3を胸に抱え剛田は走った、浅井の

居る場所へ、ゾンビが邪魔をして浅井がもたつい

てる間にーー


純衣「やめてー!」叫ぶ純衣、

やがて浅井の視界にも剛田の姿が映るのだった。


浅井「剛田か!お前生きてたか!今、人質のいる

民家を見つけた!奴らを人質にするんだ……」

「一気……に?」

何か様子がおかしいと感じとる。

「?」

よく見るとmp3に音を鳴らし自分に向かう剛田の

様子をみて察した、ソレはハク達のやっている事

を同じだったからだ。


浅井「何故、お前がアイツらと同じ行動をしてい

る、手に持った、そのmp3は何だ!テメー!裏切

りやがったな!」

羅刹の様な顔で剛田を睨みつける浅井、音を鳴ら

しながら浅井に向かう剛田にもゾンビが襲いかか

ろうとしていた。


焦る剛田「チッ、このままだと近づけない、もう

走る体力が……」

2体のゾンビが今まさに剛田にのしかかる様に近い

た瞬間、ゾンビの頭が吹き飛び倒れゆく、更に近

づくゾンビが頭部を吹き飛ばし倒れていった。


剛田「⁈」

後ろを振り向くと膝を落とし彼に託された銃を構

えた純衣が剛田を守る様に次々と銃を撃つ。


純衣「私は、私は、そんなの願ってない!こっち

きなよ……」

泣きながら剛田に訴える純衣、


剛田「……」

「ホントいい女だな……」

瀬戸際の中、笑みを思わず浮かべた剛田だった、


剛田「なぁ!ハクと幸せなれよ!ホントそう思え

るわ!!」

純衣の目に映る彼は邪険な顔が取れ、子供の様に

純粋に涙する剛田の姿だった。


純衣「ばっバカー!」泣きじゃくる純衣、

銃の弾は切れ、虚しく空撃ち状態になるも剛田を

守ろうと銃の矛先はゾンビに向かっていた、虚し

く空撃ちの音だけが鳴り響く……


剛田にもう迷いは無かった、 彼の体から力が溢

れる、最後を迎える人間は思わぬ力を発揮するも

のなのかもしれない、一気に周りに居るゾンビを

疲れ果てた腕力とは思えない力で押し退けて行く、


それに脅威を感じた浅井はゾンビから剛田に銃の

矛先を変えマシンガンを撃ち放った。浅井の肩に

ゾンビが噛みつくも彼は本能的に剛田を恐れた行

動であったに違いない。


タックルする様に剛田は銃で撃たれながらも、し

がみつき、決して離れない、お腹の方にMP3を抱

え、浅井に奪われない様、懸命に、懸命に無様な

姿を晒しながらもしがみつき決して離さなかった。


浅井「この離せ!離せってんだろ!」

身動きの取れない浅井、剛田、更に音楽も重なり

ゾンビが群がる……。


肉を噛みちぎられ、血は吹き出し、声にならない

断末魔がゾンビの呻き声と重なり異様な音を辺り

一体に響かて行く……ゆっくりと、そう、ユック

リと彼等を中心に……


やがて浅井の声はしなくなり底無し沼に落ちて行

く様に姿が見えなくなっていった。


剛田(ははは……こんな時にmp3から流れる音楽

が落語とはな……)

(最高に笑えるぜ……)

(最後に大切な人守れたかな?俺……)


ゾンビの山を泣きながら見つめる純衣の目に山の

隙間から剛田と思われる手が出る。そして純衣の

方に向けられたその腕は親指を立て、握り締めた

その手の真意を純衣は見届けた。


「……」


純衣……ありがとう

剛田……ありがとう


純衣の背後にはハクがいた……ハクは純衣の肩に

そっと手を置いて2人は剛田のいるゾンビの山を

見続けた……


こうして民家攻防戦は終結した。


明も合流しアジトから捕獲した敵、

及び剛田が最終的には守った怪我をした

手下、共に解放、そして捕らえられて

居た医者に鈴も見てもらい

無事鈴も元気を取り戻した。



【今日のポイント】


拳銃の弾は 多くが9ミリ、3ミリ以上の

鉄板等で防げる可能性がある。映画に

出てくる車のドアなどは貫通するので

防御には向かない、身を低く、マトを

小さくして出来るだけ視界に入らない様に

避難することが望ましいだろう。


ドアも然り、無意味だと思った方がいい

壁にするならコンクリートなど3ミリを

越える厚さを前提に、空洞に気をつけて

ちなみに弾にも形状があり特色が違う

貫通メインのものや、貫通を犠牲に致命傷を

主に作られたものもある。


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