表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
237/241

ハク戦16




 次第にざわめき始める観客やレイダー達のざわめく声が会場から

漏れ出す頃、ヒロは手に一杯の荷物とリュックに詰められるだけの

物を運び込んでいた。


ヒロ「……はぁはぁ、重い、だけどこの重さがきっと勝利の鍵にな

るんだ、負けるかちくしょう、こんだけあれば何か使える物が」

 背中に両腕にいっぱいの荷物を持ちフラフラと歩く姿も痛々しい

ヒロが姿を現した、だがどう見てもゴミにしか見えない……。

武丸「……何をしに行ったと思ったらお前それ何ゴミだろ……」

ヒロ「ゴミに見えるかい?君には、チッチッチッ、ハクさんはなぁ

何でも自分の力に変える事こそが強さなのだよ、ちみぃ」

武丸「ゴミがねぇ……何に使うか想像して持ってきたのか?」

ヒロ「……」

武丸「……」

 気まずそうな顔と冷や汗が滝の様に出る顔をしているヒロに少し

悲壮感が漂っている。

武丸「いや……手伝おうか」

ヒロ「……お願いします」


 ヤジと同時に二手に分かれゴミを会場に投げ入れる2人だった。

ヒロ「これでよし……ハクさん僕のできる事やりましたよ!」

武丸「……ついでに言い難いんだがお前の師匠どこにも居ねぇぞ」

膝を落としヒロは叫んだ。

ヒロ「あなたって人は……どこまで読めない人なんすか」


 その頃、施設外周で陽の落ちた暗闇に紛れ避難が行われていた、

自衛隊による見張りの指示に従い、1キロ程離れた場所に待機して

いる車両へと皆が足早に移動していた、グリマン達も台風接近に伴

い、出入り口は封鎖したタイミングに合わせ脱出する計画だ、これ

には栗栖の要求もこなす事が民間人の救出に手を借す条件の一つで

もあった。


ヌク「悪いがわしは会場に戻る、ハクも心配じゃが今の雪丸も放っ

てはおけんのじゃ……ワシにとって雪丸もまた友であるからな」

『すまん、ワシはまだやる事がある、今この場所の戦いは此処だけ

の話じゃ無い、日本にとっても最重要な戦いの一つなんじゃ……

黙っていてすまんが、此処だけの問題だけでも解決出来るには恐ら

く命を賭けねばならん、状況は刻々と変わる、それに応じた見極め

と……そして覚悟がいる、先のあるお前達にこそもっと厳しい試練

が訪れるであろうが、こんな老ぼれでも先を繋ぐ役目は、命はここ

で使わせておくれ……」


 合流したクリスに純衣、誠達もまた慌ただしく動いていた、戦い

の後、意識の戻らぬ裕太は担架に載せられていた、状況はかなり悪

い状態であった、医師でもあるヌクの見立てでは生きている状況の

今が既に奇跡というべき状態、未だ辛うじて息のある状態を保って

いるのは皮肉にも戦いの相手、グリマンであるボルドから渡された

薬のおかげであろうとヌクは言っていた、いち早く安定した設備の

整った医療施設への移送を最優先と判断したヌクは純衣にそれを託

すのだった、クリスは足を骨折し孝雄やその仲間も負傷は軽くな

かった事から全員が避難に向け動いていたのだった。


ヌク「これでええな、ハク、お前の伝言通り仲間と皆は避難させた

が、お前は雪丸には勝てない、だから時間稼ぎの為に1人だけ犠牲

になるつもりじゃろうて……バカと言いたいが此処での判断はそれ

しか手が無いのも理解しとる、許せ、わしゃ捻くれ者だからなの、

お前の指示でもこれだけは聞けん、お前に言った策じゃがな、敵内

部の実行はなんとか成功はしたが、ワシが提案した最後の仕掛けな

んじゃがあれは実を言うとワシにも奇跡を願うしかない手なんじゃ

だがそれしか手が無いのも事実、そしてそれを成した所で成功の確

率はほんの少しは上げられる、そこでこの命じゃ、それでも計算上

では……だが此処でやらねばどちらにしろ日本は終わるのは確実、

だが此処を凌いだとて後の結果は変わらんだろうが、それでも、そ

れでも奇跡を信じ奇跡を何度でも起きる事を願うにも、やらねばそ

れも起きないのも事実、だからせめて生き残る人類の為に逃したア

イツらに運命を託す……」


「1人では逝くには寂しかろうて、こんな老ぼれでもお前と共に運

命を共にしてやるぞ……」


 残す時間は15分、嵐の前の静けさは不気味なほど静寂を貫いて

いる、その中で人間だけが祭りの中で狂気や欲望に駆られ怒号や歓

喜の音を暗闇の先の明かりの中熱気に包まれていた。


中馬「混乱に乗じ、民間人を避難させるは奴等の要求でしょう!我

々の任務は関西地区最大の異星人基地の脅威圏内の縮小もしくは調

査だった筈です」

栗栖「あぁ、その通りだ」

中馬「時間が無い今民間人救出と敵脅威圏内排除を同時にこなすに

は無理があるのではないでしょうか……それこそ任務に支障が生じ

敵にわざわざ発見されるリスクを負ってまで、最優先事項を軽視し

過ぎると思われますが」

来栖「時勢が変わったのだよ、何方にしろ規模のでかい格納庫と思

われるハッチを封鎖するのが目的、それには裏山の崖壁を破壊しな

ければならない、それには此処に派遣されている人員、弾薬、物資

時間……全てが足らないのは明確だ」


 だが本来の目的は少し違った、自体は刻一刻と変わり絶望とも思

われる事態に部隊を円滑に動かす為に目的は隊には知らせてはいな

かったのである。

加賀美「内部に侵入する経路の把握ですら不可能に近い、それをす

るにはハクと言いましたか、奴らの仲間のグリマンを捉え中の情報

を聞き出し我らだけですべきかと」

来栖「無理強いしグリマンが協力せねばどうする」

加賀美「しかし!今はそんな状況ではありません、拷問でも何でも

して……民間人に何が出来ると言うのですか!」

来栖「では情報を聞き出せたとして内部の戦略をどう立てる?大人

数を割き発見率を上げてむざむざ部隊を壊滅、及び此方の思惑を敵

に知らせるか?」

加賀美「……」

「此処にある武器でグリマンを抑える事が可能か?グリマン所かレ

イダー制圧すら困難だろう……しかも祭りだ、近隣の奴等の仲間や

商売人のレイダーがこぞって向こうの支援に回るだろう、それが可

能だとしてもあの山を崩す事など部隊の兵器では無理と言う物、戦

闘機を出せればそれも可能だろうが敵空母からの攻撃は今までの事

例からして離陸後1分も持たず撃墜されるのが関の山、低空飛行が

可能なヘリでの攻撃は周囲を山や背の高い森林で囲まれているこの

場所では到達は難しい上に台風接近だ」

中馬「我々ではどうしようもないと……クソ!俺達は何の為に此処

に居るってんだ!」

来栖「猛るな、我々も必要、物事には役割がある、自分達が武力の

中心だと奢るな、だが我々だからこその役割もある、力で制する事

の虚しさは異星人が来襲した時点で理解しただろう、力には種類が

ある、それに今はアイツらに頼るしか手は無い」


 ヌクが会場に姿を現した時その目に映る会場に既にハクの姿は既

にどこを見渡しても居なかった。

ヌク「やるのぉ、まさか戦いから抜ける策があるとは、ええぞ!少

し早いが良くやった、聞こえるか……ハク、時間が無い、そのまま

逃げろ、後の事はワシに任せて皆と合流するんじゃ」

 だがハクからの返事は無かった……それもその筈、ハクは再び会

場へと走り戻る姿がヌクの目に入ったのだった。


ヌク「なっ!やめんか!唯一じゃ!今がお前の命を繋ぎ他の者も脱

出出来る好機なんじゃ、何故戻った!」


 皆が理解出来ないまま周りを囲んでいた役職兵も呆然とする中、

人々がハクに道を開けた、再び対峙する雪丸とハク。

そして明道に通信が入る。

シールドマン「どうする?時間が無ぇんだよな、此処でまたアイツ

に攻撃を仕掛けても意味が無ぇ気がしてならねぇ……それに何故ア

イツは戻った?狙撃兵も狙えぬ位置から逃げたのは偶然だとしても

それよりアイツ俺を敵として認識して無ぇ気がするんだが……」

明道「……それは俺も感じた」

『確かにそうだ……だがそれはお前だけじゃ無ぇ気がする、何を考え

ている?策は知っている目的も、だがそれはお前1人でどうにかな

るものでは決して無い、知っているぞ、何をやらかそうとしている

か、だが……この時間の無い今、俺達がお前についたとて意味が無

い事もな、故に賭けたい気持ちがあるのは嘘じゃねぇ、だがお前側

に付く気は現実的には無い、故に俺はお前に枷を加えた、それは答

えは今まで通り笠田に付くつもりだったからに他ならなねぇ』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ