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ハク戦 11


振り向いた2人の目に映ったのは雪丸に演技とは言え同時攻撃が

始まっていたところだった。

『演技だぞ、わかってんなオイ』

 だが制空圏に入るや否や2人の腹に雪丸の拳が見えなくなる位め

り込んだ姿が見える、弾ける様な音と肋が折れる音が反響する中、

仲間の背中から肉が異様な盛り上がりを見せ、まるで重力など無い

かのように大きな体は子供が遊ぶ玩具のように重さを感じないほど

に弾けるように吹き飛ぶのだった。


「我が制空圏とは中に入る外層は適応できる範囲、そこから数セン

チでも入れば拳のめり込む深さとなる、通常は私の反応速度からし

て入れば敵を粉砕する範囲であったがハクは外層の特性を理解し致

命の一撃である筈の攻撃を利用した……本来は円に入る動作で待ち

構える者に向かう事自体が力の方向性として私の力と衝突し合う事

で成立する筈だった、が逃げる事を目的とした力はその範囲を掠め

る様に入り、力を分散しながらもその威力を自分の力に変えた……」


レイダー「何だそりゃ!あんな人の飛び方ありかよ!」

そしてほぼ同時にもう1人が宙を舞っていた。

司会「てメェ!こうなりゃ追加だ控え!全員出ろ!」

ハク「最早なりふり構わず……」

レイダー「戦いに爆薬なんか使いやがって、汚ぇ野郎には充分だ」

ハク「て、違うって言ってるでしょ……まぁ材料なりふり構わず投

げる彼方達のお勉強不足って事でにゃはは」


レイダー「司会!どうすんだこの状況、雪丸も味方じゃねぇじゃ

ねぇか!」

司会はマイクに耳を傾けていた後軽く頷くと言った。

司会「おい、こうなったらハクは後回しだ……ハクは2名に対し雪

丸にやられた仲間の方が多い、こうなったら雪丸を先に殺せ……ど

うせ混戦した中でハクを仕留めるのは狙撃でいつでも出来る、なに

混戦の中の事故だ、最早時間も無い中、体裁を保つには無敵だった

雪丸を殺しても俺達組織の方が強い事を示せば見せしめとなるとの

事だ、遠慮なく複数でやっちまえ!」

雪丸を見つめるレイダーは溜息を吐いた。

「ってもヨォ……」

司会「どちらをやっても報奨金は提示額の10倍だそうだぜ、後は

遊んで暮らせるぜ?」

「……」

その言葉に駆られ20名ほどが雪丸を囲み出した。

「この人数なら一気に攻めれば何とかなる筈だ、奴は制空圏からは

出ない、囲め」


 対しハクを囲むレイダー達の人数も増えはしたが此方も簡単には

手が出せずにいたが観客席にいる明道が声をかけた。

明道「情けねぇなぁ、お前らグリマンとて大量のゾンビなら押し切

られるんだぜ?なぁ?シールドマン」


男「アイツのいう通りだ、それにどちらを殺しても報奨金は10倍だ

とさビビんなビビんな、俺が持つ装甲が一際厚いこの盾ならあの程

度の爆発簡単に抑え込めるぜ?俺がカバーしてやる、爆発した後奴

は棒先を交換していただろう?つまりは連発出来ねぇ、誘発してし

まえば後は後はお前らのターンだ」

「……それなら」

「だよな、コイツでも報奨金はもらえる、やるか」

明道「そうそう、そう来なくっちゃな」


 ハクと雪丸を同時に囲んだレイダー達、先に動いたのは雪丸を

襲った側であった。

「いいか!前衛は防御に徹しろ!いくら強くても防御に徹すれば一

撃で終わる事は無ぇ筈だ!押し切れれば、いや少しでも動きを止め

た時点でぶっ刺せ、後ろも回り込め、同時に背後から背中を刺すん

だ、円だかなんかしらねぇが手足4本しか無ぇ人間だ、同時に襲え

ばいくら早くても同時に反応は出来ねぇ、おら行けえええ!」 

 怒号と共に3人の男が一斉に前へ出た、両腕でしっかり頭を守り

腹を下に向け突進の構えを取る、同時に前衛組は3人を起点に重な

り合いラグビーのスクラムのような形を取った。

「この陣形ならいくら強かろうが抑え込んじまえば力で負けること

は無ぇ筈、押し切れ!少しの時でも動きを止めれば一斉に刺せ!」

「おおおお!」

 それでも動かない雪丸の前に制空圏の中に押し入るレイダー、そ

の力の集合体である塊さえ一切怯む事なく雪丸の拳が真ん中にいる

男目掛け放たれた、石の様な拳は防御するレイダーなど無視するか

の様に相手の腕ごと押しつぶす様にメリメリと音を立てながら頭部

を押し潰されて行く。


 例えれば数トンをもあろうかと言う鉄球に体を壁を背に受けた状

態を思い浮かべればわかりやすいだろう、人がどんな防御体制であ

ろうがあまりにも違いすぎる力の前には小細工等作用する筈も無い

と言う事であろう、さらには力を分散させるべく後方に逃す力はス

クラムという壁が押し込む力により更に男にかかる力がかかる訳で

ある。

「クピ……」

だが隣のレイダーから見ればチャンスが来たと思った。

「掛かった」

 真ん中の男が倒れた事に加え拳の反動で雪丸の手が弾かれる様に

横に居た男の顔面へと伸びた、拳だった手は開かれ掌打に変化、彼

の真髄の技へと変化する。

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