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脱出開始





 相葉「さっきから何やってんだ?」

ポルキ「ハクは言った、直に警備が薄くなると、今がその時らし

い」

相葉「そんな事あるのか?確かにハクが純衣戦で外部で乱闘騒ぎに

なった時、かなりの負傷者が出て警備に人が割かれたとは聞いた

が……その上に増員をさせるなんて手が?しかも戦いの最中に?更

にそれを1人で?だが確かに地上の警備がかなり試合会場に集結し

ているのは確かだ」

ポルキ「大丈夫だ彼に任せよう」

相葉「……どうして言い切れる」

ポルキ「誰もが自分の役割を理解し、それを補い合ってる、それは

暴挙でも裏切りでも欲望でも無い彼等だから成功するに決まってい

る、お前がそうであるようにな」

「俺が?」

「今までのお前の行動や性格、生い立ち等は知らぬ、が今の行動は

今までの自分のあるべき行動か?私だってそうだ、本来あるべく行

動とは言えない、が今此処で危険を冒してまで此処の人間達を救お

うとしているではないか、それは自分の境界線を越えた行動、すな

わち自分の枠を越えたと言う事だ、それを繋いできた経緯や仲間の

存在がお前を此処に呼び寄せた誰でもなくお前自身がな、そして紡

いだ仲間が皆それぞれ同じであろう……予測できない行動こそが未

来を作り込められた行動しか出来ない我ら種族に唯一勝つ方法だ」

「やれやれ……俺よりも人間らしくなってきたな」

ポルキ「それが人間か?」

相葉「……どうだろうな、お前達種族と同じ、普通は逆の方が多い

だろうな、人間の文明社会は多人数の意思や意見が常識と呼ばれる

から彼等は非常識、人間らしく無いのかもしれないな」

ポルキ「そうか、人らしく無いのか……」

 首を傾げながらも忙しく紋章を描き続けるポルキの頭にある事が

過った……まさかという表情を見せ再び首を傾げるとふと手を止め

た手に力が入るのを自身が感じていた、その目には新たな希望、

だが頼り宛にする事の可能性がゼロではないもののあり得ないとい

う表情の中、心が少し高揚感に胸を躍らせた。

相葉「で?何してるんだ」

ポルキ「内部映像を一時シャットダウンさせる、ハクが言った通り

なら暫くは外の警備は薄い筈だ、グリマンも隊長戦が終わり内部に

帰還している、信号では彼等のいる位置は脱出経路とは遠い、だが

此処の内部の人間が外へ出るのに早くても約30分はかかる、同時

にカメラの数5億に対し脱出経路は200通過する事になる、一部映

像を各バラバラにシャッフルさせる事により混乱を引き起こす、脱

出経路の映像を切った所で簡単に場所を特定する事は出来ない筈、

複合するプログラムを仕込み映像は随時切り替わる、ポップアップ

機能を施し戦艦内部の自動修正プログラムより早く処理させる様に

する事で膨大な情報を随時入れてお前達人間社会で言う各分かれた

サーバーをパンクさせる、とは言え持って30分、時間にしてミス

は許されない」

相葉「だがプログラムを知る者が多ければ対処されるぞ」

ポルキ「この戦艦は機械文明の種族が主に開発し殆どが自動で動い

ている、それに加え我らは置き去られた者の集団だ、言った通り頭

脳タイプは少ない、故に理由はわかるな?」

相葉「君たちの主人がとった行動が仇になる」

ポルキ「そう言う事だ、一時間前に地球に残された衛星一基の場所

は特定した、我らグリマン族以外に近隣の宇宙にエネルギーや磁力

の歪みを探し出すのは困難だったがな」


ポルキ「おしゃべりは此処までだ、勝木と言ったな後は手筈通り、

時間はもう無い、彼が役目を果たしたバトンを今繋げる時だ」

勝木「了解!急ぐぞ!自由への扉に俺達の新しい人生初めっぞ!」

ポルキ「相葉、私たちも急ぐぞ、目的地は近い、そこでなすべき事

をする」

相葉「あぁわかった相棒」

『やれやれ……社会でもこんなに濃密な信頼関係を築いた事がない私

がまさか異星人の、まして侵略者に心許すとはな』

 ポルキは慌ただしく動かしていた手を止め険しい顔で画面を見つ

めるとキーボードで言うエンターキーを押して溜息を一つついた。

ポルキ『やはり存在したか……』

相葉「どうした?急ぐんだろ早く俺達も行くぞ」

「あ、あぁ、わかったタイマーを起動しヌクにも知らせてくれ」


ーークリスーー


クリス「こっちは準備OKだ」

相葉「了解した」

勝木「へへ役に立てたな」

クリス「馬鹿野郎……道筋が一本間違ってたぞ」

勝木「へ?そうかい、まっ着いたならいいじゃねぇか」

クリス「そうだな……お前らのお陰だ、感謝する」

 着々と準備は揃っていった、終結の時は近かったが問題もまた発

生していた。

田代「ってあんたその足でどうするんだ」

クリス「大丈夫だ……ほら歩けない訳じゃねぇ」

 クリスはC棟へ向かう途中グリマンに遭遇していた、戦闘に入り

何とか敵を撃破したのだったが足を折られ歩行困難になる程致命傷

を負っていたのだった。


 野良のグリマンだった筈だ、恐らく定期接種から出た所だった筈

アーマーも装備していない状態だったから何とか倒せたが、それに

一体だったからあのグリマンが消えたとて時間は稼げる筈だ、出口

までの行き道には念の為油で道を記しておいた、そのライトを照射

すれば道は示される、俺の事は置いて早く行け!」

田代「ったってアンタを置いて行くなんて」

クリス「まだわからねぇか!邪魔なんだよ!この足でお前達守りな

がら戦えってのか、それに仲間が俺を迎えに来る手筈だ、余計な

心配する暇があったら此処まで来た俺の苦労に報いやがれ」

田代「……わかった、おい!みんな出るぞ!彼の話じゃグリマンが

通路に巡回まで20分も無い!女子供は支えれる奴が面倒見ながら

行け!」

鍵を開けると一目散に逃げる男達が数名駆け出した。

田代「こら!ライト持って行くんじゃねぇ!」

原田「知ったことか!20分も無ぇってのに面倒見ながら行くなんざ

ゴメンだ、誰もが一つしかない命なんだ、テメェが俺の命指図する

んじゃねぇ!行くぞ!」


クリス「田代!あれしかライトは無ぇんだ!追え、絶対に捕まえろ

アイツらが自由に行動して他のグリマンにでも見つかったらそれこ

そ終わりだ、ここに居る皆どころかA棟B棟、ハク達までも」

田代「わ、わかった!俺の足で追いつけてもアイツら数人に勝てる

とは思えないが、誰か!一緒に行ってくれ」

合田「無理だ……此処に幽閉されて動きも制限されてたんだ、足腰

の筋肉が弱ってるのに」

竹「お、俺も無理だ、喧嘩なんか無理だ」

クリス「テメェら!本当に終わっちまうぞ動け!動けよ俺の足」


 原田達の影が見えなくなり残された皆に失望感と共にへたり込む

者達も多く現れた。

田代「おいアンタ、逃げ道になる道は簡単なのか?」

クリス「途中分かれ道が15程ある……」

田代「……そうか覚えるのは無理だな」

クリス「クソが!すまねぇ……ミスっちまったハク、もうお前が雪

丸に勝っても意味がねぇ」


 気づけば傍に女の子がクリスの体を起こそうと懸命に足掻いてい

る姿が目に入った。

「お前……」

萌「ごめんね……ごめんね皆おかしくなってるから」

 クリスの体は揺さぶられるもその場から1センチも動きはしな

かった中、諦めずありったけの力を絞り出していた。

クリス「お前何歳だ」

萌「11歳だよ」

クリス「そうか、ここで人生終わらなきゃ夢はあるか?」

萌「恥ずかしいけど好きな男の子出来たんだ、同じ捕まったコミュ

ニティに居た男の子なんだけどその人と付き合いたい、それにお父

さんお母さんも見つけなきゃ……でも夢は此処を出てそれから」

クリス「ククク……強ぇなぁお前」

萌「男がだらしないから仕方ない、此処に来ても何度か怖い目に

あったけど助けてくれた人が居たから、此処には居ないけど」

クリス「捨てたもんじゃねぇてことか此処の連中でも」

萌「田代さんもいつも気にかけてくれてた女は少ないから危険が多

いからって、腕の悪いお兄さんがたまに来て手を出すなっていつも

喧嘩しては出ていってた」

クリス「……此処に出入り出来る人間が?」

萌「……うん、それに生殖には制限があるって言ってグリマン種族

の特に強そうな宇宙人に殺された人も居たよ」

クリス『実験の為か?殺すにしても必要性は確かにある、がそれだ

けではないかも知れないな、人道的捕虜の安全を意識するグリマン

も居てもおかしくは無いな、裕太戦のあの異星人も居た位だ」



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