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疲労



 其々の想いが交錯する夜が更けていく……


 純衣は1人丘の上にいた、遠くを見つめる先には破壊

されて居ない発電機の搭載の建物の灯りが微かに……そ

して一定間隔で起こる爆発の光が彼女の眼に映る、それ

をただじっと見つめる彼女の背後にはハクも同じ目線で

佇んでいた。


 風が冷たく感じる季節の中、時折吹き荒ぶ風の冷たさ

は心の暖すら冷えさそうとする、誰もが人は暖かさに心

を癒し明日に希望を求める、どんなに明日に地獄が待っ

ていようが明日は来る、常に人生の終わりを告げる存在

が辺り中に居たとしても人はその中に放り込まれるのだ。


純衣「闇に光る炎の中にまた悲しみが増えていっている

のね」 呟く彼女の側で同じ炎を見つめ2人は座り続け

た空は人間社会の事など何事も無いかのように星々が綺

麗に輝いていた、そう何事もないかのように、昼間は

地球に近い大気圏外から映る巨大な宇宙人の空母が見

える、月が昼間でもうっすら見えるかのように今まで

に見られ無かった景色が当たり前の景色として今はも

う見える……皆が皆、あの人類の文明が壊れた時の事

を忘れはしないだろう、悲鳴や怒号、混乱、阿鼻叫喚

の感情が声となって辺りに響く中、知人や家族が地獄

絵図という中に取り込まれた、人の想像を超える恐怖

戦争の恐怖、得体の知れないものへの恐怖、人が人で

ありながら人を押し退け生きようとする者、諦めの中

にただ呆然と立ちすくむ者やがて多くの人は肉片とな

る者や変貌しゾンビと化していく恐怖、そしてそれが

当たり前の恐怖……


 大規模な侵略後、人の生活も大きく変わった、昼夜

問わず襲いくるゾンビの恐怖、それは寝る、食うすら

もままならぬ状況を強いられる、多くの人は食料や水

を求め彷徨う、ゾンビがいればそれを回避し、また多

くの時間とカロリーを消費しやがて動けなくなり、ま

た彼等をゾンビに変えていく、宇宙人がこの手法を使

う理由としては実に効果的かつ経済的な手法と言わざ

るを得ない、まるでウイルスが人の体内に感染し己が

生き残るために母体である人の体を蝕んでいく、やが

てそれが母体を失う事により自身の命を奪う結果とな

る事となる愚かな生命体、そしてそれはまさに人間も

同じだ、環境汚染に自衛と称し核などを所持する誰も

が自身、国の為と称し口だけで世界の平和は飾りにな

り己が欲のために地球という母体を喰らい続ける、誰

もが分かるはずだ、自身の住む星を壊す行為、それは

人や国の問題など関係ない全てを目先の利益の為に全

てを無くす行為となる事を、そう全てである……どん

なに大義名分を掲げようと大地を失って何が平和であ

ろうか、平和すら殺し合いすら何もかもできなくなる

無が確実に先にあるというのに。


 そして現代に生きる人はサバイバルになると自然界

に身を置く動物よりも弱く、心も遥かに弱い……自ら

生命を終わる者も決して少なくない、田や畑を耕す事

の難しさ、平和がいかに大事か、人は当事者になって

初めてそれを学ぶのだ。


誠「ちとハクの所行ってくるわ」

裕太「駄目だよ、今はそっとしておいてあげて、さっ

き迄、僕に異星人対策の修練で疲れてるんだから」

クリス「お前はそういう所は見た目通り配慮が無ぇん

だな」

誠「う……そ、そうだな、息抜きにトランプでもするか」

クリス「元気だなお前は、俺は体が千切れると思う程

に全ての関節が軋み肉があり得ない程の筋肉痛だぜ」

誠「痛いわな確かに、だが心地良くもあるじゃねぇか、

またこれが筋肉となり仲間を救う力となる」

裕太「相変わらずプラス思考だね勇気つけられるよ」

クリス「馬鹿なんだなうん、そうなんだな、馬鹿はほっ

といて、裕太、対策は出来たのか」

裕太「彼等の力が何処まで強いのかも明確にはわからな

い状況だから半分は出たとこ勝負になりそうだけどやれ

る事はやったよ」

クリス「彼等のような力と対峙した事が以前ある、遺

伝子操作されたクローンだ、仕組みは同じだろう、人

で力で対抗するのは正直難しい……圧倒的な力の前では

全てを潰される」

誠「だろうな……ゾンビ熊と戦った事はあるが奴らは

それ以上」

裕太「乱戦時、熊と対峙するグリマンを見たけど熊よ

りは強いね、あれで半分と言った所かな」

誠「半分か……だが雪丸は倒したんだろ?しかも複数体、

手はある筈だ」

裕太「そこだね救いは、だけど彼も普通じゃない」

クリス「技の極みが力を凌駕した結果なのかわからな

いが、まともに戦えば負けは確実だ、いくらお前に力

があってもフルパワーで戦う事が出来たとしてもだ、し

かも爆弾付きとなれば尚さらだ」

誠「でハクの作戦は何だ、アイツも普通じゃ無ぇ、普

通じゃ無い者同士なら奇策が通用する可能性もまた高

いはずだ」

裕太「基礎は聞いたけどこればっかりはやってみない

とと言っていたよ」

クリス「そうだな……だが握力だけでも人の頭骨を割

る位の奴等だ野生のゴリラとかなら同じ事出来るかもな、

野生はまだ生きる本能が強い分無理はしない、ゴリラも

頭脳を持ったら確かに同じ可能性もある」


裕太「2人は大丈夫なの?」

クリス「……」

誠  「……」

クリス「正直言って良いとはいえないな……痛みもだが

思うように腕に自由が効かない、範囲は広がっている

だろうな、今は誠がカバーしてくれてるがそれも今の

状態が進行すれば……」


誠「俺も視界の悪さが狭まってるのを感じる、この先、

戦いが続いた、いや生きてる限り何処に行ってもある

だろうが戦力として成り立つかどうかは……」

裕太「……大丈夫僕が仲間を守る、もう僕らは家族だか

ら」

クリス「お前も次どうなるかわからないぞ、無事です

む戦いなんぞそうある物じゃない」


 暗い雰囲気が部屋の空気に漂う、だが近くで遊んで

いる子供達の声が場違いの中聞こえてきた。


誠「まっいいじゃ無ぇか、あの笑い声を守れてんだから、

それによ考えたって仕方無ぇ、考えるだけ疲れる、疲れ

るより、あの笑い声を聞いて笑っていようぜ」


 目を細め静かにつぶやく誠の笑顔は作り笑いでは無

かった、心の笑みは辺りを黒からオレンジ色に変える

ように皆に安心感と決意を心に刻ませた。


誠「そういえばあんなに騒いでた勝木トリオとポルキ

はどうした、相葉のオッさんも見かけ無ぇが」

クリス「あの3人は騒ぎに乗じてグリマン内部に侵入し

てもらった今頃、救出作戦の準備に取り掛かってる筈

だあの混乱はチャンスだったからな、ゾンビも異星人

達が参入した事によりグチャグチャだ、誰が犠牲になっ

たか区別なんてつかないからな、ポルキがそれに上手く

やっているはずだ、向こうのテクノロジーを使って」


裕太「作戦は?」

クリス「知らん」

誠「おいおい知らんて」

クリス「この展開がお前に読めるか?俺には無理だね、

状況は二転三転してる、即座に対応出来る策をいくつ

か用意はしているが、各個人個人同じ意思、目的で進

めば策はおのずと繋がるはずだ」


ーー丘の上の2人ーー

純衣「……悲しいね」

ハク「……悲しみだけで世界は染まることは不可能だよ」

純衣「うん……」

ハク「それでも人は快適な暮らしを見つけ生き残りさ

えすれば」

純衣の肩に手をやると一言呟いた。

ハク「いつか本当のスローライフを」

 純衣はハクの方へと寄り添いいつまでも星に希望を

込めて、そして嫌でも視界に入る絶望の炎に狭間でた

だ側にいる事で締め付ける何かから身を守ろうと彼に

しがみ付いた。


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