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残された3人


美優「駄目、囲まれてる様に人が見える、このま

まじゃ逃げる所か、時間の問題よ」


スコープで絶えず辺りを見回す美優の目に映った

のは……

「右のビル3階に1人左の民家に1人正面奥に1人、

この分じゃ後ろにも居るかも……」


真美「……もう駄目かもね」

美優「諦めないで!私は諦めない!鈴を、鈴を守

らなきゃ!そ、それに明さんが仲間を呼びに言っ

てるじゃない!」


カタカタと震えながら、自らを奮い立たせる様に

真実に口調も激しくあたる。

真美「人間諦めが大事なのよ……貴方まだ若いか

らわからないだろうけど大人になったらね、自分

の思い通りにいかない事ばかりなの、大人が守っ

てる環境下に気付きもしないのは仕方ないけれど

これが大人、そして本当の真実、現実なの」


「投降して全てを諦めれば命は助かる、特に女や

医者はね、利用価値があるから」


美優「……いやだ」

真美「やりたく無いなんて言葉は社会には無い所

詮、貴方の言う希望なんて、子供のわがままなの

よ、誰かがなにかしてくれる、貴方、今、心の何

処かでそう思ってるでしょ、まぁいいわ……諦め

れば命は助かるわ……」


納得いかない美優

美優「何で、希望を持つ事がいけないの?そんな

の解らない、大人って諦めて成長するものなの?

私達子供は諦める為に生まれてきたの?そんなの

嫌!」


気性の激しい美優は銃の柄でタンスを激しく叩い

た。

真美「それが子供なのよ!今の音で、周りに気付

かれたかも知れないわよ、気持ちだけで動くから

そんな事になるのよ、その結果鈴ちゃんを危険に

晒してる事も解らないのよね」


美優「……」

美優が口を開こうとしたが、その言葉を遮るかの

様に吐き捨てた言葉を出す真美。


真美「何とか言いなさいよ!」

泣きながら俯く美優、怒りに手が震える。


美優「こんな時ハクならだ……大……丈夫て言って

……くれ」

真美が激しくドアを叩く、


「あの子にだってどうしようも無いわよ!それに

ねあの子がどんなに機転がきいたって今、現在、

解る?此処にいないの!」

「もっと現実を見なさい!」

美優から生気が消え、銃を落とし膝をついた。


泣きながら自分でも、どうしていいか解らずひた

すら泣くしか手はなかった、

真美「泣きなさい、泣いてどうにかなる物でもな

いし、泣き疲れたら諦めもつくわ……


(泣きたいのはこっちよ、戻りたくないもういや)

自分を殺す様に静かに諦める心の準備に入った真

由だった。


彼女だって社会人になる前は希望に満ちていた、

看護師になって希望を胸に生きようと……


現実は厳しいシフトに患者さんからのセクハラや

パワハラ、元気になって欲しいという純粋な気持

ちは次第に作業へと切り替わり夢は現実とすり替

わっていく。


無論、中には希望をくれる患者や先輩も居た、し

かし人はマイナスに強く引っ張られる傾向がある、

100の嬉しさより1のマイナスな言葉の方が勝る事

が殆どだ。


そして『諦め』と言う思いは彼女なりの自分の守

り方だった。


休日も仲間と休みもなかなか合わず、1人、家にい

る時間が学生の頃とは違い闇が深く重く彼女の心

を侵食していく。


初めの頃は一本立ちした自分に誇らしげも感じて

いた。自由な時間、好きな事を出来る。お金だっ

て自分で稼いだ金だ、誰が何を言う訳でもない、

家族に少しばかりだが仕送りもしている、私はちゃ

んと生きてる。


家族にも貢献している自負もあった。1年が過ぎた

時、その自由は、孤独へと変わる……


帰っても誰も話す事なくテレビを見る訳でもなく

つける、本来は明るい電灯に薄暗さを感じ、目に

入ってくるテレビに内容は頭には入らない、何か

考えてるようで何か考えてる訳でもなく、ただ時

間が過ぎて行き、また同じ作業への1日が始まる。


永遠と続くかの様に……


ふと、気付く、たまに考える事と言えば明日の仕

事の事……また、上司に叱られ、患者にも嫌がら

せをされる。向こうは嫌がらせだとは思ってもい

ないだろう……

だが私は毎日……

傷ついている……


同じ叱られるのでも、思い出すのは家族学生の頃

はウザいと思っていた親の説教が堪らなく嫌だっ

た。


今は、その説教が聴きたくて堪らない、故にそこ

から脱出し家族の下へと帰ろうと決心した挙げく

がコレだ……私は運が悪い。


そして何故、女に生まれたのだろう何故、私は此

処にいるのだろう何故、私はこんな目に合わされ

るんだろう。


私が何をしたっていうの?


生きる為の決断は諦める事、そう気付いたのは2

年目の終わり頃だった。


美優


ついこの前まで、私は部活に勉強に頑張った。

良い子では無かったかも知れないが親が共働きな

事もあり鈴の面倒だって見て来た。


日常は学生にだって色々ある。


日々自分が仲間と言うグループ社会から弾かれる

か、部活でヘマをして怒られないか嫌われないか、

それでも部活の仲間が、挫けそうになった時は側

に居てくれた。


先生も私に期待してくれてる、仲間の為、親身に

なってくれている先生や親に私は喜ばせたい気持

ちもあり頑張った。


正直、何かに何時もイラついて爆発しそうな自分

を抑えるためにやっていた感もあった、名一杯周

りの為に頑張りたい、そして、自分の中から湧き

出る何かを抑える為にエネルギーを放出する意味

でも頑張った。


先生もこの人の言う通り、実は諦めの中に業務、

仕事だからそうしたのかな……先生が先生と言う

職業上の中でしなければいけない仕事だから作業

でやりたくも無いお金の為に私達に優しいフリを

して体裁を見繕ってたのかな……


仲間もメンバーが欠けると困るから、そして、そ

うしないと仲間外れにされるから、体裁の為にし

たのかな……


私がやってきたことって何だろう、私が生まれて

来た理由てなんだろうーー


そもそも理由なんかあるのだろうか、親だって、

子供を作らねば、周りと同化出来ない、人は子を

産まねばならないとの常識だけだったのかな、


諦めの先に『生きる』て目標があるのかな。


美優は心の中で、狭い場所で家畜として飼われて

いる鶏を人間と置き換え描いていた。


私は将来の夢があった。


保母さんだ、私は子供が好き、妹も好きだけど、

無性に腹が立つ事も多かった。


こんな私が保母さんになるなんて、人からみれば、

お笑い草かも知れない、もっとこのイライラが増

して行くのかなんて考えもしなかったケド、この

人が言う様に、諦めが私の未来の先を支配するな

らば、私は子供達に今と同じイライラするだろう。


そして保母さんという職業が嫌いになるだろう、

しかし、それは夢や、希望、やりたいと思う仕事

全てが、挫折や大人達の言う諦めが支配するなら

ば、やはり嫌いになるだろう。


故の答えは、実際大人の真美さんが言うものなら

ば、職業としての選び方なんかどうでもいい、逆

に言えば、何も興味がない職業の方が傷が浅くて

良いのかも知れない。


私は……大人って……一体何だろう。


そう思うと自分に悔しいのか社会に悔しいのか、

今、置いてけない鈴への怒りに涙が出るのか、真

由さんに対しての怒りなのか……


心からイライラする、大人にも、将来にも社会に

も、今の現状にも、真美さんにも鈴にも、置いて

いかれたかも知れないという猜疑心もでて明への

希望も怒りに変わる、外にいる傍若無人な奴らに

も、そしてそして……自分に


一番怒っていた……


ただハクは、その中に居なかった。それは好き?

いや違う……違うが何かハクにだけは怒りの理由

を探すもその答えは出なかった。


悔しくて、そして怒りに泣き崩れる2人の女達だっ

た……


【今日のポイント】


マイナス思考は伝染する、そして自分の全て

を否定する。


思考は判断力を鈍らせ、自分で自分を

追い込む結果しか生まない。


それは解決の為の『思考』では無いからだ

答えなど出ようはずも無い。


悩んだ時は、自分がその思考になって

いないかを認識する粉と空始まる。


同じ悩みでも後は解決する思考に変えれば

いいだけだ。


解決する方法は常に自分の中にある。

周りはそれを気付かせてくれるキッカケ

となる。


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