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待ち合わせ



ーそしてグリマンの放置ー


ポルキルス「よしこれでバレる事はまず無い」

取り変わった小型グリマンの亡骸の胸に右手を

優しく添えると自分の胸にも左手を添え祈った


ポルキルス「同胞よ、安らかに眠れ、

お前の魂はマザーの元へ帰る、

そして時がき、魂は再び叱るべく時に

目を覚ますだろう……」

クリス「魂はマザーの元に帰る……か

クローン表現なのか……いや、宗教に似てるな

古代エジプトの魂の復活にもそういう

思想があったな……」


クリス「ポルキルス、一つ聞いていいか?

その……地球が助かる方法があるのか……」

ポルキルス「……私の口からは言えない、

言ってそれを実行しても、その意味は本質が

変わり真の意味から外れる……

地球人自身がそれを求め、本質から実行して

始めて為せる可能性がもしくは……

無くはない、としか言えない……」


ハク「見て!これ凄い光ってんだけど」

緊迫した状況にハクは周りの見た事がない物に

夢中の様で……

クリス「……お前この状況下に」

呆れるクリスとは他所にポルキルスはハクを

見続けると小声で言った。

ポルキルス「彼の様な者があるいは

キーになる可能性はある……か」


ポルキルス「出来たぞ、後はこれを先程の

場所へ置き、警備システムのエネルギーを

復旧させればバレる事はないだろう」

こうして3人は施設を後にした……

クリスにポルキルスを預け、

ハクはB棟へと戻り短くも長い潜入の1日目は

終わった。


誠は次の日も作業に奮闘していた、誠の方も

外部の連絡はクリスと相葉がうまく立ち回り

状況も含め、把握する事が出来た。

統制は複数の綻びを繋ぎ実行する事で確率は

高くなる、全ての綻びを今は集めるのが

彼等にとっての最優先だった。


相葉の交渉で選手の1人として登録されれば

誠は次の日には此処から出る事も出来たが

カケルの話もあり、救出作戦に役立つ人員の

確保が出来る可能性をクリスと相葉に伝え

試合の延期を促していたのだった。

だがそれは同時に作戦の成功性と失敗の二つの

要因を同時に高めていく結果となる。


ーー相葉ーー

相葉「とに勘弁しろよなぁ……延期って

交渉事の延期はまずいい結果が出ることは

少ないんだぞ……相手にペースを握らせる

結果になりかねないからな」


その通りであった、延期に関して承諾した

笠田であったが条件をつけられたのだった。

時間が出来た事でメインイベント雪丸との

戦いに於いては会場を特設するとの事だ、

『血の渇望』と名付けられた大会の名の通り

雪丸を亡き者とするための大義名分と

失敗した時の祭り自体の盛り上がりを想定し

ルールは無し、第二に武器の使用を

最初から持ち込み有りとの事だった、

無論、銃は無しである。


他の試合には笠田のご自慢の護衛が5人の内

3人が参戦、ボスを守護する役目を担った

この人選は対戦相手を確実に殺す為のもので

あると思われる、血は彼等の興奮度を高め

その強さを持って笠田の政権をより強くし

客人とされる奴隷商人側との力の差を見せつけ

交渉をより有利に、さらにスパイであるなら

その力を見せ将来的には傘下に収める計画と

思われた。


護衛5人の中の1人、この大会にうってつけの

人物、暗器を使用する性格が最悪な残忍な男、

こいつを試合を有利にする為でもあるとも

言えた、護衛が参加自体が初であり負ける事は

許されない試合に万全をきす為のものだ。

あと4人の詳細はわかってはいない


相葉「何か、嫌な予感がするな……」

早く此処から逃げたい相葉であったが

ハクの指示で純衣と会う事となる、

選手の1人と推薦する森裕太の存在もあった。


『純衣には約束の日には行けそうにない

森裕太に事情を話し、協力を仰ぐと同時に

純衣には待機して待って』との内容だった。

相葉の外出には監視役が居ないと出る事は

許されない、コミュニティから4人が付き添う。


相葉「南に此処から100キロか……」

監査役「客人、準備できたぞ、乗れ」

車の色は漆黒、いかにもと言う程、

怪しいワゴンを改造したものだ、

ハッチバックの後方にはよくわからない大きい

骨を紐で括った、まるで結婚式で使う缶の様

な物が幾つもぶら下がっていた。


コミュニティは後ろ盾がグリマンの事もあり

それを象徴する為のものらしい、

安易にこの印のある車に人間が手を出せば

血の報復が待っているのを恐れて強盗等が

この目印のある車を襲う事は馬鹿を除いて

稀であった、実の所、グリマンにしてみれば

外でこの目印がある車両を襲う事は無い、

が人間の為に報復に手を貸す事、それも無い

それが真実であったが効果は多大にあった。


相葉「趣味悪ぅ……コスプレ集団に

サイコ精神の象徴か……」

道路を走り続ける、この頃、急激に冷えは増し

時期は冬を迎え、冷たい風が相葉の頬を

刺さるように吹き過ぎていく、

横を見ると流石に寒いのかレイダーらしき

服装もアウターを着ていた、が趣味が悪い

車は停まった、山の麓らしい

彼等が言うにはスチームパンクという名の

ファッションらしい……


監査役「この格好にも意味はあるぜ?

お前、現代で刺青や見た目イカニモって奴に

喧嘩売るか?」

相葉「……成る程、イカレタ格好にも

意味はあるか……時代がこうなったらもはや

これがサラリーマンスタイルと同じか……」

(ますます映画じみてきたな……

てかよく作ったな、こいつら裁縫技術でも

食ってけんじゃねぇ?クククッ)


こうして車は一時間程走り山の麓で停車した。

相葉「まさか徒歩?」

監査役「南は山が多い、車で行けねぇんだ

それに祭りの為とは言え、

此処から南の山にはな、ゾンビの犬や熊が

出やがるからな……車で行けたとしても

人間には音は効果はあるがゾンビは逆だ、

寄って来やがるからな……

俺達だって行きたくねぇんだよ」

監査役B「それに山賊や反乱軍もいるって

もっぱらの噂だからな、この人数じゃ

銃持ってても太刀打ち出来ねぇぞ」

相葉(山賊って……それアンタ達でしょ)


ーー山中ーー

監査役A「おい、休憩だ、休もう」

監査役C「疲っれたぜー、水くれ、水だ」

監査役D「しかし不気味な山だな……」

監査役A「気は抜くなよ、さっきから

犬の鳴き声が近づいてる」

相葉「ひっ!アンタ達倒せるんだろうな!」

監査役B「野犬やゾンビ犬位なら

この散弾銃さえありゃ問題ねぇよ」


監査役B「おい……遠吠えが増えてきてるぞ、

休憩してる場合じゃねぇな、銃構えとけ」

だが時は遅かった木々の隙間から獲物を狙う

野生の目が多数光るのが見えた……


段差のある山道の上から肉の塊が落ちてくる

様に見えた、一同は何故?肉の塊が?

そう思いしばらくソレを眺めていた……が

何やら呼吸はしている、つまり肉ではない

生き物とわかり警戒をさらに強める、

だがそれは瞬時には動かず、

生き物として認識できない程の得体の知れない

ピクリとそれは動き始めた、ゆっくりと

足の様なものが地面へと……

そして不気味にフラつきながら、

まるで生まれたばかりの動物の赤子の様に……


監査役A「チッ……ゾンビ犬だ」

フラフラながら近づいてくる、散弾銃を構え

野犬に標準を合わせる監査役B


肉はただれ、骨が露骨に見える程に

痩せたように見えるそのゾンビ犬は実に

顔の三分の一が無かった。

口に牙は右が無く、顎もおかしな方向へと

曲がり、一見、犬とは思えない程に醜くく

涎に至っては血が腐ったような匂いがする、

内臓も相当痛んでおり、放っておいても

2日は持たないだろうという位に

体の損傷が酷かった。


相葉「何だこれ!ひでぇ……てかクセェ」

顔を覆い凝視できず横に向けると横からも

似たようなゾンビ犬が数体、

どの犬も似たような感じだった。


監査役B「最悪だ、数が多いぞ……

それにこういう体の状態であるゾンビ犬は

噛まれればほぼ病気になる、気をつけろ、

あのコミュニティが貴重な薬を俺達の様な

雑兵に分けてくれるとは思えねぇ、

噛まれたら終わりだと思え、おい、旦那も

客人だからって条件は同じだと思うぜ」


相葉「え?マジでか!」

監査役C「ボスから伝令があってな、

もし『逃げる』『怪しい』『出会う人物が

試合の選手なら、その強さを見極めろ、

その条件に見合わない人物と判断した場合、

無条件に契約は破棄、お前も殺せ』だ、

後は生贄として、お前さんの連れてきた

牢獄の仲間2人をなぶり殺し、

血祭りと名を変えて血を持って補うそうだ、

1人手だれがいると聞いたが、一試合だけ

そいつを雪丸に当ててイベントをするらしいぜ

まぁ仮に見合った奴としても誰が来ようが

雪丸は倒せないだろうがな、笠田も淡い期待は

しているが心底お前の話を鵜呑みにはしてねぇ

って事だろうな、あの人はしたたかだからよ」


相葉「……まぁ相手を100%信じるって事は

商売でも厳禁だから分かる気もするが、

いやいや、まずはこの状況だ、落ち着け俺、

散弾銃あるし大丈夫……きっと大丈夫」

監査役A「たりめぇだ……と言いたいが

なんせ数が多い……お前ら、いつもの様に

自分の身は自分で守れよ、噛まれた時点で

置いてくからな、客人、こうなったらアンタも

戦うしか無いぜ?俺達も自分の命が最優先だ」


静かな山林に唸り声が更に増えるのを

相葉もヒシヒシと感じる、

慌てる相葉「おい、だが淡い期待にしろ、

俺に何かあったらマズいのはお前らだろ!

契約は守ってこそ社会は成り立つんだ

しっかり俺を守れよ!」

監査役B「は?聞いてたか話?命あっての報酬に

贅沢だ、アンタに何かあっても俺達は

お前が逃げたとでも条件に見合わないとでも

言うから問題ないぜ」


相葉「与えられた仕事だろ?

この世界にあってもそれは会社と同じく

コミュニティでも同じはずだ、

しっかり守ってくれ」

監査役D「知るか、歌っとけ」


相葉「お前ら社会でもクズの部類だな……

会社でも働けば金もらえるとでも思って

母体の会社の心配なんか、しなかった口だろ」


監査役C「当たり前だろうが、

やる事やってんだ今までだって会社はそれを

運用し、社員にお金と休みを与えるのが

普通だろうが、義務なんだよ、働くのなんか

最低限でいいんだよ」

監査役D「そうだそうだ、上なんかいつも

言いたいように言いやがって、今までも

残業したけりゃ、お前がやれってんだよな、

そんな上司なら下も機嫌よくやれるってのによ」


相葉「どんな仕事にしろ受け持った仕事に

誇りはないのか?」

監査役D「んなもん誇りなんかねぇよ、

やりたくてやってるわけでもないし、

なりたくてなった訳でもない、

ただ就職しなきゃ生活出来ない

からに決まってんだろうが」


相葉「お前が社長なら下がそれでも雇うのか?

お前自身が社長でお前自身が社員として

希望して入社したいと申し出てきたら、

お前はお前自身を雇うのか?

社長はな、お前ら雇われが出来ない

出資金という借金背負って会社を担い、

社会的補償も何もない状況で社員の為に

リスク抱え会社を運営してんだぞ、

仕事が出来ないならお前ら自身が借金でも

何でもして、トップでやればいいじゃねぇか

出来ないなら、それだけでも意識して仕事に

有り難みをもってしろ、

自分の小遣いで雇った社員があれは嫌、これは

ポリシーに反するからやらないけど金はくれ

って言ってんのと同じだぞ」


監査役D「……なぁ、こいつグチグチ、

ウルセェわ……殺っちゃっていいよな?

お前みたいな上司がいたら僕ちゃん

仕事嫌いになっちゃうよ……

だとしたら困るのは上司だよね?

学校でもそうだ、学生がいるから成り立ち給料

貰ってんだから、土下座してでも俺達学生

はお客さんだろうが?

『教えさて下さい』ってのがお前のいう社会の

礼儀だろ?そう、人としての、れ、い、ぎ、

わかる?おっさん?」


監査役D「ははは、そうだそうだ!そういう

解釈もあるな、お前賢いな」


相葉「……ハッ久しぶりにムカついたわ、

社会でもな、会社という母体に自ら志願

したのは誰でもない、お前ら自身だろう

確かに母体である会社は、お前らクズでも

給料を払う義務がある、だがなそれは連携だ、

どの部署も、上も、管理職でも何でもだ、

仕事に責任も持てないようなクズが

会社を駄目にし全ての社員を

巻き込む事になるんだ」


監査役C「アホか、何回同じ事言わせんだ、

働いてやってんだろうがこっちがよ、

その労働力で社長や、上司は俺より高い給料

もらってたんだろうが、いわば俺が給料

払ってやってんのと同じだろうが、

もっと部下を敬いやがれってんだ」


相葉「働いてやってるか……もういい」

(俺は確かにこの世界じゃ役立たずだろう

だが、やる事はやる、俺が会社と言う組織で

プライド持ってやってきた……

そして掴んだ地位や名誉は状況が悪くなって

自分の都合の為に逃げれる程軽くもないし

俺自身がそれを許さない、家族がいる、

それを守っているのは会社が俺を評価した

お金と言う会社のプライドで

成り立ってるんだ)


監査役A「くっちゃべってる暇はねぇ、

どんどん増えてきやがった、来るぞ!」


監査役Aに向かいゾンビ犬は駆けた

横にいたBが散弾銃を近距離からゾンビ犬に

向かい勢いよく引き金を引くと同時に

ゾンビ犬は勢いよく数メートルは脇腹の肉を

辺りに霧散させ倒れた。


監査役B「……1匹ほら仕事してるぜ」

その脇を通り過ぎCに向かい牙を剥くゾンビ犬、

Bは標準をCにすぐ様銃口を向けたが……


監査役C「クソったれ!銃があたらねぇ!」

既に足元に潜り込まれたCはピストルを

右や左に銃口を向けるが犬の方が

視線より早く足にまとわりつく様に潜り込む。

「クソ!クソ!クソッタレ!」

暴言を吐きながら銃を足元に向け発砲しまくる

Cの弾は地面の土を弾く、3発目に放った弾は

運悪く小石に当たり跳弾が自身の足首に被弾、

叫びながら転げ回るも援護にまわったBの

散弾銃も的と仲間の距離が近過ぎて撃つ事が

出来無かった……


C「テメェ早く助けろや!クソ痛てぇ!」

うずくまり足を抑える……

D「助けようとしただろうが!

鈍臭いテメェが悪いんだろうが!」

B「早く立て!」

銃口に迷いが出たBにすぐさま後方から

ゾンビ犬が飛びかかった、

「うわうわ!助けてくれ!」

唸るゾンビ犬が群れをなして一斉にBに

のしかかる様に襲った……複数の犬の体重に

道の横にある崖へとゾンビ犬3匹と一緒に

転げ落ちていった……


A「今のうちだ!早く立て、

うずくまるんじゃねぇ!跪いたら最後、

さっきみたいに奴らが

一斉に襲ってくるぞ!立て!」


相葉「クソ、暴力担当じゃねぇんだ俺は……」

近くの棒を拾うと両手でその棒を握りCの元へ

懸命に噛まれない様に無様な格好で足を使い

耐えるCに追いつくと大振りの一発を

犬に当てた、大きく犬は吹っ飛ぶも

痛みの感じないゾンビ犬は飛ばされた先に

一番近いDに向け動きを止める事も無く

躊躇なく首目掛け飛びかかった、

唸り声を上げ首を左右に激しく振り、

全身を使い、後方へ引っ張り欲望のままに

暴力がその場を彩りながら彼の肉を無惨にも

引きちぎった、首の皮が肉と離れるのを名残り

惜しむかのように繋がる、

首の皮一枚とはこの事だろう。


「ぎゃぁあ!」その言葉を最後に空気が

喉の裂け目から抜け声にならない

『ヒュ……ヒュ』

風の音の叫びを上げる、必死に出血を抑える

手が真っ赤に染まる所ではない、

指の隙間から血が吹き出し、

痛覚は終わりの恐怖に錯乱がその痛みという

感覚を恐怖に切り替えていく……


相葉が見た彼は鬼の形相に餓鬼の様に生に

しがみつく顔は現実とは思えない程の

悲惨であり凄惨さであった。

映画などリアルに比べれば

陳腐で、お粗末で可愛い物なのだと……


音は相葉他、監査役の恐怖を否が応でも

駆り立てる……

何処かしら暴力に飢えていた筈のレイダーも

リアルが自分に近づき実感を本当の意味で

身を持って味わう……


C「ひ!俺は……こんなとこで」

足に怪我を負い次は自分が……という恐怖に

明らかに錯乱状態のCに相葉が叫ぶ、

相葉「やめろ!」

だが目の前の恐怖に1匹でも早く消し去りたい

衝動がCに引き金を簡単に弾かせた、

その弾丸は吹き出す血が出る首を手で必死に

押さえながらも横たわるも生にしがみつく足で

犬を遠ざけようとバタバタ足掻くDのその足と

ゾンビ犬ごとcの放った散弾銃の弾は

双方をただの肉片へと変えた……


『キュゥゥ……』

人の声とは思えない空気音を鳴らしながら

Dの命は消えた……


相葉「落ち着け!じゃないと全滅するぞ!」

C「見ろ、Dにゾンビ犬が群がってる……

お、囮そうだ、囮にして逃げれば」

その言葉を出した瞬間CはAに向かい銃を向ける

A「……」

C「お前囮になれ……」

A「てめぇ……お前は臆病だから掛け金の大金

はたいて散弾銃購入したんだったな」

C「力こそ全てだ、お前はそれを怠った、

だからここで囮になるんだ、

その豆鉄砲と散弾銃で

タイマンはるつもりか?」


A「んな臆病だから周りが

見えねぇんだよボケが」

C「だ、誰が!さっきから人を

馬鹿にしやがって」

A「よく考えてみろよ?もう1人囮にするには

この上ない奴を忘れてねぇか?

客人の事だよ、馬鹿か、お前は、ほら

お前の右横に居るだろ」


そうだった……と我にかえるC、ここから

生還するには仲間はいた方がいい、

それに客人がどうなろうと先程会話したように

後で何とでもなるし笠田にもAの証言も

後押しすることにより身の安全も確保される、

瞬時に銃口を右にいる相葉に向け

なおそうとした瞬間、背後からAがCの頭目掛け

持っていた短銃のシンガリをフルスイング

Cの目の視界は赤くなりそして暗闇に映ると

地面へと倒れた。


相葉「……ナイスアシストなんだよな?」

A「まぁなコイツに銃持たせたままだと仲間の

俺でも直ぐに状況が悪くなりゃ

撃つだろうからな」


Cから散弾銃と短銃を奪い、Aは散弾銃を構えた

「だが状況は更に悪くなった、散弾銃も

この一丁だけだ、連射が効かねぇタイプだ

2人でもどうにもなるもんじゃなさそーだな」

相葉「わかってる、

だが何故俺を囮にしなかった」


B「俺もよ小さい会社だがこれでも

社長だったのさ、お前みたいな社員が居れば

俺も会社を倒産させる事も無かったろうな、

仕事に責任持ってやれる奴は

そうはいねぇ、信用するならBと客人……

比べる必要もねぇってことだ」


「……小さかったが、いい会社だった

社員にも気を使い、俺は働いた、社員の中には

俺が贅沢をしているのは俺たちのお陰だって

騒いだ奴も居た、社員の補償に対し社長は

どんなけ働いても福利厚生なんかねぇ、

政府に言われた賃金や福利厚生に翻弄したさ、

休みなんかありゃしねぇ、

月に3回あればいい方だ……

嫁や子供には迷惑かけたさ、

挙句、離婚だ……金はねぇ、時間はねぇ、

当然か、子供っも懐く暇もねぇ故に

うっとおしがられたよ」


相葉「……そうか」

A「ある時、社員が問題を起こした、

客にいちゃもんつけられたか何かで

簡単にキレやがって」

相葉「自分の怒りが優先か、

会社は二の次か……

その背景には家族の生活や本当の意味での

自由があるってことを理解していない奴だな」


A「あぁそうだな、そのトラブル先がまた

運悪くてな、企業の大手にして仕事は激減、

そいつはあっさりやめちまった……

そしてトドメはSNSだ、

噂は瞬く間に広がり、取引先も消えそれにより

銀行も金を貸してくれなくなった」


『たった1人の為に……だ』


相葉「家族を持たない若者にはまだ理解が

難しい事なんだろうな、辞めて済むと思う

バカが多い、その上逆恨みする奴も決して

少なくないからな、そいつのおかげで損害が

出て何人の人間が職を奪われ損失を

受けることか……

バイトテロも会社テロと同じだからな、

俺も教育担当をしていた頃がある苦労したよ、

我が身一つで全ての自分の周りの世界

が成り立ってると信じてる奴らだからな」


「なら夢も見るな、会社にも入るな、

バイトもだ一生独身で居て子供も作らないと

断言しろってんだ、社会に入らず、

周り巻き込むなら自給自足で山でも

籠ってろ、人と関わるなと俺も言いたい」


A「はっ!笑えるアンタとは気が合いそうだ、

まさにコイツみたいな奴が周りを

巻き込みやがる」

じっとCを見て唾を吐くA


「だがコイツもまだ若い、無理となりゃ

置いてくが、助けれるものなら助けてやりてぇ

手を貸せ客人」

相葉「言っとくが俺ははっきり

言ってかなり弱い」

監査役A「自分で言うかねぇ……」

相葉「自己評価は低い方が向上心がある」

(クソ、ホントなんだけどな)

監査役「はは、気にいったぜ?客人」


ジリジリと追い詰められる相葉はCを

引きずりながら交代する、

Aは散弾銃を構え護衛しながら徐々に後退

上手くいけばBが食われている間に

逃げれるかも知れないという期待を

持っての後退だった。

内2匹は彼らと対面する形で一定の距離を保ち

ついてくる……


相葉「……ランチは終わって直ぐに仕事か」

A「そうだな食えば仕事、人間より勤勉だな

ほら、銃を渡しておく」

Cから奪った短銃を放り投げ掴むも

銃をぎこちない右手で構え

引き続き左手でCを更に引きずっていく


A「全部で12匹か……来たぞ!」

言うが早いか2匹が同時に高々とジャンプ

しながら2人に襲いかかる、

Aは散弾銃で1匹の頭目掛け発砲

身体ごと吹き飛ばす、

更に1匹を相葉が撃つ、弾は3発立て続け撃つも

1発だけがゾンビ犬の太腿に当たり、

勢いを無くし着地した所をAがゾンビ犬の

頭を見事に吹き飛ばした。


A「客人、下手か!銃あまり撃った事ないのか」

相葉「……はは、次!次が来た!」

A「俺が弾詰める間、撃て!」

相葉は更に3発弾を放つ、1匹の足元付近の

地面に弾は当たり土が宙を舞う、

2、そして3発目、立て続けに銃を放つ、

だが虚しく1発も当たらず弾は尽きたのだった。


『カチャカチャ』

相葉「弾が……もう無い!」

Aは焦るあまり弾が込められない、

A「このっ!撃ち切るのが早ぇんだよ!」

辛うじて1発装填した時点で直ぐ様、銃を放つ、

吹き飛ぶゾンビ犬が倒れるまでの時間も無く

更に追撃の飛び込んできた犬に対し

散弾銃の銃先に手を持ち変えバットを

振るように犬を弾き飛ばした、


A「ハァハァ、マズいな……客人C置いてくぞ」

相葉「え?置いていくのか?」

A「自分の命の方が大事だ、

いいか?そいつ向こうに放り込め、

出来ねぇなら客人、アンタが飛ぶことになるぜ」

相葉「……」

凄惨に食い散らかされた監査役の肉塊を見て

躊躇いが相葉の胸に湧き上がる、

放り込めば確実にそうなる、

こういった現実に目を背ける程、

彼もこの現実社会には

適応できては居ないのだった。


A「時間が無ぇんだよ!

後味悪いのは俺も同じだ!」

相葉「でも……」


その時Cが目を覚まし仲間の凄惨な姿を見て

声にならない悲鳴をあげるのだった。

C「テメェ!A!騙しやがったな!」

A「チッ、グズグズしてるから状況が

更にややこしい事になったじゃねぇか……

お前本当に行商人か?」

疑うのも無理はない、こう言う状況での

人間らしい思想や怖気づき方では奴隷商人

なぞできる訳が無い。


相葉は黙った、まずいと感じたが、既に時遅し

というか何回同じ場面に遭遇しても同じ結果に

なっただろうがと相葉は思った。

A「おいC、状況わかるな?商人の持つ銃は弾が

もう無い、俺は散弾銃、前はゾンビ犬、

さっきと何ら変わらねぇ、

生贄だすしか手はない」


C「……」

一呼吸おきCは相葉に襲いかかった、

そして腕を取り、後から羽交位締めに

したのだった。


C「……大人しく食われな」

相葉「え?だってあんたさっきAに騙され……」

C「状況見て判断だ、Aは散弾銃、俺は丸腰、

それに足に怪我だ……お前は丸腰の上、

いなくなっても問題は無い、

俺達はレイダーだぜ?

Aのした事も当然っちゃ当然だ、

それに俺は自分が一番大事なんでな、

この力関係こうなって当然だし、弱い者は

淘汰される、これが基本だ、そして

これがレイダー特有の連携って奴だろうぜ?

誰もが他人を蹴落とし、より良い自分の環境を

守る人は信じちゃいけない、俺たちの

暗黙のルールだ、

無事ここを脱出、出来たらAに恨みはないさ」


相葉「……」

C小声(アンタにゃ悪いが生贄はアンタだ、

それは変わらねぇが、ゾンビ犬の数が多い、

次に生贄になるのはAだ、

さっきは危うく殺される所だったからな

お前も恨み持ったまま逝くのはムカつくだろ、

安心しろ、あぁは言ったが、お前の仇は俺が

直ぐにうってやるからよ」


相葉クズが……

この時代に適応する人間の特性を身を

もって感じる相葉だった、

自分が居たコミュニティがいかに

あれでも人道的であったか……

だが同時にこんな奴らに襲われたら

家族が住むあんなコミュニティー等

ひとたまりも無い現実を知ったのだった。

(これが人の生きる為の適応した進化?

だというのか……

だが俺も似たような事をしようとした……)


ジリジリとCに押され野犬ゾンビに近づく

相葉とC冷や汗が額に滝のように噴き出る、

人生の終わりと生きたまま食われる

恐怖に汗が止まらない、

ハク達の無様な姿を映像に捉える為に、

そんなつまらない事の為に付いてきた

事を今更後悔するのだった。


相葉は思わず叫んだ……「クソ!クリス!誠!

でもいい!助けろ、助けやがれ!

この世界は俺が思うより遥かに残酷で

甘くねー!解ったから俺には家族がいるんだ

こんな場所で殺される訳には……助けてくれ!」


叫ぶも犬の唸り声しか聞こえない……

「クソ!なんかだんだん腹が立ってきた……

ムカムカする、これもあれもそれも元は……

アイツのせいだ……」

腹に貯めた思いを込め大きく深呼吸する

そして鬱憤を断末魔に変えて一気に口から

放出するのだった。


『ハクのボケーぇぇえええええ……』

その大きい声は一瞬ゾンビ犬にも警戒させる

位の声量だった……


A「でけぇ声出しやがって!耳痛ぇ」

C「んな声張り上げたってお前の運命は

ゾンビの糞となるだけだ」


その時先程までにない地響きの様な音が辺りに

こだまし始めた……

『……ドドド』


A「……ん?何か聞こえねぇか?」

C「そういえば……」

異様な音にゾンビ犬も反応し当たりを

警戒し始めた。


相葉「……更に大きくなって……る?」

『ドドドド』

『ド!ド!ド!ド!ド!ド‼︎』

A「これまさか熊じゃねぇだろうな?」

C「この状況で?熊だぁ?おいやめてくれよ」


草むらから一瞬影が見えたその時、

太陽の光を上空で遮る様な大きな影が

上空から飛来する。

A「おい何かきたぞ!」

C「クソッタレ!弾はやく込めろ」


Aが素早く弾を込め標準を影の方に向けると、

既に目の前に槍の先が既に眉間の間にあった。

一瞬の出来事に困惑する……視線を横目で

逸らし辺りを見合わすと彼らの前に

位置していたゾンビ犬が6匹が既に倒されて

横たわっていたのだった。

同時に大型のマウンテバイクが地面に着地する

激しい音が聞こえてきた。


A(なんだ?何が起こった?)

謎の声「お前か?今ハクの悪口言ったのは?」

A「……何の事だ」

謎の声B「まぁまぁ落ち着いて!ね?」

謎の声「今、ハクっ言った奴どいつだ」

相葉「お、俺だ……いや……です」

謎の声「おーまーえーかぁぁ……」

長い前髪の隙間から見える鬼の形相の人物の

目突きの鋭さが怖い……

相葉「いやあの怒ってらっしゃいます?」

AとCにパントマイムでごますりポーズを小さな

アクションで伝える

俺に任せろと言った合図だった、


相葉「……いやあのその、そう、私の尊敬する

ハクさんに助けを呼ぶ為に名前を出したまでだ

いや……です……はい」

謎の声「……」

「そうなの?あらん!

聞き間違えちゃったのかしら……」


相葉(ビンゴだ!この怒りよくわからないが

コイツら……待ち合わせした奴らだ)

アンタ、ハクの事、尊敬してるの?」

先程の悪鬼のような空気は瞬時に乙女色に

空気が変わった。


相葉(間違いない、この女、と男、

しかしこいつも何かヤバそう……何ですけど)

相葉「……そりゃもう大変

お世話になってますよ」

A「おい、どうなってんだ?」

C「さぁ?……おい、悠長に会話してる

場合じゃねぇ次の犬が来たぞ!」


ゾンビ犬がその空気を切り裂くように

一斉に飛びかかってきたのだった。

だが女と同じく現れた大柄な男は手に持った

ドラム缶を切って作った様な盾を構えたかと

思えば飛びかかる犬を纏めて受け止める寸前

瞬時に足の筋肉が膨張するかのようにズボンが

はち切れんばかりに膨張、腕も同時に

張り詰めたかと思えばその男の姿が一瞬ブレる

様な挙動を見せる、すると犬達の体は大きく

飛ばされ、横の崖へと落ちてった。


A「……はぁ……すげぇ」

Aが驚くのも無理はない、犬はまるでゴムボール

の様に弾け飛んだ、その距離が半端ではない

更に1匹が襲いかかる体勢になったかと思えば

巨漢の男は盾を前に構え、凄まじい突進で

壁に押し付けるように突っ込んだ。


『メキメキ……』嫌な音が響く

相葉「うぅ……エグい」

C「んな事言ってる場合か!横から来た!」

相葉は身を窄めようと手を頭に持ってきた瞬間

疾風の様ないい匂いを纏った風が幾つも

彼の横で唸ったと思ったら全てのゾンビ犬の

脇腹を抉りとるように吹き飛ばしたのだった。


唖然とする監査役と相葉……

A「おいおい……あんな簡単に

ゾンビ犬の群れ倒せるか?普通」

C「アンタら何者だ……」


裕太「僕は裕太、そして彼女は純衣、僕達は

ハクの仲間だ」

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