集団心理
小高い丘から複数人の叫ぶ声がする
地鳴りのような声が一斉に雄叫びを挙げ
丘を駆け降りる人達の姿が彼らの目に映った、
それは違う作業場の捕虜達が棒を掲げ
一斉にゾンビに襲いかかったのだ。
捕虜達「行くぞ!作戦通り倒せ!」
捕虜A「マジか数が多いぞ、やれるのか」
捕虜女「分散するはずよ、先行した人達が
もうじき来るはずだからそれまで頑張りましょう」
奇襲前にゾンビが大量発生した場所より離れた
位置へと大回りしハクの合図を待った先発隊、
女を中心にした集団の姿が見えた。
ハクが手を挙げ合図を出す、一斉にその集団は
ゾンビ集団の塊の脇をただ通り過ぎるように
集団で走り出すのだった。
まともに走れば人は変異したてであろうが
ギクシャクした動きのゾンビより早く動ける
ゾンビより少し距離を持ち、ただ走って行くだけ
それだけで良かった。
女達「少し怖いけど彼の言った通り上から見た
光景を知ってる今の私たちなら然程怖くないわ」
ーー作戦前の回想ーー
ハク『大丈夫、走るだけ、ゾンビを相手にせずに
見て……上から冷静に見たら隙間だらけでしょ?
それに早くても競歩並の速度、普通に走れば
ただ通り過ぎるだけなら彼等は追いつけない』
ハクは作戦前、走る彼女達に1分間何もせず、
ただ彼女らにゾンビの動きを観察させ
じっと見続けさせていたのだった。
『客観的視野からの慣れと冷静、そして自信を
つけさせた』のである。
女「……確かに、あの動きなら全力で無くても
走れば余裕があるかも、ただ走るだけで良いなら
わかりました……やります」
ーー現在ーー
指示した場所へのただの100メートル走だと
教えられた彼女達は平常心を保ちながら
逃げ走る、その事だけを意識し駆けた、
襲われ逃げる囚人達は群れで走る女達の駆ける
姿を見ると、追随するかのように流れに乗って
彼女達が誘導する安全地帯へと一斉に走り出す、
上から見ると、まるで群れをなすイワシや
バッファローの大群を思わせる。
集団心理で霧散した人の心理を利用した、そう
『集団心理を集団心理で制した』のである。
捕虜「よしバラバラだった捕虜達が流れに乗った!
それを追う様にゾンビが集団もばらけ始めたぞ
3人を取り囲む奴らも外側から減っていっている
そして今度は俺達が奴らを囲め!
内側の3人と外側の俺達で一気に叩くぞ!」
ハク「自分が殺られればゾンビの数は増える!
自分の為に互いが命を守りあえ!」
捕虜A「チッおめぇの事は気に入らねぇが、
自分の為に助けてやるよ」
捕虜B「言っとけ、その言葉まんま返してやるよ
決してお前の為に助ける訳じゃねぇから勘違い
するんじゃねぇぞ!」
そして共闘は彼等の意識を少しだけ変えていく
戦いは激しさを増す度に不思議な連帯感をも
生み出す、守り合う……それは人間社会だけに
止まらず動物や植物にも見られる
彼等はそうやって強い捕食動物や自然から
互いを守り、生きながらえていった、
意識の連鎖は2人1組外にまで及んでいく
余裕のあるチームは他のチームを助け始めたのだ。
捕虜「此処でコイツら守らなきゃ明日からの労働も
シャレにならねぇ!自分の為に戦え!」
捕虜達「おおおおおおおおっ!」
『自分の為、それが彼らにとって最重要な事ならば
それで戦う理由は充分だった……
ただ物事の持って行き方、考え方の方向性をハクは
変えたのだった』
総勢30名程の捕虜達が一斉に円陣を組む誠達を
更に囲む様に配置、ゾンビ達の背後から襲いかかる
一体につき2人がかりで組み、端から挟み撃ちの
形が徐々に囲みへと陣形が変わる、こうして
確実にゾンビを倒していく。
カケル「……どうなってんだ」
お爺さん「お前が言ってた友達か……しかし
今ゾンビを倒しているアイツら見かけた顔が多い
確か先月B棟送りになった奴、アイツもだ
と言うことはB棟の奴らと言うことになる
元気のないアイツらが何故こんなに精気溢れ
ゾンビを制圧しているのだ……
いや、それよりも長い地獄の日々に他人を思いやる
事を捨てたはずの連中が……ましてB棟は落ちれば
終わり、誰もが自分のことしか考えられなくなる
環境下に危険を冒し仲間を救うなんて事、
今まで一度たりともワシは見た事が無いというに
信じられん」
鼻を啜りながら自分のことの様にふんぞりかえる
誠は自慢げに言い放った。
誠「そういう奴なんだよ、あいつはな……
そう言う奴なんだ!俺らも安全になった
訳じゃねぇ、あいつの策はきっと俺達の踏ん張りも
計算に入ってるはずだ!
残り掃討!俺らも行くぜ!」
気合の入った誠は棒を二つ持ち二刀流に変えた。
誠「いいか、ゾンビの集団に隙間が出来た
俺は奴らの動きを止める事に
専念する、ただ威力のある攻撃を打ち続けるには
体力が持たねぇ、カケル!爺さん!
トドメは任したぜ!」
カケル「俺と爺さんはお前の背後とトドメ
任されたぜ!存分に昔のように暴れてこい!」
誠「行くぜ!オラこいや!」
此処にきて誠は奮闘を更にヒートアップ、彼は
追い込まれると力を発揮するファイター型だ。
その動きは当てる事を中心にした攻撃に変わり
二刀流に止まらず蹴りや体当たり、まるで風の様に
ゾンビに怯む事はなかった。
カケル「チッこいつ……前より遥かに強くなって
やがるぜ……ゾンビでなければ人なら充分倒せる
攻撃ばかりじゃねぇか」
爺さん「まるで……嵐じゃな、トドメ刺すだけで
こりゃ事足りるな」
こうしてゾンビは無事制圧する事に成功
それを見計らったように監視が銃を空に向け発砲、
大声で叫んだ。
監視「お前ら!職場に戻れ!」
そう言うとハクがいるB棟の人間を率い
誠と会話する事も出来ず
元の作業場へと引率して行った。
監視「どうだ……被害からすると計算違いだな
もっと被害が出る筈だったが、捕虜の奴らが
手を組むとはな……」
監視A「まぁ今回はゾンビの血が必要だったからな
奴らが素早く掃討したお陰でまだ血が体内に
残ってる数も多い、良しとするか」
監視B「助かったぜ、全く勘弁しろよ……
上も無茶言うから、間引きはこの前で充分過ぎた筈
人数が減ったじゃねぇか……これ以上作業が
遅れるとそれはそれで人が生きれる環境作りに
支障が出るぞ」
監視「相手は宇宙人だ、言い訳なんて通うじる
相手じゃねぇからな……こっちは言われた通り
言われた条件を淡々と差し出すしか命の保証は
無ぇからな」
監視B「ともかく人数調整だ」
監視同士が集まると人数を確認、被害にあった者の
数を合わせる為、ハクがいた収容所B棟の捕虜の
数人がカケルの居るB棟へ補充された。
その内の1人、立花と名乗る者が誠に近づいてきた。
立花「誠さんですね?これハクさんから伝言です」
そう言うと小さな紙を渡されたのだった。
誠「……」
お爺さん「内容は?なんて書いてあるのじゃ」
誠「用事があるからB棟へ行きますってさ」
お爺さん「わ、わざわざB棟にか?どう言う事だ
あそこは次落ちたら、もう這い上がれないぞ」
立花「ハクさんに私達は助けられました、
あなた方もご存知の通り間引きは何時行われても
おかしくありません……今回の犠牲者はそちら側の
建物のB棟、最初の棟の人数も含めると43名と……
誠(最初に聞いていた人数とかなり違うな……)
「ここの収監されている人数ってどれ位なんだ?」
立花「正確にはわかりません……建物一つに付き
およそA・B各50名程、その建物自体が……
確かに数が合わないと我々も認知しています」
誠「……あの野郎と話が合わないな、建物一つ分の
人数だけ言いやがったのか」
(だが何故トップの名前を知っていた?一部の者
しか正体は知らない筈だったよな……)
「なぁ地下施設……知ってるか?」
立花「地下施設……噂では聞いたことがありますが
恐らく誰も知らないと思います。
それもC棟へ送られた人間が収容されていると噂は
聞きますがB棟への昇格したものは過去誰も
いない事から実験に回されるとしか……」
「協力できる事があれば先程戦いに参加した
総勢30名ご協力を惜しみません」
カケル「ど……どう言うことだ、昨日、今日
来たばっかりの奴にどうしてだ」
立花「私達の労働は知っておられますよね、
A棟よりも過酷な労働環境に仕事、
あの方は初日にA棟で騒ぎを起こしまして
早々に私達のB棟へと送られました……」
ーー当日ーー
立花「アンタ、馬鹿か?ここのシステムわかっちゃ
いないにも程がある、あんたも見ただろ?此処に
落ちればA棟の労働力の倍は働かないとC棟送り
なんだぞ、しかも俺達の配給の飯に文句を言って
此処に送られるなんて、ここの労働舐めすぎだ」
ハク「此処の方が居心地良さそうだったしさ」
そう言うと牢屋の窓から見える月明かりを
眺め横たわるハクがいたのだった」
立花は此処の雰囲気にまったく合わないハクを
見て半ば呆れたのだった。
立花「ともかく此処は誰も助けてなんてくれないぞ
そんなヒョッちょい体で明日は耐えられるとは
思わないがな」
私は彼の雰囲気が気になりました。
無論此処では誰かを助ける余裕なんて無い
成績が少しでも悪ければすぐ様C棟送りは確実
明日の為に早く仕事が終わっても貯金である
労働成果を上げるかいち早く体を休めるか
成果を上げても成績は下から5人までに2日続けて
いると強制的にC棟送りだ。
明日になれば彼はこの現実を受け入れるだろう
そう思っていました。
次の日、作業が開始され俺達はいつもの過酷な
労働に生きる希望もなくひたすら木材を運んでいた
既に伐採された木の枝をナタやノコギリで落とし
丸太状態で運ぶものだった。
監視「おら!働け!俺の管轄が作業遅れてんだ!
このままだと俺が罰受けるんだよ!クソ野郎ども」
捕虜「先々週ゾンビが出て人数が少ねぇんだ
無理だろ……こんなの」
捕虜A「馬鹿!聞こえるぞ、意見なんか奴ら求めて
ねぇのはわかるだろ、やならきゃ殺される……
それだけだ」
私は午前は彼の事も忘れ懸命に働きました、
ようやく私の分、1日の目処が立ち心に余裕が
で始めた時彼の事を思い出し見ると何やらボーと
午前中の作業時間である4時間何もせず
ただひたすら周りを眺めているだけだった。
それは当然監視の目にも止まり殴打されながらも
彼は笑いながら決して動かず、ただ作業を
見ていたのだった。
立花「……気のおかしい奴だったか」
だが気になった私は昼休憩に声をかけた……
背中は棒で叩かれ青白いアザがある筈があまり無い
口は殴られた後があるもののどの傷も殴られていた
姿を見た私からは軽症……
立花「あんた昨日来たばっかりの奴だな……
説明は朝礼で聞いた筈だ、貯金も無いお前は
今日のノルマこなせねばC棟送りは免れないんだぞ
その意味本当にわかってるのか?」
ハク「うーんわかってるよ」
立花「ここでは誰も助けてくれないぞ、
日が暮れるまでにノルマをこなすのに皆、
余裕なんか無い、当然俺もだ……」
ハク「……なるほどね」
立花「人の話を聞いているのか?もう行くぞ
どうなっても知らねぇからな」
ハク「これ全体通してあそこにある材木全て
運べばいいんだよね?で次の日はあそこの木材の山
つまり明日も同じ此処での作業ですよね?」
立花「あぁ……そうだが」
ハク「それと廃棄場所に転がってるジャンク
あれ何か使うんですか?」
立花「あぁ……あそこはゴミだ使う事は無い
だが使えるもの等何もないぞ、俺達は布切れ
など拾って手に巻いて手袋代わりに使うが」
ハク「じゃ使ってもいいんですね?」
立花「あ、あぁ……まぁな」
そう言うとハクと言う男は小高い丘に立ち、
皆に向けて大きな声で叫んだ。
ハク「皆さーん!監視の方も含め、話がありまーす
此処にある木材……そうだな4時位には全て
詰め込めるけど、明日は昼過ぎには次の山も
終わっちゃいますけど、僕の意見に興味のある方
集まって下さい」
男達「馬鹿かアイツは……このくそ重い丸太一つ
運ぶのだって20分はかかるってのによ
女は力が無ぇから5人で一つ運ぶのに精一杯だって
のによ、そんな事出来るわけ無かろうが、
無視だ、いそがねぇと終らねぇ」
大抵の奴はそう言ってその男に興味も示さなかった
だが中にはそんな馬鹿な話にも乗らないと後が
ない者、体力がもう無い者が奴の話を聞いていた。
監視も話を聞いていた様だった、作業が進めば
監視も楽になるし実績も上がるからだろう。
ハク「まずは手始め、楽に運べる証拠を
見せましょう、そうだな1人手伝ってくれませんか
そうだな……さっき話しかけてくれた貴方、
いいですか?2本だけ!お願い!」
立花「俺?……チッ」
私は半信半疑で彼の話に乗りました、その理由は
彼に興味があった……という単純なものだけでは
ありませんでした、此処で知り合った仲間の1人が
先週腕を怪我しまして、私も彼を出来るだけは
手伝いましたが、彼が順位を落とし明日にも
最下位ランク5を維持しC棟送りにされるから
でした……もし彼の言う通り楽になるなら、
藁をもすがる気持ちで話を聞いていました。
ハク「先ずはド定番!木を2本並べて下さい」
そう言うと彼と私は『=』の形に
木を2本並べました。
「では並べた2本の木材の上に運ぶべき木を
置いて下さい」
立花「こうか?」
それは2本の木が横向けに並べたとして交差する
様に縦に置くものだった。
ハク「オッケです、では……女性の方2名、
普段は5人で一つの丸太を運んでますよね、では
貴方と貴方、1人は丸太を動かないよう体重かけて
乗っかる感じで支えて下さい、
で、もう1人は反対側の丸太の先に行って
支えた側を支点に丸太をずらす様に前へと
移動させて下さい」
『→』
『V』
「そして今度は逆、支え側と移動側交代で
やってみて下さい」
女達は言われた通りにしてみた……
するとどうだろう、あの重い丸太を女2人で
簡単に移動させていたのだった。
ハク「これはプロが使う手ですね、支点の応用、
楽でしょ?これをトラックまで引きましょう
木材の下ろしと持ち上げと移動を分担して
いきましょ」
女「これなら!なんとかなるわ私でも!」
ハクは女の方を見て指をワイパーの様に動かすと
ハク「のんのん、このやり方で先ずは証明出来たと
思うのでちゃっちゃと今日の分やって余った時間で
明日はもっと楽しよう!」
捕虜「なんだと?もっと楽にだと?そんな事
出来るのか?」
俺達は半信半疑で皆でそれをやってみた。
作業は驚く程に楽に、そして体力の無い者が
5人でやっていた作業をほぼ2名でできる事から
余った人数分、作業効率も格段と上がったのだ。
男は丸太を板へと上げる、そしてトラックに
積み込む作業を分担、体力の無い者は丸太を
支点移動?の運ぶ役を担った。
そしてそれは余りの人数を増やす事になる
その間は休憩をさせる事が出来る結果を生んだ
休みが折れる事により更に体力が回復
作業効率は更に上がった……人は休憩が必要
身をもって体感したのだった。
監視「驚きだ……終了まで1時間残して
終わりやがった」
「だが作業場は此処だけじゃねぇ
地面が平坦ではない場所も多々ある」
ハク「モウマンタイ!」
監視「出来るのか?もっと作業がはかどる事など」
ハク「モウマンタイ!」
「出来ますよ、監視さんさえ良ければ、さっき
言ってましたけど作業が遅れて困ってるんですよね
条件飲んでくれるならやりましょ」
捕虜「頼む!監視!俺達はもう限界だ……
人が減れば減ったでお前達も困るはずだ!」
監視「条件次第だな」
ハク「簡単、簡単!条件は二つ、ジャンクを
作業の為に自由に使わせてくれる事」
監視「持ち帰りは認められん、反乱防止だ」
ハク「了解!そして捕虜のご飯、投げ入れ禁止
普通に渡して下さい、以上です」
監視「それだけでいいのか」
ハク「オッケ!」
こうして私達の飯はバケツで投げ入れられる事も
無く皆で分配することになりました。
これにより奪い合いはなくなり
メシのたびに争う事も無くなりました、皆が皆
普通に一定量の飯にありつけたのです。
この効果は監視達には競争心を煽り猜疑心を高め
結束を防ぐ事、そして定期的にC棟送りの人間を
確保出来ることから行われていた制度的な物
でしたが、彼等は彼等で人間社会とグリマンの
両立に苦しむ現状、そして冬になり捕虜が増やし
にくい季節に手をこまねいていた現実から
条件を飲んだと思われた。
どうせC棟送りの人が足らなくなっったら
無理やり連れて行けると踏んだのでしょう。
そして我々は飯を定期的に取れる=体力
争いがなくなる=体力・心の安堵
そして休憩が取れる=体力つまり心に余裕が
出ました、あの環境では未来が見えない所か
考える事すら出来なかった、いや思いつかないと
言った方が正解だったのかもしれません。
作業中にも余裕が出た事により助け合い
それは牢獄での相手を見る目も変えました。
今までは敵としか見えなかった隣人に少し
皆が心を開き始めた気がします。
過酷な環境だからこその猜疑心や憎悪
だが彼は言いました。
過酷な環境だからこその共有感や信頼が
生まれる……と
私は思いました、確かに人は安全な場所に
いる時は利己的になりやすい、自己の利益を
追及します、部活等、仕事では困難な
環境でこその共有感や信頼は生まれました。
だがそれは一歩間違えば猜疑心や憎悪にも
繋がる極端な環境なんだと……
私達はその後者の考え方になっっていたのかも
しれないと……
だが彼が言った言葉、示した行動は私達に考える
余裕を与え、更に未来を見せてくれました。
この地獄が明日には楽に、そして明後日には
もっと楽に、更には日を追う毎に労働は過酷に
なるはずが楽になるなんて
彼の傷が思ったより軽症だったのは不思議でしたが
彼の様に楽になるための考えを持った者は過去にも
いたでしょう、だが監視が怖くて誰も
言い出せなかったのも事実だと思います
殴られてもブレずひたすらに周りを見る事に
徹底した彼の行動力、そしてその緩い顔……
いや顔は関係ありませんが
ともかく安心したのでした。
彼は初日の夜皆を集め明日の計画を話しました。
それは確かに楽に……そして日を追う毎に楽になる
物でした……
これで生きられる……いつしか彼等は抱き合う者も
私達は自分が人という存在に目ざめ始めたのかも
しれません、まぁまだ自己中心的なものが
殆どですが。
多くの者は彼に聞きました、明後日の事、今後の事
どうしたら楽になるのかなど、だが彼は
明後日の話はせず、常に彼らに期待を持たせる事に
より、あぁだこうだと未来に期待を寄せるように
笑い合いました。
誠「ハクらしいなぁ……アイツ期待持たせるの得意
だからな」
カケル「んなもん、道具のない場所でどうやって
やるんだよ、答えがないから言えないだけだろ」
誠「無いならあるもんで何とかするんだよ
アイツは、それがアイツの強さなんだよ」
お爺さん「わしの友人に似てるな……」
誠「それだ!実は俺達人探ししてんだ、ハクが
会う必要がある人物、それは雪丸ともう1人」
お爺さん「……悪いが今は言えない、やつの命を
脅かす事になりかねん……すまん」
誠「気にすんな!言いたくなったら教えてくれ
会う必要がある人間は必然と惹かれ合うもん
だからな、そのタイミングが今じゃ無いだけだろ」
お爺さん「……そうか惹かれ合うものか、そうかも
しれんな、ただ合わせてもアイツはそれを拒絶
するだろう……アイツも変わったやつじゃからな」
誠「ウヒョ楽しくなってきやがった」
カケル「……お気楽な頭は変わっちゃいねぇな」
さて明日の作業も早く済ませて作業場近いんだよな
丘から覗いてやろうぜ!」
その頃……クリスは




