監禁
ハクが拉致されたグループは市内商社ビル5階建、
20人程で形成されたコミュニティの一つ、リーダー
浅井圭、副リーダー剛田で統率する強奪派の小規
模なコミュニティだった。
所持は警官から奪った銃2丁、自衛隊跡地から回
収したと思われる1999年に自衛隊が採用した9mm
口径、短機関銃M9が1丁。
ハクは市内にある商業ビルに監禁されていた一階
はファーストフード店、2階はレストラン3階はカ
レー屋さん、そして4階5回は飲食店のオフィスの
様だった。
連行時、事細かく、周りをチェックするハク、監
禁場所はビル5階のオフィス内の書類倉庫に使われ
ていた6畳程の小さな部屋2部屋だった。
窓は小さく換気のみで使用されていたもので子供
なら通れそうだが、5階、つまり脱出には到底不可
能なものだ。
浅井「薬か何取りに来た？お前自身、病気の感じ
では無いな……となると他に仲間がいるだろう女
か？」
剛田「この前捕まえた女には逃げられたからな、
女不足なんだわ、居場所教えたらお前に、これ以
上危害は加えないぜ？」
黙るハク
浅井「黙るって事は居るな、そして、それは女……
だな……」
剛田「マジか、こりゃ楽しみだ！この近くに居たっ
て事は真美の可能性も高いな、他にも居るのか？」
ハク「……」
浅井「アイツらが脱走してまだ日が浅い、それで、
薬を取りに来る位だ、リュックの中には大層な量
の薬品があった」
ジッと顔を見ながら威圧感を出す浅井、
浅井「その薬品は一見普通の奴が見ても何の薬か
わからないものも多かった、つまり医療関係者が
居るって事だ」
「先ずは脱走の時間から見て真美がいる可能性は
高い……か」
ハク（読みが深いな……こいつ）
違いが互いを読み合っていた。
浅井「まぁいい、コイツ1人で来たわけでは無い事
はわかった、もう1人は脱走した男、あいつは銃を
持っていった、油断は出来ねぇぞ、雨が止んだら
5名は捜索開始、銃は1グループ1人、後は近接持っ
て行け弾は少ねぇから無駄撃ちすんじゃねーぞ！」
「後はそう遠く無いはずだ、病人がいるはずだか
らな、捜索範囲は病院から半径500メートルから
始める、2グループで俺も行く、残り10名はコイツ
の見張りと増田先生の見張り、屋上の見張り4名で
東西南北しっかり見張っとけ」
ハク（先生？医者がいるのか……）
手下の1人が浅井に耳打ちをする。
浅井「……」
「残念だな、折角お喋りしようと思ったが今、耳
よりな情報が入ってな、屋上の見張りからレーザー
のような光が何発も確認されたようだ、これで居
場所は特定出来た、お前は用済み……と言う事に
なる」
「殺すかもなぁ、あはははっ」
浅井「冗談だ、連れてけ、人質になるかも知れん、
あと居場所がわからない時に吐かせる、奥の部屋
にぶち込んどけ」
「言っとくが、お前の命のみならず、仲間の命も最
早、俺達が握っている事を忘れんな、こんな時代
だ、他人の命に構ってる余裕はねぇ、それに俺は
元、刑事だ、隠し事しようたって、バレんだよ」
雨が小雨になった翌朝ーー
浅井「よし、行くぞ、2班に別れて、連絡は無線機
を使え！」
慌しく捜索が開始された。
昨日のレーザーの目撃された位置を中心に、
ハク「撃てば移動、ゲームの中で教えた、覚えて
くれてるといいが……」
（しかし移動範囲が問題だ、鈴の事もある、移動
したとしても発見される前に何とかしなければ）
美優達はハクの教え通り、レーザーを撃った場所
から移動していた。しかし移動範囲はハクの心配
の通り、元の場所から500メートル程離れた位置
にいた。
しかし、ここで雨上がりの運も有り、ゾンビが発
生、それにより捜索範囲は小さくなり運が良かっ
たというしかなかったが、彼女達がいる手前で捜
索は一旦打ち切られた。
美優達もゾンビを倒しながら捜索する彼等に気付
き、身を潜めたのであった。
しかし浅井も元刑事だけあって用心深く、捜査打
ち切りの際、捜索範囲のギリギリ手前から、大通
り、そして裏通りを見渡せるビルや民家に人員を
配置。
美優達もそれに気付き、其処からの移動は出来な
くなっていた。
【今日のポイント】
元刑事、浅井がやった目標物を見失わない
為の、人員配置は危険動物にも適用出来る。
危険を感じたら先ず目標物を見失わない事も
大事だ、東西南北、どこから襲ってくるか
解らない野生動物なら尚更だ。
どの時代に置いても情報戦は戦いを有利に
運ぶ事は確実だ。
逃げるルート確保のみならず、拠点を構える
さいは逃げれない事もある。
しかし行動範囲や目視可能なエリアに餌を
配置し罠を仕掛ける事も、出来る。
そして浅井は女、病人、そしてゾンビの数
から近くに潜んでいると予想、彼女達の
行動範囲を狭く、美優達を今いる場所から
移動させない効果も狙っての作戦だった。
