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クリス34 ラストバトル後編


腕部位を切り落とされたパワーアーマー

腕の重さが軽くなった分バランスの挙動に異常が

発生し、内部コンピューターがそのバランス計算に

移行した、その為の再起動時間に機体は卵形状に

戻り動きが止まった……


それは異常感知緊急時対策するパワーアーマーの

防御体勢でもあった、それにより破損した部位に

内部の人間を保護するために水の入った搭乗機部分

に沿った形状の鉛板、鉄、紙などが合わさった

薄い防護壁がコックピットを覆った。


ドロア「あくまでも緊急用だ……ガンマ線とX線を

高濃度保護できる厚さは無い、それでもお前はもう

やるしかない、時間が経つほどお前の体は蝕まれて

行く、だが最早おまえに頼む他はないのだ」


「そしてボルド……彼を……頼む」


ボルドはその言葉を聞いた時、心から喜んだ

彼の行動に迷いはなかった、だが心痛む要因だった

たった一つの想いは親であるドロアの当初の目的

に反した行動であるか……という事だった。


親に逆らうという子供心に近い彼の純真さは

唯一それを痛みとして感じていたからだ。

だが今は親である彼の思いも心に力を与えた、

自分が生きた証、もう肉体は朽ち果てるだろう、

脳も高濃度の汚染により修復はできないレベル

という事も理解していた、生身でそれを浴び肉体が

肉体という形が残っている最後のこの世での証を

愛する者達の前で行使できる喜びが今まさに

肉体の限界を越えようとしていた。


だがくしくも先に動いたのは蜥蜴だった。

蜥蜴「クソクソクソ!出血が止まらない、今なら

奴ににトドメを刺すのは容易だ……が

今はこの場を1秒でも早く離れなければ肉体を

構築する遺伝子が私の再生能力を持ってしても

修復不可能な域まで行ってしまう

口惜しや……口惜しや」


ほんの1秒程の時間を費やしクリスに

襲いかかろうとする、前のめりの姿勢、

怒りと憎しみを抑え、それを上空のジャンプ力に

変換し勢いよく翔んだ。


蜥蜴は頭部に突起物を集中、天井を破壊しようと

試みる、だが各施設の防御壁で出来たその厚さと

強度で弾き飛ばされ地面へと落下するも何度も

何度もそれを繰り返していた、そして少しずつ

天井に穴が開き始めていった……


原発隔壁内部のマイクで教授が叫ぶ


ドロア「お前の修復能力でも最早命は無い

諦めろ……」


蜥蜴「今更何を言う!この化物が!私より

お前達人間の方が遥かに醜く猥褻で狡猾で愚か

では無いか!」


「過去お前達の世界は生ける命を糧に文明を

築いてきた……モルモットを始め動物実験、

モルモットはお前達の為に生き、そして朽ちるのか

薬物や病気の実験にされ苦しみ、踠き、自由もなく

ただ生けるものとして苦しみだけを背負う為に

命が与えられたとでもいうのか!」


「平和に守られた人間はその平和の裏で苦しむ

命を一生のうちに考える事すら無い者が

殆どだろう!我はそのモルモットと同じだ……

彼等の命に報いねばならぬ」


「私はこの姿になり考えた……この世の中で一番

尊き命……それは自然のものだろう、

私は……私は人間として生まれ育ち、人の手で

殺された、そして目覚めたが

今……もう人間社会では生きれないこんな姿に

されてしまった……

だがこの世にはこんな私の様なものより不幸な

命で溢れ返る世の中に気付いた、

そしてこの好機に私は立ち上がったのだ

この世で命を弄ぶ唯一無二の悪魔、この星の

病原体である人間を根絶やしにすれば……」


「こんな姿の私でも……受け入れてくれる自然や

動物達……植物、星……そして我が子」


「それは数え切れない生き物の種の中で……

私を受け入れない生命体がたった一つ……

数え切れない生命体の中でだ、たった一つ

たった一つなんだよ……

そう……人間の存在だけだ!」


「私は私の正義の為に朽ちる訳にはいかないのだ」


その時、再起動が済んだクリスのパワーアーマーが

再び人型に戻り変形を済ませて、蜥蜴に走り

寄っていた。


蜥蜴「……悪いね坊や、もうさよならだ、

あと一撃で天井は破壊できる」


呟いた蜥蜴の足が膨れ上がり一気に天井に向け

ジャンプする。


クリスも機体の姿勢をぐっと低くし壊れた

左足以外の動力を最大限に溜め、両腕と右足で

一気に跳ねる様に蜥蜴向けジャンプした。


蜥蜴の凄まじい勢いは天井の壁をぶち抜き

穴の開いた天井に蜥蜴は顔を出し両腕をしっかり

外へ出し体を起こそうとした瞬間、重さで体が

沈み込んだ、血管を膨らませ出した両腕で懸命に

這い上がろうとする……


足に目をやると後ろ足をしっかりと握るクリスの

パワーアーマーの腕が見えた。


クリス「ツレねぇなぁ……置いてかないでくれよ」

蜥蜴「……貴様!だがこの重さなら

ここから私は這い上がれるわ!」


『ガクン』

だがその重さが更にアップし再び蜥蜴の腕に負担が

のしかかった、蜥蜴の足にぶら下がるクリスの足に

更にボルドが掴みぶら下がったのだった。


蜥蜴「な……」

「なんだ!重さが増した、何が!」


クリス「ようボルドやはり来てくれたか……」

ボルド「逃しはせん、試験体よ私と共にここで

朽ち果てるのだ」


ボルド「聞こえるか……友よ、私の下半身はもう

持たない……細胞が破壊され肉体の結合がうまく

出来ていないらしい、時間が無い、時間が経てば

経つほど重さは消えてゆく……」


クリスはボルドの足を見るとドロドロに溶けた

彼の足が地面へとゼリーの様に落ちていくのが

見えた。


クリス「ボルド……すまない……すまない」

何度も小声で謝る彼の顔を見てボルドはただ

ニコリと笑った。


蜥蜴「このこのクソが!」

蜥蜴が懸命に力を込めなんとか這い上がろうとする

がその重さは持ち上げるには重すぎた……


時間は全ての命を縮めていった

ボルドの時間を

クリスの時間を

蜥蜴の時間をも


このままこの状態を維持しても助かる命は

ゼロであった。


拮抗した場面、だが蜥蜴の前に意外な男が1人、

放射線防御服に身を纏い、対戦車ライフルを片手に

蜥蜴の頭部を銃先に押し付ける男、ラルだった。


黒兵「アイツ!いつの間に!」

イルガ「奴はすぐさま出て行った、ほら其処に

緊急用放射線防護服があるだろう、奴め俺には

着れないサイズと知ってかそれを握ると

下に降りて行ったわ」


黒兵「俺じゃ駄目って事ですか……アイツめ」

イルガ「外で何かあったのだろう、お前や俺に

託す気はなかったと思うぞ、奴も何か思う所が

あったのだろうな」


黒兵「人はそうそう急に変われるもんですかね」

イルガ「平和な暮らしでは人は簡単には変われない

だがいかなる条件下でも人は変われるものだ

そしてそれは人を分別する、

変わるか、終わるか……

人は常にその選択の中に入る」


ラル「あばよ」

ラルは蜥蜴の顔目掛け引き金を引く


蜥蜴「や!やめろぉぉおお!」

対戦車ライフルから放たれた弾は蜥蜴の肉片を

辺りに散らばらせながら業火の鉛を叩き込んだ

あたかも顔面を吹き飛ばしたかの様に見えたが

瞬時に顔を体に埋め吹き飛ばされた反対側の

肩部位から再び顔を出すとニヤリと

不気味に笑った。


蜥蜴「我を追い詰めたと愚かにも思ったか……

這い上がれないなら、お前達の仲間に私を

救ってもらおうか……」


そう言った瞬間、蜥蜴の口が大きく開き舌を出した

その先端は針状に尖った金属をラルの防護服を

突き破り首に刺しこんだ。


クリス「な、何をする!やめろ」


蜥蜴「さぁ……坊や私の可愛い坊や

今ここで敵であるクリスをその正義の

銃で撃ち殺すがいい」


ボルド「試験体の能力だ……奴は体内でアヘンに

似た成分とする幻覚剤を体内で作り、

それを自らの興奮剤として能力を上げる事が

出来るがそれを幻惑剤として噴霧する事ができる

それを注射という形で使用したらしい、

まずいぞ」


ラルの視界が一気にボケ始め幻覚が彼を襲う、

意識混濁の中、耳に入る言葉だけが彼の行動を

左右する……


ラル(何だ……白いモヤが酷い、それに意識が

ハッキリしない……)


蜥蜴「ふふふ分かるぞコイツの中にも

人間への憎悪、社会への不満、愛情の無い世界で

生きてきた恨みや悲しみが」


クリス「ラルに何をした……」


中の針状の突起物が体から離れラルの眼前で

何やら振動し始めると彼の動きは止まった。


「私の幻覚剤によりコイツの意識は混濁している

そして……針の振動により其処から私の言葉を

語りかける……

そしてクリスお前が敵に見えているだろう、

コイツの持つ銃の矛先はやがて恨みを込め

お前に向け発砲されるだろう」


クリス「目を覚ませ!ラル」


蜥蜴「お前達には何も出来まいて、ほら奴の銃を

持つ手がゆっくりと動き始めたぞ

人間は愚かで弱い、言葉は人を常に幻惑し、

やがて愚かな決断をするのだ、だがそれは私の

言葉だけでない、コイツが経験し積み重ねた心の負

人間が人間を常に追い込んできた結果なのだ」


「過去あった経緯や自分の行動や罪、愚かさが

コイツの中に今、雪崩れ込む様に脳を駆け巡って

いる事だろうさ」


クリス「ラル!聞こえるか!それは幻だ、

惑わされるな!」


蜥蜴「無駄だ……その言葉は奴には届かない

届いたところでその言葉も奴は経験からねじ曲げ

自分の都合のいい様に解釈をし、どちらにしろ

お前を撃つ、人間は誰でもそれが得意だろう?」


「今コイツの中では、私の言葉によりお前と自分

が対峙し彼に語りかけているだろうさ

お前の幻惑は常に彼を否定し蔑み、

辱めているだろう、そしてそれを癒し

慰めているのはコイツが見る都合のいい自分の

幻……私はそれを演じているに過ぎない」


ラル「クリス……お前オレの事そう思ってたのか」

呟くラルにクリスが叫んだ。


クリス「ラル!目を覚ませ!」


蜥蜴「無駄無駄無駄!ほら銃がゆっくりとお前の

方へとその矛先を向けてきたぞ」


ラル「わかってるさ、あぁわかってる、オレには

何もねぇ、あるのは後悔と懺悔しかねぇさ」


クリス「……」


クリスの乗るパワーアーマーに向け銃の先が向き

トリガーを引く指が今ゆっくりと引かれていく

身動きの出来無いクリスは語りを辞めただ真っ直ぐ

ラルを見つめた、瞬くもせずただじっと」


だが引く瞬間、その銃の矛先は予言とは逆に

蜥蜴に向け、冷徹な弾丸は放たれた。


「ドン……」

辺りに響く弾丸の音と同時に叫ぶ声が響き渡った。


『ギャァァアアアアア!』

蜥蜴「な!なななななぁああ」

「なぜだぁあ!」


ラルは空な目で寂しげに呟いた……

ラル「……オレは世界中で一番

オレを信じちゃいない」


当たった弾丸は蜥蜴の片腕を吹き飛ばした

重さが左腕だけでは支えられず、ラルを残し

ボルド、クリス、蜥蜴は落下して行った。


ラル「残念だったな、あの馬鹿が幻惑の

相手じゃなかっったら、お前の筋書き通りに

なっただろうな……

あいつはそういう男じゃねぇ、てのは

此処で反吐が出るくらい散々見せられたからな」


「クリス、お前の役目を果たせ……」


地面に叩きつけられる3体、ボルドの下半身は

既に無く意識は朦朧としていた、

痛みが無いボルドも生命の元である血液の大半が

流れ出た今、生きている事が奇跡、

それを支えるのは彼の強靭な精神力が肉体を

突き動かす、興奮する体の内部では足りない血液を

吹き出す様に心臓の鼓動が激しく、

いつ破裂してもおかしく無い程激しく鳴動する

それでも量の足ら無い分を筋肉が

血液を無理やり上半身に送り意識を保っていた。


更に高温で焼けた地面に落ちた事により下半身を

焼き出血を焼ける事により大幅に減らせた事も

原因の一つだった。


蜥蜴も最早まともに動ける体ではなかった。

同じく焼けた地面に体を打ち付けられ

撃たれ損傷した腕からの止血するも

目や耳から流れる体液は止められず

顔も焼けていた、焼けた地面に触れる部分は

くっつきその場を動くと皮膚がめくれ地面へと

残り再び出血を繰り返す。


それでも我が身を呪い世界を呪い、人間への憎悪は

彼女を動かす。

メキメキと音を立てながらまたも顔を体から

出すがその顔自体も半分は焼け、言葉もまともに

話せない程に損傷していた。


「ニグイ……人がニグイ……」

「私が……何をじた、この星の未来の為

人間は亡ぼさねば、滅しさえすれば……」


身を縮め、天井を見上げ蜥蜴は再び跳躍の姿勢を

とる、それを見たクリスはトドメを刺そうと

剣を握るが、それも叶わなかった、彼の乗る

パワーアーマーも最早、下半身は動かなかった

それでも彼は剣を握ろうとする……


腕は動くが指関節は最早

原型を止めることもなく握る事が出来ない、

目の前にある剣があるのに、握れない手でも

懸命に掴もうとするも虚しくカチャカチャと

音を立てるも掴む事など出来よう筈もなかった。


クリス「クソ、此処にきて……シルブァもボルドも

ラルも頑張ったのに俺は何してんだ」


操縦席を拳で叩き目から涙が流れ悔しがるクリスの

耳からも出血が始まっていた、だが

優しい暖かさを背中に感じる、其処には

這いつくばりながらクリスの側に来たボルドの

手がパワーアーマーの背中に手を置いている。


金属越しに感じる事は物理的に不可能、だが

それは確実にクリスは感じる事ができた。


クリス「……ボルドすまない、俺はやっぱ

何やってもダメな奴だな、此処に来て……

俺は奴らにも報いる事は出来ないみたいだ……」


ボルドは最早生命とは言えない容姿であったが

消える灯火のような微かな声でクリスに答えた。


ボルド「友……よ、私も1人では何も出来なかった

友よ……君も1人では何も出来ない

此処で2人で逝く事を選択するなら私も共に行こう


「だがお前にはまだ仲間がいるのだろう……

救いたい命があるのならば、お前が

諦めないなら私はお前の意思と共に生きよう」


『諦めるのか……?』

「立ち上がるのか?友よ今最後に

お前に問う……戦うか、武器も拾えず動く事も

叶わぬ状況でも!そう全てから!」


目を閉じ俯くクリスの身が震える。

拳を握り震える体をゆっくりと起こすと彼は

言った。


「……お前の友であるには、諦める選択はねぇ、

そうだよな?ごめんな弱音吐いた所見せちまったな

俺も……お前の友で居たいから……」


拳を渾身の力で操縦席を殴りつけた、そして

何度も何度も殴りつけ、手は血だらけになる程

彼は拳を叩きつけた。


『へへへ痛ぇ……意識がはっきりしてきた

ボルド……今一度言う、もう諦めねぇ!』


ボルド「我が友よ、私は……私はそんなお前と

友になれた事を誇りに思う」


「行こう!これが最後だ、1人では成し遂げる事が

出来なくとも、2人なら……2人なら!」


ボルドは這いつくばりながら剣を握った、焼ける

剣はボルドの手を瞬時に炎で包んだ。


「お前が握れないなら私が握る!私が行けないなら

お前が私を、私を飛ばせ!思いと共に!」


そう言うとボルドは剣を握った反対側の片腕で

一本しかないパワーアーマーの腕を

しっかりと握った。


クリス「了解だ!ボルド!」

動かぬ下半身でも上半身は動くパワーアーマーの

パワーを生かし剣を握るボルごと蜥蜴に向けて

投げつけた。


クリス「届けーーぇえええっ!」


ボルドは空を飛びながら剣を突き出し真っ直ぐに

蜥蜴向け突進する、風切音を凄まじく奏でながら

命の剣が今最後の時を迎える。


蜥蜴は不意を突かれた、最早攻撃不可能な筈の

状況に確信を得ていた、だが蜥蜴はそれに気づくと

瞬時に跳躍をしたのだった。


蜥蜴「残念だったなお前の命ももって5秒

最早此処までだ最後の攻撃を避けた私の勝ちだ!」


だがその言葉を言い終わる寸前蜥蜴の体は

跳ねる様に地面へと再び打ち付けられたのだった。


蜥蜴「なんだ!」


ラル「おいお前、オレの事忘れてんじゃねぇよ」

ラルが持つ対戦車ライフルの銃先から煙が出ていた

上に配置していたラルが反動を抑える為に開いた穴

の破損部分に銃を引っ掛け固定、安定性の増した

狙いで蜥蜴の頭上から放ったのだった、その

弾丸の威力で地面へと叩きつけられたのだった。


再び同じ場所へ落ちた蜥蜴は攻撃を避けれぬ状況に

全ての突起物を瞬時飛んで来るボルドに向け

槍状に変化させ突き刺すように向けたが、

再びラルが頭上からその槍に向け何度も銃弾を放つ


当たる度に槍は地面下に向く、何度もボルドに

向けるも、それを防ぐ様にラルもまた銃弾を放った


蜥蜴「クソ!クソ!クソーーーー!」


そして……ボルドの剣はラルの銃弾により下を

向く姿勢の蜥蜴の体を貫いた、体内部に刺さった

剣の柄を捻るように半身引き抜くと、剣本来の

剣部分は内部で本来の悪魔の力を解放、放射能を

内部から高濃度浴びせたのだった。


更に蜥蜴の体は高熱に一気に発火、

体は熱と放射能により原型を止められず、

姿はみるみる内に肉片と化していくのだった。


ボルドは剣を抜き、再び鞘に入れるとそれを捨て

もはや肉塊となった蜥蜴を抱きしめる様に

丸まったのだった……


ボルド「お前の気持ちは分かる……

だが私が得た物は尊く美しい、

まだ彼等のよう者が居る事、

そして上に居るアイツの様に変わるものも

いるのだ……

私が得た物を無くしたお前……

せめて同じ実験体である兄弟といえる

私が一緒に逝ってやる」


「今度……生まれる……時が同じであれば、また

クリス……お前のいる世界で……そして試験体

今度はお前もまた共に生きよう、今度生まれる

世界が混沌では無い事を彼等に託して……」


蜥蜴はもう意識はなかった中ただその言葉の

理解も出来なかっただろう

ただ感じるままに呟いた。

「……あた……た……かい」


こうして戦いは決着した

正義とは何か

戦争も争いも共々ある正義が形を変え起こる。

試験体の正義

人間の正義


誰のとっての正義はどれも正しく不正解だ。

ただ真実の正義は思想の中には無く

心の中に組み込まれたものだ

そう太古……いやそれ以前に

知的生命体が生まれ出たその魂の中にこそ

真実の正義はあるのかも知れない。


それに気づけるかはその人次第である。


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