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クリス24 人vs改造ゾンビ



『ブォン、ブァオンン』

凄まじい重さを肌で感じる棍棒の様に振り回す

ゾンビの風切り音に怯む事なくをクリスは通路の

幅ギリギリまで面積をフルに使い攻撃を避ける、

時折、致命的な直撃は確実に避けるも

振り回しているゾンビの手が顔や身体をかすめ

よろめくも、その傾きすら利用し無駄の無い

華麗なステップを繰り広げる。


攻撃に転じる暇も与えない攻撃ではあったが

シルブァ目にはクリスが攻撃する気が無い様にも

見えた、故の隙が無い防衛、


だが交差法により交わす度に振り回された

ノーマルゾンビの体の体は彼が身をかわす度に

徐々に切り刻まれ小さくなって行く

そして、その棍棒の長さが短くなる程に

距離を縮め遂に改造ゾンビの目の前まで接近した

クリスが挑発するかの様にゾンビの胸に

手を当て再び距離を取る、そして静かに呟く


「……こいよ」


まるでいつでも殺せると言った挑発、更には

手招きする余裕があるクリスにまるで人間の様に

怒り興奮する改造ゾンビ。

雄叫びが空気を揺らし後方にいるラル達にも

恐怖を撒き散らして行った。


(怒りが見えるな、好都合、人も動物も獲物を

持てば【武器】意識が武器に向いて訓練された者

でない限り動きが単純で読み易くなんだよ)


(ただ怒るのは動物……俺も怒ってるぜ?

だがな同じ怒りでも人は其れを力に変える事が)


「出来るのが人間なんだよ‼︎」


怒り狂った改造ゾンビの持つ棍棒代わりのゾンビを

激昂に任せ大振りに振り抜く、クリスの髪が風圧で

なびきながらも華麗に避けた、


棍棒代わりのゾンビが壁にぶち当たると肉の塊が

弾けるような嫌な音を出したかと思えば肉片が

辺りに飛び交い体半分が千切れ飛んだ。


直ぐさま代わりのゾンビを探し、捕まえるも怒りで

制御自体を失っているのか握るだけで細いゾンビは

身体を半分に千切られる程に凄じい力を彼に

見せ付ける。


クリス「……動物の本能か、威嚇する相手を

間違ってるぜ、俺には1人で戦ったボルドの意思も

此処にのっかってっからよ」


そう言うと自分の胸に指を当て笑った。


「ビビってんのはお前だろ」


改造ゾンビに向かい指を刺す。


言葉を理解していない改造ゾンビではあるが

雄叫びを挙げ怒りを更に露わにする

千切れ無い大型ゾンビを選び掴む指が

まるで肉がゼリーと思える位の勢いでワシ掴みに

するのだった。


追撃は続く、が目の慣れた単調な動きにクリスは

適応性を見せる、それでも攻撃しようとはしない

クリスのステップに変化が出始めた。


先程までとは違い交差法によるギリギリの

避け方では無く左右の壁に向かい大きくステップ

を繰り返し後退、改造ゾンビとの距離を取った後、

何故かコンバットナイフを両脇にしまい込み

籠手型に静かに指を置き冷酷な目を改造ゾンビ

一点へと睨み付ける。


シルブァ(なぜ攻撃をし無いのだ……

ナイフで致命傷を与えるのは至難の技だとしても

攻撃と防御、二手をとれば隙が

生まれるのも確かではあるが……)


大型ゾンビとは言え、壁や床を所狭しと

振り回されるその身体は交差法を取るまでも無く、

削れ千切れ、やがて小さな肉の塊となっていった。


クリスの無防備状態を見た改造ゾンビは手に持つ

小さくなった大型ゾンビを後に捨て巨体を

揺らしながらクリスへと走る。


通路一杯に手を広げ、避けるスペースさえ与え無い

タックルに似た攻撃に切り替えた状況に

シルブァが叫ぶ、


シルブァ「攻撃を変えた?

駄目!避けれ無い!に!逃げて!」


クリス「……逃げる?その必要は無い」


指を静かに押したかと思えば

走る改造ゾンビの通路の左側の壁が突然爆発

風圧で肩や顔の肉が飛び散る、

爆風に大きな巨軀がよろめくも今度は反対側の

よろめいた先の右通路の壁が爆発した。


大きな巨体が爆風に右や左に振られ

風圧で足がよろめき後退、左壁にもたれる様に

倒れる間際、今度はその壁が爆発し右腕に巻かれた

腕に巻いた防御板が肉と剥がれ吹き飛んだ……


シルブァ「……な」


シルブァは気付いた、改造ゾンビの腕や首

そして壁にも無数のカードの様な物が

貼り付いていた。


クリス「イルガに渡された籠手型爆破カードは7枚

残りは4枚だ」


起き上がり再び走り出そうとする改造ゾンビ、

クリスは立つその位置から微動だにしなかった。


今度は足から爆発が起き足の指が辺りに飛ぶ。


「3枚」


人でも足の指が吹き飛べば歩行困難に陥る

足の指の支えがないとバランスが取れ無いのだ、

何が起こったのか解らない改造ゾンビは自身の身を

守べく防御体勢を本能的に取った。


クリス「丸まるわな……本能だもんな」


更に静かに冷静に籠手型を触れる。


今度は胸に付いた小型爆弾が丸まる身体の内部で

立て続けに2つの爆発を起こす、叫びながら爆風で

胸は抉れ顔は爆風で仰反る様に強制的に天井を

向くのだった。


『グォオ!……オ……』


シルブァ「罠?避けるだけに集中していたのは

カード爆弾を貼り付ける為か!」


クリス「……そうだ、ボルドには使って

やれなかったが奴の存在が今、紡がれてシルブァ

お前を救った、ボルドに礼を言ってやってくれ」


シルブァ「なぜそこまで我々の事を気に掛ける」


クリス「理由なんざテメェで考えて勝手に

思い込んどけ、俺は助けたいから助けただけだ、

それにボルドの恩に報いねば俺は俺で無くなる」


シルブァ「自分の為か……」


クリス「あぁ、お前がそう思うならお前の中の俺は

そうだ、俺の中の俺は今ボルドと共にある」


クリス「ラストだ……」


肉は抉れ足の指が吹き飛んだ事により

動きは鈍くなるも再び仰け反った顔を正面へと

ゆっくりと向き始めたが今度は首に貼り付けた

爆弾が破裂、ゾンビの顔は床へと勢い良く

這いつくばる様にめり込み

そして機能を一時停止させた……


□カード爆弾の時限式とリモート起爆の見事な

コンビネーションが決まる、動きを読み次の行動を

先取りし一切の抵抗をも出来なくし今改造ゾンビは

『人』の紡いだ力に今、倒れたのだった。


クリス「ト……」

何やら言いかけたクリスがその瞬間改造ゾンビに

向かい駆けたかと思うと大きくジャンプし

両手に構えたコンバットナイフを爆発で傷付き

うつ伏せ状態で露出した後頭部の首目掛け

全体重を乗せ勢い良く刺し貫くのだった。


クリス「シルブァ、トドメはお前が刺せ!

恐らく今は脳震盪を起こし動かないだけだ!

俺のナイフではこの太い首に致命傷は

与えられない!」


その言葉を言い終わる前に意図を汲み取った

シルブァが駆け出し、かつて無い大きさの剣状の

腕を改造ゾンビに向け刺し貫くと

勢い良く首を跳ね飛ばした。


ニタリと笑うクリスは手のヒラをシルブァに向け

差し出す……


意図がわからないシルブァ

困惑した顔を他所に剣を体に納刀した

手を優しく持つとクリスは掌同士を勢い良く

ぶつけるのだった。


『パン!』


クリス「へへ……互いが認め合った時こうやって

勝利を祝うんだよ」


シルブァの顔が赤くなり俯く、そして再び顔を

挙げた顔は美しく笑っていたのだった。


だが其処で終わりでは無かった……

首を捥がれたゾンビが再び起き上がったかと

思えばクリスの身体を両腕で掴み高々と

持ち上げたのだ、


クリス「なっ!……」

シルブァ「クリス!」


クリスの体に改造ゾンビの指が食い込む

「グアァア……」


締め付けられる体から骨から悲鳴の様な音が

聞こえる……


クリス「グッ……力は先程では無い……

行け、約束したよな

今度何かあったら……置いて行くって……」


シルブァ「貴方を置いて行く?私が……」

ドロアからの指示がシルブァの耳に仕込んだ

通信機から入る。


ドロア「置いていけ、お前の使命は果たされては

居ない、出口はもう其処だ、お前無くして彼等が

試験体を倒す事は不可能だ、これ以上彼等の

生存確率を下げる訳にはいかぬのだ」


シルブァ「……」


ドロア「言う事を聞くのだ大義の前に犠牲は

必要だと教えた筈だ……」


シルブァ「……」


ドロア「反抗に対する報復は理解しておるだろう」


シルブァ「はい……」


ドロア「それでも尚、お前はワシに逆らうか」


クリス「おい、聞こえてんぞ……置いて行けって

言ってんだろうが!俺はお前が嫌いなんだよ!

置いていけ、この馬鹿!」


シルブァ「……嘘つき」


クリス「……」


「あぁ大嘘だ……だから友として願う」


「頼むから置いていけ……」


シルブァは静かに立ち上がった。


「力が弱まっているとは言え貴方の体が真っ二つに

引きちぎられる迄の時間はおよそ後1分30秒」


後方も粗方始末した彼等もまた駆け付けた。


モス「クソ!なんだこれ」


モスは手持ちのナイフで懸命に改造ゾンビの腕を

斬ろうと捥がくも丸太の様に太い腕内部に

仕込まれた防御板、そんなモノを簡単に

切断できる筈も無かった。


モスに近づいたラルが耳打ちをする……


ラル「……解ってんな?これがラストチャンスだ」


モス「……あ……あぁ」


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