クリス20 合流
ラル、イルガ共に犠牲を出しながらも、空調設備を
起動に成功、室内温度は平均2度まで下がり
多くの通常ゾンビの多くは活動が鈍くなり
特にドームの中では培養土に含まれる麻痺薬が
徐々に皮膚から侵入し動きを低下
更に本能で寒さを凌ぐべく培養土の中に再び
昆虫が土に戻るが如く潜り込みその活動を停止した
また活動著しいリミッターゾンビもまた急激な
冷えに筋繊維が耐えられなくなり多くのゾンビは
筋繊維断線により活動を著しく低下、もしくは
不能状態に陥った。
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モス「冷えたな……まるで冷蔵庫の中だ」
クリス「イルガ達が成功したようだな」
モス「と言っても俺とお前2人では危険には
何ら変わらない、早く合流しようぜ……」
ドロアから連絡が入る
ドロア「試験体はイルガ達を襲った、被害は
黒兵1人そしてロフエルと言ったか、その2名だ」
クリス「……」
「了解だ、一番近い合流のルートを教えてくれ」
ドロア「その道を真っ直ぐ進み突き当たりを左だ
更に十字路がある其処を進めば一見行き止まりに
見えるが隔壁になっておる、その先の通路で
合流する筈だ、壁はワシが開けてやろう」
クリス「了解だ」
こうして何体かゾンビを倒しイルガ達と無事合流
ドロア教授の指示により、防寒服のある部屋へも
案内され其処で更に準備を進めた。
ラル「まだ生きてるとは思わなかったぜ、
お二人さんよ」
クリス「生きてるんじゃない、
生かされたんだ……」
その言葉を聴きシルブァはクリスを見た。
ユックリとクリスはシルブァの元へ歩み寄り
深々と礼をした。
クリス「すまない……ボルドを守れなかった
俺は……アイツに生かされた」
シルブァ「私達は任務で此処にいる、
気にする事は無い筈だ、特にお前達人間には」
「何故謝る」
クリス「友だからだ」
クリス「……アイツは人間だ、俺より此処にいる
誰より人間だった、アイツは俺を友と
言ってくれた」
シルブァ「友?人間のお前達に……ありえない」
クリス「そもそも友と言う定義に
人間である必要も無い」
クリス「そして有り得るかはどうだって良い、
俺の中の真実は俺だけが持つ、
そしてアイツは紛れも無く友だった、
俺より生きる価値が在る奴だったよ……」
シルブァは怪訝な顔をするも困惑する。
だが己にどうこの言葉に対処すべきか
わからなかった……
シルブァ「見殺しにしたという訳ですか」
そんな訳は無いのは言葉から理解したが人間が
嫌いなシルブァには皮肉混じりの言葉しか口に
出す事は出来なかった。
ただ彼だけが戦闘時にボルドを気遣っていた事を
理解はしていたが、人間として生きた過去の
出来事に、そしてドロアの教えの中の人間は
シルブァの心の中では一致していた。
だが彼は違う、その違いに困惑したのだった。
クリス「いいか、お前に言っておく、今後俺が
危険な時は見捨てろ、必ずだ、俺にはその方が
似合ってる」
シルブァ(似合う?どう言う意味だ……)
「私の任務は護衛だ、それを放棄しろと?」
クリス「其れが任務ならイルガ達を守ればいい
資料は奴等が持ってるからな、俺は生かしても
意味がない」
シルブァ「……そうですね」
クリス「必ずだぞ」
この言葉にまたも混乱を誘う、一つしか無い命に
何故彼は、行動と想像、全てが理解出来なかった。
ラル「おいシルブァ、奴はほっとけ、アイツはな
人間らしくねぇんだよ、いいか?俺も聞いた
お前達はクローン技術で何度も再生を繰り返し
ゾンビの抗体を手に入れたらしいな」
「つまり替えがあるって事だ、俺達には一つしか
無ぇ、お前の使命は俺達を無事逃す事だ、
そうだな?」
シルブァ「……そうだ」
ラル「それで良い、結果其れがお前達の生きる
価値であり、目的な筈だ、俺達を生かし、地球を
救うんだろ?目的を見失ったら全てはお終いだ」
「情に流されるとロクな事はないぜ?」
シルブァ「……」
(彼の言う事はドロア教授の教えと合致する
目的を失っては全てが台無しになる、言葉に
合理性もある、そう彼が正しい)
(それに言われた事に集中する方が私の
戦闘能力も100パーセント出せる、そう100だ)
そう言いながらもクリスを見るシルブァの表情は
穏やかだった、だが甘い彼に同時に任務に差し障り
の可能性を感じる事から怒りの表情も見せた。
シルブァ(もし差し障りがあるのなら彼を殺す
のも任務の中に含まれる……)
イルガ「準備は出来たな、防寒具でのゾンビに
噛まれ感染する率もかなり下がった、
出口は近い、後はこの隔壁を通り、大型ドームを
抜ければ出口だ」
ラル「危険性は?」
黒兵「この先の通路は前のドームに繋がっている
事からゾンビがでる可能性は高い事が予測されます
そしてモニターカメラからの報告によりますと
大型リミッターゾンビが数体」
「後良い知らせが空調管理によりゾンビの数は
激減、多くのゾンビは活動が停止、リミッターに
おいても同じく、気をつける点はリミッターゾンビ
に関しては足の腱が切れた状態で移動は著しく
低下しているものの這いずり状態での活動する
数は未だ多い点です、足元の注意が必要です」
「あと、悪い知らせが2つ……その大型ゾンビの
中で一体、一際大きいゾンビは実験中だった
ゴリラとの融合体だそうです」
モス「ゴ、ゴリラ……てと特徴は腕か、リミッター
が無いゴリラの腕力ってどんなだよ」
ラル「なぁにショットガンがあるさ、腕ごと
吹き飛ばせば問題無いぜ、後の一つは何だ」
黒兵「……試験体イルガ隊長が目撃した奴ですが
モニターにも映りません、何処で会うか予測不能」
イルガ「最大の危険は奴だ、蜥蜴の素早さは
等身大になっても衰える事は無かった
それに人間に対し憎悪を感じた、恐らく我等を
狙っているだろう」
ラル「だが行くしかねぇて事だろ」
イルガ「そう言う事だ、行くぞ!出発だ」
□ドロア談□
過去交配種と言うのは数多く存在する
ロバと馬の交雑種ラバ
虎とライオンの混血であるライガー
シマウマと馬の混血ゼブロイド
ロシアでは過去そう言った人間とチンパンジーや
猿と言った動物とのハイブリットを作ろうとした
科学者はここロシアには存在した。
染色体の近いモノを掛け合わせは私も何千通りも
したが結果はダメだった。細胞と細胞を長く
共存させるための体液による実験もしたが未だ
叶わぬ夢のままだ……
故に私は過去に述べた違う物体の間に中継機を
入れ個別に生きるモノを繋げる技術に完成を見た。
『間接結合』と私は名付けた。
近年小型化する機械技術に腕だけで生きる単体
生存に成功、心臓や内臓を持たぬ腕だけの生命
維持に圧力をかける機械を取り込む、これにより
血の循環は確保した、あとは劣化する血液を
どうするか、これには血液では無く似た構造の
出来るだけ不純物質のない保存液と栄養素が
基礎で作られたモノを入れたのだ。
改造蜥蜴の原理も似た原理だ、だがゴリラと
同じくではあるが違う点は人の神経を再生伸長
させて繋げる事に成功、コンピューターで遺伝子を
操作し蜥蜴の細胞をがんの様に敵対、つまり
拒絶反応を示さない細胞へと変えたのだ。
つまり多くの改造には癌細胞を入れている。
人類もまたいつかガンを克服した時、
唯一細胞分裂回数無限のないその細胞を使い
不死を得るだろう、あれは全ての拒絶反応を
起こさず体を生きたまま蝕んでゆくものだからの
それを平和利用する時代はまだ先だろう
いつも最先端は人殺し兵器から始まるのだから
多くの拒絶反応や無理といった課題は
人は想像すべきものはいつか科学が実証する
と聞いた事があるだろう、
そうその方法や原理がわかれば不可能な事は
万物において基礎原理から無いのである。
人が愚かなのは無理と思い込む自分の頭で片付けて
しまう事に他ならない、誰かがそれを行い
そして成功し、原理を説明すればそれは常識となる
服はどうだ?服しか見れないであろう、
それをパンツにする事が出来るか、答えはYES
だろう、ものの全てはそれを加工するか一本の
糸にしてしまえば良い、基礎となる糸をまた紡げば
それはロープや下着、また車のシートのもなろうて
その複雑な糸を手繰り寄せるのが科学であり科学を
発展させていったのは人間である。
不可能は諦めだ……口癖なものも多いだろう不可能
それはお主が自ら作った糸なのだ、そしてそこで
諦めは進化無く終わる。
人よ……人であるが為に人で甘える事なかれ




