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クリス16心の苦痛



ふらつきながらも2人は警備室へと到着

うな垂れ気力の失せたクリスだったが彼には

帰るべく家がある、哀しみが心を締め付けるのは

守れなかった後悔と不甲斐なさ、自分への罵倒

に他ならなかった。


警備室にあった武器は散弾銃に短銃、

A Kマシンガンそして彼の最も手に馴染み

使い慣れたドラグノフライフルだった。


モス「……気持ちは解るがあんま、自分を責めても

奴は戻って来ねぇぞ、奴の分までしっかり生きろ」


クリス「……」

クリスの指がピクリと動いた……


モス「奴はこれが宿命だったんだって」


クリス「……あ?」


いきなり立ち上がりモスの胸倉を掴み何処に

ぶつけて良いか解ら無い感情を腕に伝わせモスを

睨みつける事しか出来なかった。


モス「チッ、離せ!」


「それとも何か?お前ヒーローにでもなった

つもりか?助けられなかった自分が許せねぇってか

笑わせんぜ!お前1人が何ジタバタしたって

物事は変わりゃしねぇんだよ!」


クリス「ヒーロー……」


「……」


モス「いい加減大人になれや、慰めるつもりも

無えがな、熱くなったって誰も救えねぇんだ

お前が言う通りクールに慣れるこった」


クリス「クールにか……」


モス「頭の悪い俺にもなんと無く解って来たぜ

ボルドやシルブァ、クラスターゾンビと言われては

いるが奴等、ゾンビでは無いな、所謂、強化人間

って事だよな」


クリス「あぁ……ゾンビの媒介たるウイルスか

細菌かはしらねぇが体内でそれを保管する器官を

持つ者だろう、恐らく貧困や親に売られた者達か

戦争の犠牲や幼くして命を絶たれた者達だろう

それを教授が、脳が無事な……そして体だけが

朽ち果てる所を……」


「人間じゃねぇか……」


「それを助ける事も出来たろうに、その2度目の

生の代償が強化人間……実験体」


「助ける訳でも無く……生かすわけでも」


モス「生きた時間が短いから純真で

いられたのかもな、人は長く生きると余計なもん

背負い込んだり欲望に我を抑えられなくなるからな

今思えば確かに素直でいい奴

だったな仲間思いの」


「クソ!なんだってんだ!」


モス「落ち着け、少なくともボルドは笑って

逝けたと思うぜ?」


クリス「笑って?は?笑わえんぜ」


モス「お前だからだよ」


クリス「俺だから?意味がわからねぇ……」


モス「人其々生の意味は自分で作る

もんだって事さ……それに必要だったのが

お前だったと言う事だ」


クリス「……わからねぇよ……んな事」


モス「……」


モス「行くぞ」


俺にもっと力があれば、冷静に慣れる事が出来れば

結果それが救いになるなら……

人は人、熱くなった所でエネルギーを使う

だけなのか……そう心に思い込ませる様にクリスは

静かに心を閉じて冷静さを取り戻して行った。



その頃イルガ達は武器を補充し出口へと急いでいた



ドロア「武器は補充出来た様だなクリス達も無事だ

ボルドは残念だったがシルブァ、

最後まで任務を怠るな」


シルブァ「……了解しました」


ラルがシルブァの肩に手をやり声を掛けた。


「残念だったな」


その瞬間、置かれた手を払い退けるシルブァ


ラル「おいおい人が心配してやってるってのに

連れないねぇ」


シルブァ(ボルドをドアの外に放り込んだ張本人

が良く言う……人はやはり利己的だ、言った言葉に

行動がまるで逆なのだな)


ラル「ご主人様の命だしっかり働いてくれれば

文句は無いがな」


シルブァ「……了解です」


長い通路を渡りゾンビの数は0のまま目的である

空調設備へと急ぐイルガ達。


黒兵「隊長、このドアの先が空調管理室です」


黒兵B「中には敵は居ません、このままドアを

開けます」


その時再びドロアから通信が入る。


ドロア「急げ!試験体がそちらに向かって居る

隔壁は落としたが時間稼ぎにしかならん」


イルガ「急げ聞いた通りだ」


ドアを開け黒兵がシステムをドロアの指示で起動

出口は3箇所、其々が見張に立ち時間は過ぎて行く


黒兵「駄目だ最後のキーを入力しても作動しません

恐らく配電が何処かで切れていると思われます」


イルガが籠手型で地図を確認、ドロアに

監視カメラで配電してある通路の壁が抉れている

様な場所を探させた。


送電線が切れていそうな場所は2箇所、修理に

使える道具は無かった。


イルガ「教授、たどり着いたとしても修理する

道具が有りません」


ドロア「大丈夫だ、配電室からは操作ボタンの起動

するキーを伝えさえすれば後は各小型電力が電気を

送り続ける事が出来る、今はその切れた線を一旦

繋ぐだけでええ」


イルガ「了解です、二手に別れるぞ、黒兵Bは私と

ロフエル、ラルお前達は北の送電線へ迎え、高圧に

耐えられる手袋だ」


そう言うとイルガは自分の手袋を脱ぎ

ラルへと放り投げた。

「送信システムが無い、時計は持ってるな、

時間で繋げる、今から15分後だ」


ラル「クリスなんかに渡すからだ、アイツは

アマちゃんだからこうなる事は予測出来た

これは紛れも無くイルガお前のミスだ」


イルガ「……詫びよう、だが今は緊急だ、其方は

頼む」


ラル「おい、此処で約束しろ、外へ出たら俺達を

安全に逃すと、そして2度と俺たちに構うな

後、俺達の犯罪履歴を消せ、そん位出来んだろ」


イルガ「約束しよう、犯罪履歴も消しておく」


ラル「守れよ……」


こうして彼等は二手に別れ送電線へと向かった。


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