クリス⑧
キー解除をした彼等は次の研究施設へと向かう事に
均等配分によりクリス達のハンドガンの弾も
配られた、先行する彼等にマシンガンライフルを
そのまま持たせた、装備が充実している彼等が
先陣を切る形で歩を進める形となる。
先程の通路とは違い綺麗な純白の壁通路が広がる、
警戒しつつもその長い通路を進み曲がると
アーチ状になった噴霧器のある場所へと
辿り着いた
モス「これ何だ?噴霧器みたいな……
除菌機だよな?スイッチもある、押すか?」
イルガ「不用意に押すな、何が起こるかわからん」
クリス「そうだな、別に施設に遊びに
きたわけじゃ無いが……返り血が多い、感染する
ウイルスだと消毒は一旦するべきだが……」
銃を構える彼等の頭上からマイク放送が入る。
謎の声「これ、除菌せず中に入る事なかれじゃ」
音の方へ一斉に銃口を向ける彼等に老人らしき
声が話しかけてきた。
モス「人がいるな罠か?だが年寄りの声だが」
謎の声「今除菌器のスイッチを入れてやる、
何、硫酸を浴びせる事も出来るが通して
やろうというとる、素直にかぶれ、
此処まで仕上げた実験体を台無しにされるより、
通過させてやろうと言うておる、
それにそこの兵士、その装備から
黒い兵士は察するにEBR部隊じゃろ」
エド「何じゃそりゃ」
クリス「聞いた事のない部隊名だ」
イルガ「……あぁそうだ、それを知ってる貴方は
ドロア教授ですね?10年前は我が国で研究施設長
を担当されていた」
ドロア「あぁそうだ」
「10年前この国に拉致されて今は此処で研究を
続けておる、まぁワシはどの国であろうが構わない
のだがな、この研究は地球上の生命体の全ての危機
に関わる事じゃからな、どの国であろうがやる事は
変わらん」
モス「話が壮大になってきたな、どう言う意味だ」
イルガ「教授……資料を私達に渡して下さい
そして貴方を連れ帰る事が我々の任務です」
ドロア「ええよ、持っていくがいい、だが研究は
かなり進んでおる、今此処を離れる訳にはいかん
それは諦めてもらおうか……
そして伝えるがいいお前達の国でも未来、
必ず来る危機に備えるがいいとな、だから資料は
出し惜しみせず渡してやろう
そして私を諦め此処を通過する、それがワシの
此処を通す条件じゃ」
イルガ「しかし……」
「先程言った様にワシはどの国に所属している
わけでは無い、ワシはワシのやれる事を
やるだけじゃ、後はそれをどう使うかそれだけじゃ
拒否するならドアは開けん
そして先程見ただろう、アレらをお前らに再び
襲わせる結果になるがの」
ラル「じょ!冗談じゃねぇ!」
クリス「目的の最優先は資料だろ?今は教授は
諦めるが賢いと思うぜ?このドア直ぐに開けれる
自信があるなら話は別だが、さっきの通路、
開けられたら全滅は確定だと思うが」
イルガは少し考えた……だが答えは一択しか
なかった。
イルガ「確かに最優先は資料だ……了解しました」
ドロア「よし良い子じゃ
ロックは解いたぞ、入るがええ」
クリス「……待て」
クリスはシャワーに向け鉄片を投げ入れた。
クリス「白いモノが何か出てるか?」
銃を構えながら油断をしないクリスに代わりエドが
それを見る。
エド「いや何も変化していないぞ?」
クリス「そうか……」
ドロア「疑り深い奴がおるの……まぁ此処まで侵入
できたから当然か……これで小細工してもわかる
奴がおる事もわかったろう?」
「目は瞑りながらだ1人づつ丁寧にだぞ、菌や
ウイルスが除去出来れば上に着く赤いランプが青に
変わる、噛まれた者が居ればランプは青にはならん
その時は感染者を始末しろ、それが出来なくても
此処には入る事は許可しない」
イルガ「了解しました、現状此処にいる者は
噛まれたものはおりません」
ドロア「まぁ除菌機に入ればわかる」
皆は霧状になった除菌機に入り念入りに
返り血を落とした。
そこを通過すると再びアーチ状の乾燥機の様な熱風
が出る場所に、さらに奥へ入るとようやく先程の
声の主であるドロア教授のいる部屋の前へと出た。
ドロア「よし消毒は完了だ、感染者は無しだな
入るがいい……が機器には触るな、これが条件だ。
呑めなければ室内のガスを噴霧する、
そこでお前らの人生はお終いじゃいいな?」
イルガ「教授の指示に従うんだ」
黒兵「隊長、教授の言葉を鵜呑みにして
いいんですか?それに施設破壊も作戦の一つでは」
イルガ「今は中に入る事が最優先だ、
入れば何とかなる」
ドロア「お主が隊長だな、夢々此処を
破壊しようと等、思わぬ事だ」
見透かされている行動に微動だに反応せず話を聞く
ドロア「面倒臭いが話しておいてやろう
実行部隊のお主なら今地球にある危機を
多少なりとは知っておろう?」
イルガ「我々は命令をこなすだけです、
情報については何も聞かされてはおりません」
ドロア「嘘つけ……まぁええ、ここで問答する気は
ワシも無い、しかし此処まで辿り着けたのが
国のエージェント3名と何じゃコイツら……
兵では無いな、」
「まぁええ、ついでだお前らもついて来い
そして聞いていけ」
そう言うドロア教授は奥へと手招きする、
彼等は暫くドロアの後を大人しくついて行った。
ドロア「外はどうなっとる?監視モニターが外部と
繋がらん、お前らが侵入してきたとなれば
およそ見当はつくが」
クリス(監視モニターが作動してないとなると
此方が内部の何処のいるか外部も解らないと
言う事か、取り敢えずは施設兵の警戒はしなくて
いいわけだな)
「ここは自家発電があるから問題は無いはずだが、
さっきから振動が止まない、ここの電力が遮断
されれば、それこそエライ事なると言うに……
お前らの国も見当はつくじゃろうて、
無茶しよってからに」
「まぁそれ程の焦りか……いや緊急性が高まって
いるのかの?」
イルガ「……お答えは出来ません」
ドロア「お堅いの、まぁええ、入れ」
第一への重厚な扉が開く、高さ3メートルは
ありそうなその重々しいものは厚さも20センチは
あろうかという物だった。
扉の上に設置された赤いサイレンが回りだす、
先程の感覚が残る彼等の緊張は高まる。
ドロアが開けたドアをはいると其処には驚愕の
光景が彼等の目に飛び込むのであった。
 




