ログインボーナス57日目 バッグ・クロージャ―
朝、目が覚めたらヘリコプターに乗っていて、尚且つ綺麗な夕日と月が見れる状態になった事を経験した人はこの世で俺ただ一人かもしれない。
これをうぬぼれと言ったら何がうぬぼれなのか。
「おはようございます。後でログインボーナスお渡ししますね。今操縦中なので」
隣でヘッドホンを付けた配達員さんが、命の手綱を握っていた。
あ、これ下手に動いてどこかのボタンを押したら、死ぬ奴じゃないか。
というかどんどんと初体験を配達員さんに奪われている気がする。
船や旅行とか、ヘリもそう。
「あ、あれがアタカマ塩湖です。あれの上の方がセヤス湖になります。」
夕焼けの赤と紫の空を反射してて、とても美しかった。
「え、昨日のログインボーナスはこれだけですか?」
「そうですね、降りれる場所がないのでこれだけになりますね」
「さあ、帰りましょう!」
配達員さんそんな笑顔で言わなくていいのでは?
その後、ヘリでなんとかあたかま空港へ行き、お土産も買わないでプライベートジェット機は空へと旅立った。
ああ、歩きたかった月の谷、見たかった幻の花園、入りたかった温泉(配達員さんと)。
そして泳いでみたかったセヤス湖。死海よりも塩分濃度が高いみたいだ。
これから行きの機内と同じように配達員さんと過ごすのだろう。
「あ、蒼井さん、今日のログインボーナスです」
そう言った配達員さんにジュエリーケースを渡された。
これはもしかして……。
ジュエリーケースに入っていたのは、食パンの包装についてるアレ……。
バッグ・クロージャ―だった。
蒼井さんの事を最初、氷上さんと入力してしまったのは秘密




