ログインボーナス100日目 新潟とサンドウィッチ
昨日、俺だけ彗星を観測した後、配達員さんのジープに送られて部屋に帰ってきたのは日をまたいでからだ。
ただ疑問が1つだけ、なぜ配達員さんは彗星を観測できるタイミングとスポットを……。
朝、インターフォンが鳴り目が覚めた。スマートフォンを確認すると8時……。
8時!?
「おはようございます」
とりあえず急ぎ配達員さんに挨拶をした。
「おはようございます。本日はログインボーナス100日目です」
「配達員さん1時間半待ちました?」
「いえ、今来ましたよ」
配達員さんはそう言って笑った。
これって待たせてしまった奴では?
しかしながら配達員さんは手元に何も持っていない。
それに配達員さんは部屋を自由に出入りできるはずだ。
考えが循環し始めたので思考を放棄した。
「それじゃ出かけましょう」
着替えた俺は配達員さんに連れられて駅へ。
「これ切符です」
「珍しいですね、公共交通機関って」
渡された切符の目的地は新潟と書かれていた。それにグリーンの指定席。
「そうです。今日のログインボーナスは新潟です」
もう1つのログインボーナスは何だろうと考えながら、配達員さんと新幹線を待っている。
やって来た2階建ての新幹線に乗車すると、前の席に見知った顔が座っていた。
「ジグムント!?」
「おお、ボウズじゃないか。やっぱりジャパンでもあったな」
凄い日本語が達者になっているなジグムント。
「ジグムントも新潟か?」
「いや、まずはタカサーキでハナダカテンボウハナノオカにいくつもりだ。ビジネスとしてな」
働きものだなジグムント。
「そのあとにニーガタにいくつもりだ。あえるといいな。それとやっぱりボウズはネーちゃんをはべらせているんだな、きぞくか?」
「いやへいへいぼんぼんだよ」
それに俺は新潟には詳しいぞジグムント。だからな多分、いや 絶対新潟では会えないぞジグムント。
「蒼井さん、これボーナスのサンドウィッチです、朝ごはんにどうぞ」
「手作りですか?」
「手作りです」
ひゃっほうと叫びの衝動に襲われそうになった。
「ボウズいいものたべているな」
これはやらないぞジグムント。
「これどうぞ」
配達員さんが市販品のサンドウィッチをジグムントに手渡した。
「いいのか、ネーちゃん。サンキュー」
「いいんですよ、私にはこれがありますから」
そう言った配達員さんは俺が現在進行形で食べていたサンドウィッチを、もぎ取り一口で食べた。
食べかけを口にされたことなのか、配達員さんが格好良く見えた事か、俺の頬は紅潮した。
「蒼井さん越後湯沢で降りますよ」
やっぱりな。なぜ新潟行きを買ったんですか配達員さん。あと1時間くらいありますよ。
「はいはい、お供させて頂きますお嬢様」
この時ジグムントは、蒼井が白髪美少女に仕えているのだと盛大に誤解した。
駅構内のながーーーい土産売り場を過ぎると配達員さんの目的地に到着した。
ぽんしゅ館。
始め、配達員さんは日本酒古酒ワインの自販機で手あたり次第に飲み比べをすると思ったが、予想が翻された。
「蒼井さん!! 日本酒風呂に入りましょう」
「配達員さん日本酒風呂の前には麹ラテを飲みますよ」
何だかここでは俺の方が理性が保たれている気がする。
日本酒風呂の後、浴衣姿の配達員さんに見惚れながら時間が流れて行った。
「配達員さん自販機で飲まないのですか」
風呂上がりの配達員さんが水を飲んでいたので、そう口から言葉が出ていた。
「ここの自販機で飲めるもの、家のセラーで飲めますから。それに新潟にきたらお酒よりも水を飲むべきですよ」
そう言った配達員さんが紙コップを手渡してくる。
しようと思えばできる間接キス。そこに踏み込む勇気は俺にはなかった。
あ、水美味しい。
昼ごはんは大爆おにぎりを配達員さんと分け合って食べた。傍から見たら浮かれているカップルの用で、嬉しい美味しい恥ずかしい、と3種の感情が乱れ混ざった。
デザートに駅前のカフェでかき氷を食べた。
イチゴとマンゴーのかき氷を分け合ったがどちらとも美味しかった。
それと締めの水出しコーヒーがたまらなく美味しかった。
2人で脚湯に浸かった後、浴衣を着替えて帰りの新幹線に乗った。




