駆逐艦初月 出港~
1944年10月25日
エンガノ岬沖海戦
(くっ!…もはやこれまでか…このままでは艦隊は全滅だ…)
「艦長、五十鈴、若月に対し信号!我、艦載内火艇の為引き返す!」
初月艦長「はっ…」
「よーしここからが正念場じゃ!本艦は単艦にて
敵艦隊に突入セントス…五十鈴、若月の殿だ!総員心してかかれ!」
初月乗組員「はっははは 司令もよくいうぜ…まぁ敵に一杯食わせにいくとしますか」
…………20時59分………ドバーーーン……
駆逐艦初月轟沈
第61駆逐隊司令に
天野重隆大佐
艦長以下290名 戦死……
時は流れ、2105年…
整列!全体右向け~右!
気を付け!
かし~ら~中!
「うぇ~~ダル~」
マヒロ「こら! また私たちまで責任おわせられるでしょ」
教官「おー…訓練中に私語とは随分気楽でいいな」
「いえいえこんなの大したことないですよ」
教官「そうかそうかよしこの馬鹿のために総員
外周+50周 !はじめ」
おぃおぃまじかよ
またあいつかよ
マヒロ「ほら!いったじゃないシュウキ」
シュウキ「いやいまのはおまえにも責任が…」
マヒロ「ん?」
シュウキ「…なんでもないです…」
はーここは平和なもんだな俺は功刀秋輝…現在18だが俺には前世
の記憶がある。今から約160年前ほどの人間だ…歴史をみたときには驚いた…まさか日本が敗けたとは…まぁ大体予想はついていたが実際に見るとくるものがあるな…あの時俺たちが戦ったのに意味はあったのだろうか…でもそれより驚いたのはその後の日本の復興だった…日本が世界に復帰する、そのスピードとその技術の進歩には度肝を抜かれた。しかし、今から数年前を境に世界はまた激動の時代に入るその前兆を感じた……
西暦2100年
現在世界は突如発生した謎の知的生命体により
ユーラシア大陸 アメリカ大陸のほとんどを占領された
知的生命体は
トイフェルと呼ばれ
トイフェルの作り出すその物質により
電子機会が全てだめになるという現象が多発した
レーダーでも反応せず
衛星にもうつらないという完璧なステルス性能を誇っていた
世界のほとんどの海域も支配され
海上貿易で成り立つ日本のような国はもろに影響を受けた。
今から、数年前自衛隊初の派兵が行われ
米海軍やロシア海軍、中国海軍そして海上自衛隊を含む
連合艦隊で大作戦を行ったが結果は全滅
電子機器満載の最新の護衛艦では歯がたたなかったのだ
艦隊は急接近されたトイフェル艦隊に砲雷撃戦に持ち込まれたのだ…
それから三年日本国は憲法を改正し本格的に
陸海空軍を保有した。
またそれに先立ち各高等学校では
戦闘訓練を実施し見込みありのものは陸海空軍に入隊を
迫られた。
シュウキ「いててて…あのくそ教官本気で殴りやがって
ユーモアを知らないのかよ…」
コウキ「ハハッハハでもあれは、シュウキが悪いよ…」
マヒロ「そうよそうよあんな寝ぼけた顔して
私までおこられたじゃない!」
シュウキ「いやいやそこでおまえがおこらなければ…」
マヒロ「寝ぼけてる方が悪いんでしょ!」
コウキ「まぁまぁ それより今度の海洋実習どうする?」
シュウキ「あーあれか 砲術科とか 水雷科とか航海科とかを
選択するんだろ」
マヒロ「うーん私は航海科かな…」
シュウキ「おまえが操縦すんのかよ。すぐ沈むな、その船俺その日さぼろうかな…」
マヒロ「なんですって!そもそもあんたの方がどこの部署にいてもその船は危険よ!」
シュウキ「おーおーいってくれるじゃねぇか!あー?」
マヒロ「上等よ!」
コウキ「まぁまぁ落ち着いて…でさ明日海洋実習の適正試験を
やるらしくてさ。そのなかで重要な役職、艦長とか副長
各部署のトップを決めるらしいんだよ」
シュウキ「うへーまたテストかよ…」
マヒロ「馬鹿にやらせる意味あるのかしら?」
シュウキ「ひでーいわれようだな」
マヒロ「本当のことよ」
コウキ「( -。-) =はぁー」
数週間後 横須賀港
(テストか… そんなもので役職きめるとか……
そもそも海に出て俺たち生き残れるか?
今の海は戦場そのものだろ?
一年前を最後に各国との連絡もつかないといっていたし)
(俺らは使い捨ての駒に過ぎんか…)
「それではこれより海洋実習出港式を開始する」
シュウキ(果たして生きて陸地を踏めるかだな)
「各部署長についての発表を行う」
(だりー…)
「砲雷長 橘雪 航海長 二階堂マヒロ」
シュウキ(はっ?」(いやいやいや待てまて…あいつが?
冗談だろ…)
「機関長 吉原コウキ 医務長 渡邉岬 」
(おー機関長か…すげぇな)
「副長は機関長が兼任す」
(すげー)
「艦長 功刀秋輝」
シュウキ「はっ?……んっ?………」
「以上!」
マヒロ「はぁーー!?あいつがなんで?私の上官?」
(いやおまえも十分におかしいだろ…)
マヒロ「なんでよナミダメ 私の人生終わった…」
シュウキ「さすがにひでぇなそこまで言うか…」
コウキ「すげーなシュウキ!艦長なんて!」
シュウキ「いやいや無理あるだろおれが艦長なんて…」
コウキ「お前ならいけるって!頼んだろ功刀艦長!」
シュウキ「やめろよそんなよびかた…」
コウキ「いやいやこれから俺らの上官なんだからちゃんと呼ばないと!ほらほらマヒロも」
マヒロ「えっ!いやっ私は…モジモジ くっ」
シュウキ「くっ?」
マヒロ「くぬぎ かっ…」
シュウキ「…」
マヒロ「かん……シュウキのはがやろう!」ボン
シュウキ「いてーナニすんだこのやろう!」
マヒロ「わたしはおまえが艦長なんて絶対認めないから!」
シュウキ「…」
「ではこれより乗艦を、行う!」
「各員速やかに乗艦せよ!」
「はっ!」
そこで俺が見たのは旧帝国海軍の駆逐艦だった。
駆逐艦初月…かつて俺が乗艦していた艦だった。
今となってこいつと出会うことになるとは…
マヒロ ジーー「なに見てるのよ!乗艦よ乗艦!」
シュウキ「いやなこの艦をさ」
マヒロ「なんかこの艦に思い入れでもあるの?」
シュウキ「昔、文献で読んだことがあってさ………
大日本帝国海軍 秋月型駆逐艦四番艦 初月
又の名を乙型駆逐艦 全長134.20m 最大幅11.60m
排水量2700トン
65口径10cm連装高角砲 4基8門を備えその射撃能力は
三秒に一発の早さで射撃可能 1944年迫り来る米艦隊に対し
艦隊の殿となり単艦にて突撃を敢行 何倍もの敵に対して孤艦奮闘…その奮戦の後、撃沈された………そう、された……
…それなのになぜここに!?……」
教官「おー知ってたか…」
マヒロ「えっなぜここに教官が…すみませんすぐ乗艦します」
シュウキ「えっ?教官は知ってたんですか}
教官「まぁ一応な… 日本国海軍はな今旧海軍の艦艇を使って
トイフェルとの戦いをやろうとしてる。あいつらは電子機器が通用しない。つまり電子戦をやりようもない。しかも
レーダーにも衛星にもうつらないときた。頼れるのは人間による
目視。つまり時代は20世紀の初期の方まで戻っちまったってことだよ…そこでこいつってわけだ」
シュウキ「それでって…」
教官「それよりお前艦長だって?まじかよw面白そうだな」
マヒロ「笑い事じゃないですよ!」
教官「ごめんごめん まぁ お前を選んだのもたぶん上も
なんか案があるんだろ。頼むぞ功刀艦長!」
シュウキ「……」
教官「よし!お前たちさっさと行ってこい!」
シュウキ「ちょっまっ…」
それにしても駆逐艦初月とは…運命的だな
………
「ただいま………初月………」
初月艦内
マヒロ「すいません。遅れました!」
橘「遅い!全く艦長と航海長がこれだから……」
コウキ「まぁまぁ雪さん落ち着いて」
マヒロ「すいません以後気を付けます」
橘「まぁわかればいいけど…」
へー変わってないな…おっ!この羅針盤…懐かしいな
この艦橋からはいろんな景色を見せられたな…
ここに橋本艦長がいて俺がこの位置だったな…
あれから160年いろんな事があったんだな…
それをこいつは海底からどのように見ていたのだろう…
マヒロ「ちょっと?なにボーッとしているのよ…大丈夫?」
シュウキ「えっ…ハッ!ごめんごめんえーとこれで艦橋組は全員かな…」
コウキ「うん…そうだな」
シュウキ「じゃあ自己紹介を…」
コウキ「えーと機関長兼副長の吉原大尉です」
橘「橘よ 砲雷長で階級は中尉よ」
マヒロ「航海長の二階堂中尉です!」
すみれ「見張り員の加藤曹長です…」
今野「同じく今野伍長です」
ゆづき「航海士兼操舵手の下原少尉です」
シュウキ「えーとこれで全員の自己紹介は終わったかな
自分は艦長を命ぜらた功刀秋輝少佐だ。
これから宜しく頼む。」
ショウキ「じゃあ出港かな?」
コウキ「そうですね0900にて海洋実習開始だそうです」
ショウキ「って敬語………よし!出港準備!前中後部指揮官艦橋!
前部員、錨鎖詰め方!ラッパ用意ーー 司令出港します」
司令(通信)「はい行えー」
シュウキ「出港用意ー」
パパラパパパラパパパラパッパパッパパーン
航海長(艦内マイク)「しゅっこうよーーい~!」
砲雷長「一番離せーー」
前部指揮官「 舫離せーー」
砲雷長「二番離せーー」
中部指揮官「舫離せーー」
砲雷長「三番離せー」
後部指揮官「舫離せーー」
艦長「初月 出港!」