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25 魔法を覚えてみる

【火球】【水球】【風刃】【土壁】【初級解毒】【光球】


 やはり俺が覚えている魔法は初級魔法だったらしい。初級で新しいのは【初級解毒】と【光球】。【初級解毒】は毒の症状を緩和する魔法のようだが、毒は消えないらしい。消えないなら解毒じゃない気もするが、そこを突っ込んでもしょうがない。まあ、毒に関しては浄化ポーションやエリクサーなんかもあるし、おそらく【無病息災】をオンにしておけば無効化できるはずだが、せっかくだから覚えておくか。


【光球】は文字通り光の球を作り出す魔法らしい。ようは暗いところを照らすだけの魔法か……だが純粋なライトとしては使えるだろうし、やり方によっては目くらましなんかにも使えるな。


 中級は【火槍】【水幕】【風乱】【土礫】【治癒】【催眠】の六つ。【火槍】は【火球】の上位で、槍型にして貫通力を増した魔法。【水幕】は水のカーテンを作り出して攻撃を軽減したりする。【風乱】は周囲の風の動きを乱して、矢などをそらす魔法で【土礫】は石の礫を敵に飛ばすらしい。

 そして【治癒】。欲しかった回復魔法だが【治癒】程度では擦り傷、斬り傷を治すくらいで精一杯らしい。もっとランクが上がればいい回復魔法があるのかも知れないが、とりあえずはこれで我慢するしかないな。

 中級最後は【催眠】。といっても催眠術のように操るというわけではなく、眠らせる魔法でスリープってことらしい。どの程度の効果があるのかわからないが、相手を眠らせて無効化できるならかなり使える魔法だ。いまの俺の現状だと、攻撃魔法よりも状態異常を狙う魔法のほうが効果がありそうだ。


 そして、金貨七百枚もした珍しい上級魔法【固定】。これは……確かに珍しいんだろうが、おそらく使用する奴があまりいなかったから量産されなかったからだな。婆さんとしては、リアナが魔法に詳しくないことを知って、不良在庫の処理をしたんだろう。しかも、ぼったくり価格で。


 アイテムバッグのときは明らかに騙そうとしてたから、こっちもそれなりの対応をしたが……今回はあの値段がぼったくりかどうかは俺たちには判断できなかった。本当に上級魔法はあのくらいの値段がする可能性もあったから言い値で買ったが……勿論、無駄遣いしたつもりはない。


 覚えてみて試してみないとわからないが、この魔法は意外と役に立つんじゃないかと俺の直感がいっている。


「さて、じゃあ魔法ってやつを覚えてみるかね」


 俺の覚えている初級魔法は駄女神から貰った魔法で、俺の感覚では覚えたというよりもいつの間にか覚えさせられていたという感じだ。だから、俺がちゃんとした手順を踏んで魔法を覚えるのはこれが初めてということになる。


「まずは……【光球】からだな」


 いくら最高級の部屋で魔道具のランプが複数設置されていても、日本育ちの俺にはこの部屋はまだ薄暗い。こいつを覚えれば部屋を明るくできる。

 俺は魔術書を縛っていた紐を、なんとかほどいて魔術書を蹴とばすようにして広げると中に書かれているものを読む。書いてあるのは魔法の簡単な効果の説明となにやら魔法陣のような図形……おそらくこれが婆さんの言っていた魔法式というものなんだろう。

 書いてある文字は【異世界言語力MAX】で問題ない。魔法式のほうは……なるほど、魔法式を見ていると体の中から魔力が勝手に吸い出されていくような感覚がある。これが魔力を通すということか。


 やがてすべての魔法式に魔力が通る……ああ、これか。確かに臍のあたりに読み取った魔法が入っていった気がする。この場所が魔力の源、魔核ってやつか……覚えた魔法を思い浮かべるだけで呪文も頭に浮かんでくるな。俺には呪文は必要ないが……これが魔法を覚えるということか。


「面白いな……これなら確かに覚える楽しみはありそうだ。たぶんだが、魔力がなかったり、足りなかったりすると魔法式に魔力がいきわたらず、魔法は覚えられない。この魔法式はその辺の判断機能も兼ねているってことか」


 俺が覚えた【光球】の魔術書は、魔法式がすべて消えてしまっている。すべての式に魔力が流れると消えてしまう仕組みらしい。これじゃあ、婆さんの言う通り再利用はできない。よくできているな。


【光球】


 覚えた魔法を使ってみると、俺の頭程度の光球が出る。この世界規格でいうと大きめの豆電球サイズか?

 ただ、明るさはまあまあだし、ある程度操作もできる。これなら……【光球】×20。新たに二十の光球を生み出して、部屋の中に適当に浮かべる。


「うん、このくらいあれば十分に明るい。魔法のランタンを使えば光源は確保できるが、部屋の中じゃテントと違って上から吊るせないし、ダンジョンなんかに入ることがあれば手に持って歩くのは面倒だからかなり役に立つな」

「マサヤさん! お風呂って気持ちいいんですね! しかもお水じゃなくてお湯なんですよ! それになんか泡泡のがあって、それで洗ったら私の毛もすっごい綺麗になったんですよ! ほらみてくださいこの白さ!」 


 うるさいのが出てきた……。こいつの中で風呂は水風呂が常識だったらしい。しかも、石鹸なんかの存在も知らなかったようだ。幸い使い方は風呂の中に書いてあったから、問題なかったみたいだが…………部屋が明るくなったせいもあって確かに白い。いままでは白狼族というよりは、灰狼族って感じだったからな。


「って、おわ! なんですかこの明るさは! あ、この光の球のせいですね」


 寝間着として買ったワンピースのような貫頭衣(獣人用だから背面に尻尾用の細工がしてある)を着たリアナが、部屋の中にふわふわと浮いている光球に指を伸ばす。


「きゃ! なんですかこれ! ピリッときましたよ、マサヤさん!」

「なに!」

 

 光球に触れた指先を押さえながら、不安そうに眺めるリアナを無視して、さっき目の前にだした光球に自分でも触れてみると、パチッと音がして電流が流れた感じがする。


 ……くっ! つつっ……これは、あれだな。ライターとかに偽装したピリッとくるおもちゃの感覚だ。つまりこの光球は明かりとしてだけじゃなくて、僅かに電気の性質も帯びているってことか。この世界の人間が使ったとしても、攻撃魔法と言えるほどの効果はないのだろうが……これはこれで使いみちがありそうだな。

 ますます面白くなってきた。とりあえず、残りの魔法も全部覚えてしまうか。


ここで出てくる固定魔法をピックアップした短編を投稿しています。

興味がある方は作者ページから読んでみてください^^

タイトルは「ドラフト外宣告を受けた固定魔法で異世界を生き抜く」です。

これを投稿したくて書いていたのでこっちが止まっていました^^;

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