side アイリス
「ならボクらにも役割がある。それは神殿が保証してくれてる。」
私が何度も何度も自分にかけてきた言葉。
「だから、その瞬間が来るまで。一緒にがんばろ?」
それを誰かが言ってくれるだけで、こんなに嬉しくなるなんて……。
「……ありがとう、ございます……。」
また泣き出してしまった私を、信志さんが手を握ったまま、静かに見守ってくれました……。
「!アイリス!」
「きゃ!」
姉様や他の勇者様がいる部屋まで戻ってくると、途端にテト姉様に抱きつかれます。
「心配したにゃあ。元気になってくれてよかったのにゃあ。」
「大丈夫?アイリス。
でも、ふふ。なんだか少しすっきりした顔してるわね。」
そのままいつも通りエスカレートしていくテト姉様。
ナルメア姉様もやってきます。
「椿様も、ありがとうございます。」
「いや、ボクは何も。」
「ふふ、そうですか。」
暴走し始めたテト姉様を落ち着かせて、今日は解散になりました。
明日からは復興です。
廊下で姉様たちと別れた後、部屋に入り、ベッドに潜り込んで、早々に目を閉じることにします。
「一緒にがんばろ?」
そう言ってくれた信志さんを思い出して少し、恥ずかしくなったことは内緒です。
皆さんのいる部屋まで帰る途中の廊下。
「……そういえば、さ。魔族ってなんだろね。」
「え?」
信志さんがふと、思いついたように聞いてきます。
唐突な質問思だったのでわず聞き返してしまいました。
「あ、いや。
僕らが召喚された時にアイリスたちが、魔王を倒してほしいって、確か言ったよね?」
「はい。」
私たちが勇者様の召喚を行ったのは、魔王を倒してこの世界を平和にしてもらうため。
「……でも。」
「でも、ボクが断った、と。」
「はい……。」
返事と一緒にうなだれてしまいます。
そもそもどうして信志さんは断るのでしょうか。
自信がないのとも違うみたいですし……。
「ねえ、アイリス。
魔族と和解とかってできないかな?」
「わ、和解ですか!?」
少しぼんやりとしてしまっていると、驚くようなことを言われました。
「そ、和解。
そもそも、何かを滅ぼして、平和なんてできるわけないと思うんだよね。」
「それは……。」
確かに、そうかもしれません。
でも、和解なんて考えたこともありません。
私たちの中で、魔族は倒すべき「敵」。
「……難しい、と思います。
私たちはもう、何年も戦争を続けていますし。」
それも、魔族から攻め入られることも少なくありません。
「そっか。でも言葉は通じるんだよね?」
「はい、確かにそうですね。」
「ボクらのいた世界では言葉の通じない人同士が、今では手を取り合うようになった。
なら、この世界でも言葉の通じる相手に、できないなんて事はないと思うんだ。」
「そんな!どうやって!?」
できるはずがないとは思いつつも、驚いて聞いてしまいます。
「うーん、やっぱり美味しい食べ物、かな。」
「はぁ……。」
食べ物……。どういうことでしょうか。
「ともかく、ボクは魔族とはできれば戦いたくない。」
だから、と一呼吸おいて。
「もっともっとこの世界のことが知りたい。人の事も魔族の事も。」
信志さんがそう宣言します。
意志のこもった強い目で。
だからでしょうか。
彼のその言葉につられるように、
「……わかりました。私にもお手伝い、させてください。」
私の口から、自然にその言葉がこぼれ落ちました。
こんばんは、Whoです。
暑くなってきましたね。Whoさんも今週は倒れたりと大変でした。
読者さん(いますかね?いますよね。いてください)も熱射病にはお気を付けください。
今回は信志の心の内というか、ぶっちゃけ最初に断った理由明かしみたいな感じです。
これから続いてく話で、常にこういう考えが彼の根元にあるのだとお考えいただければ幸いです。
ではまた来週にこの時間でお会いしましょう。
追記
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(「なろう」に関係のないことばかり呟いてますが……)