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剣さえあれば魔法なんていらない!  作者: 神桜
序章 すべての始まり
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第6話 「灼熱のガーゴイル戦 前」 エリア:石切り場(大広間)

 

「ルーシーさんヘルプ!!」


 俺は石切り場の大広間を全速力で駆け回っていた。

 理由は簡単だ。


 グウァァァッ!


「こ、こっちに来るなぁっ!!」


 焼け焦げたガーゴイルに全速力で追いかけられているからだ。


「ユウさん! もう少しで魔法が完成するので頑張って逃げていてください!」


 ルーシーはガーゴイルから逃げる俺から離れた場所で呪文を唱えている。

 つまり、俺に追いかけられているのはルーシーが呪文を唱えるための時間稼ぎということだ。

 だが––


「も、もう限界なんだけど!」


 自慢ではないが、俺は持久力(スタミナ)がない。

 昔は剣道で鍛えてたからか持久力は多少あったが、何年もの引きこもり生活をしていた躰にはそんなもの微塵も残ってはいなかった。

 これ以上走ったら胃の中から酸っぱいジュースが滝のように流れてしまう。

 もう俺は頑張った……歩こ……


「ふぁいとです!」


「ウォオオオッ!」


 なんだろう、不思議と力が湧いてきた。

 これならもう少し走れそうだ。


「やってやるぜえぇぇぇっ!!」


 某予備校のCMに出てきた少年と同じような奇声をあげ、俺は走り続ける。


 1


 今からおよそ数分前ーー


「くらいやがれ!! 小手、面、胴ぅ!!」


 戦闘が始まってすぐ、俺はガーゴイルに小手、面、胴を決めた。

 この攻撃でガーゴイルをひるますことに成功したた。

 切れ味のない錆びた剣が鈍器として機能したからだろうか?

 そして、俺の攻撃を受けガーゴイルひるんでいる間にルーシーが火炎系魔法を唱える。


「インフェルノッ!」


 火山の噴火のように地面より噴出した複数の炎柱が、大広間を地獄へと変えた。


 グギイィィィ!


「ギャアアアアッ! 熱い、熱い、熱い!!」


 ガーゴイルと俺の悲鳴が辺りに響く。

 炎柱はガーゴイルを灼熱の炎で焼き焦がし、飛び散る火の粉が俺の背中を焼き焦がす。

 敵味方関係なくどちらも焼き尽くすルーシーは落ち着いた顔でこう言ってきた。


「ユウさん、インフェルノは最上級火炎魔法の一つで地面より炎柱を噴出させ敵を焼失させるという恐ろしい魔法です。ただ、敵が焼失するまで炎は消えないので我慢してください」


「ガーゴイルが焼失する前に俺が焼失しちゃう!」


 俺は背中で燃え上がる炎を消すために地面でのたうちまわる。

 近くで全身を焼かれているガーゴイルものたうちまわっている。


 なんだろう……今ならガーゴイルと仲良くなれそうな気がする。


 そんなことを考えている間にも炎は勢いを増していく。

 やがて俺の躰全身が炎に覆われ始め、火だるまの一歩手前の状態になった。


「もう無理! ルーシーさん、ガーゴイルなんてどうでもいいから炎止めて! マジで、マジで火だるまになる!」


「大丈夫ですユウさん。燃え尽きて灰になっても蘇生魔法で蘇らせてあげますから」


 ルーシーは笑顔でそう言ってきた。


 こいつは悪魔なのか?


「灰になるまで燃やされるなんて、そんなの生き地獄じゃん! そもそも、俺には絶対魔法耐性があって蘇生魔法が効かないことくらい知ってるだろ!」


「私を信じてください!」


「ごめん、さすがに無理!!」


 こんなところで、しかも火だるまになって死ぬなんて嫌だ!


「お願いします、炎を消してください! なんでもしますから!」


「本当に蘇生させるので大丈夫です。ユウさん考えてみてください、貴方は絶対魔法耐性があるのに私が放ったインフェルノの炎で燃えてるじゃないですか」


 そういえば確かに……


「って、そんなんで納得できんわ!」


 もしかしたら偶然かもしれないし。

 偶然じゃないにしてもこのまま焼け死ぬのは辛すぎる。


「ヤバイ火が首元に……! ルーシー、ガーゴイルは他の魔法で倒そう!」


  「でもですね……」


 クッ、(らち)があかない!


 このままだと本当に焼死してしまう

 俺に選択の余地はなかった。


 こうなったらアレをやるしかない……!


 俺は火だるまになりかけた状態で渾身のDOGEZAをルーシーに向かって行った。


「助けてください!」


「わ、わかりましたユウさん! 今魔法を止めて傷の治療をします!」


「髪の毛が燃え始めた! ぎゃあぁぁぁっ!」


 この後、俺はインフェルノを止めたルーシーから治療魔法を受け、なんとか一命を取り留めることができた。

 ちなみに……ガーゴイルは全身が真っ黒に焦げ、地面に突っ伏していました。

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