ランクライド王国首都レンダイ〜港町イーライまで
生まれ育った町から初めての旅立ち、
首都レンダイから東にある港町イーライまで徒歩で約2日半、
俺が本気で走れば1日もかからない距離だがそんな事をすれば流石に怪しまれるので普通に歩く。
街道に使われているモンスター除けの石がシルフは苦手なので、
道からある程度離れて舗装されてない道を歩くのだが別段苦にはならない、
街道は大きな馬車が2台余裕を持ってすれ違がえるほど大きい、
俺の他にも街道を警備する騎士様や馬車に乗った商人、
俺と一緒でイーライに向かう冒険者などが街道を利用している。
夜になり野営の準備をする、
アイテムボックスから必要な物を取り出す、
シートを地面にしき四隅に重そうな石を置く、
辺りを照らす魔道具をシートの中央に置く、
夜食として干し肉をシルフと一緒に食べてシートの上に腰を落ち着けてマントで風を除けつつシルフをモフりながら寝る、
異常があればスキル・危険予知が反応して目が覚めるので問題ない、
こうして初日の夜は更けていった。
2日目の朝 、
「今日の朝食は魚の干物です」
「ワン」
アイテムボックスは中で時間が停止したりしないのでどうしても携帯食になってしまう、
朝食をシルフとすませてシートと魔道具をアイテムボックスに片付ける、
今日も元気に出発するか。
歩き始めてしばらくすると前方で商人の馬車が止まり、
5人の冒険者が盗賊らしき奴らと戦闘中だった、
俺は巻き込まれないように離れた位置から観察している、
盗賊は全部で12人だな、
「お、逃げるっぽいぞ」
まあ、あの5人はかなり強そうだったからな、
盗賊もいい判断だろう、
商人は冒険者たちに礼をして、
みな馬車に乗り出発していった。
ここら辺が町と町の丁度真ん中で人気が少ないのだろう、
街の外には盗賊もいるとギルドで聞いてたが一番最初の旅路で見るとはね、
さあ俺も先を急ごう。
夜になり昨日と同じように食事をとる、
「あれ、シルフさんなにその猪」
「ワン、ワン、ワウン、ワウー」
え、干し肉はあまり旨くないから狩ってきたって、
なんか美味しそうだな
「ワアウ?」
食べてみる?
「じゃあ少しもらおうかな」
猪の肉をナイフで少し切り取り火魔術で焼く、
いい匂いがしてきたのでそのまま食べてみた、
「すごく血生臭いです」
すごくいい匂いなのになんでこんなに血生臭いのでしょう、
シルフさんは美味しそうに食べているが、
「俺は干し肉の方がいいや、シルフ後で魔石だけちょうだいね」
なんかシルフが意外そうな顔してるこれが人と獣の差か、
その後シルフが食べ終わった猪の魔石を取り出して就寝した、
因みに見た目まんま猪だがこのモンスターの名前はイノキバという似てるのか似てないのか微妙な名前である。
翌朝、軽く朝食をすませ出発、
順調に行けば今日の夕方にはイーライに到着する、
しばらく歩くと昨日の商人と冒険者の5人組がまた盗賊らしき奴らに襲われている、
今度は30人位に囲まれてる、
昨日のは偵察だったのかな、
あっ巡回中の騎士様がやってきた、
これで30対20である、
ふむ、このタイミングなら目立たずに俺も助太刀出来るぞ、
「冒険者のアルト、助太刀します」
「ワン、ワン」
シルフさんもやる気満々だね、
俺は目立たないように商人の馬車から一番離れた盗賊に奇襲をかけた、
それが切欠になったらしく、
盗賊達は半数が討ち取られるか捕縛され、
残りは混乱に乗じて逃げ出した。
初めて人を殺したけどなんか全然大丈夫だな、
むしろちょっと楽しかったぞ、
「助太刀感謝します」
「冒険者として当然の事をしたまでです、不意をついて奇襲をかけただけですしね」
騎士団のリーダーっぽい人が礼を言いにきた、
なかなかいいひとだな、
商人と冒険者のリーダーっぽい人も礼を言いにきてくれた、
騎士団が来なければ芝生の影に隠れてやり過ごそうとしたとは言えない、
商人の人が馬車に乗ってかないかと誘われたが、
「従魔がいるので」
と断った、
リーダー騎士様が
「騎士団の詰め所に行ってこれを提出すれば金一封がでるぞ」
とカードをくれた、
ありがたく受け取り俺はイーライへ向けて出発した、
騎士様達は事後処理があるらしい。
夕方になりそろそろイーライが見えてきた、
シルフは町に入れないのでここら辺りで待機をお願いした、
まあ待機といってもイーライから離れ過ぎないところで適当にやっててね、
後呼んだら来てねって感じで、
「ワン、バウ、ワン」
ご飯はいらないらしい、
ここら辺は沢山獲物がいるんだって、
ええ子や
「また明日なー」
イーライの西門から門番の騎士様に冒険者カードを提示して港町イーライへ入った、
「ようこそ港町イーライへ」
門番の騎士様の言葉を聞きながら門をくぐる、
まずは宿屋かな。
リーダー騎士side
「あの若者なかなかの腕前だな」
あの冒険者が倒した盗賊はこの盗賊団のナンバー2と目されていた男である、
奇襲攻撃だったとはいえグレーウルフとのコンビネーションもかなり良かった、
本人は謙遜していたがどうしても腕の良い人間は目立つ物である、
いつか有名な冒険者になるだろう。