グレーウルフのシルフ
初めて『ビギナーダンジョン』に潜ってから1ヶ月、
俺は毎日初日と同じように行動してしまった。
「モフモフやべぇ」
「ワン」
だって子供のグレーウルフが懐いてしまったのだ、
毎日昼飯時にダンジョンの出入り口からちょっと離れた所にくるのである、
昼飯を与えてモフモフする、
を1ヶ月繰り返しビーストマスターのクラスを取得してしまった、
モフモフには勝てなかったよ。
グレーウルフを本格的にテイムしたのでテイムしたモンスターの証拠である従魔の首輪を買い、
グレーウルフに付ける、
テイムされててもモンスターは町には入れないので、
この森で飼うのだ、
ビーストマスターのクラススキル従魔のおかげでなんとなく意志の疎通ができる、
「今日から君の名前はシルフです」
「ワン、ワン」
気にいってくれたらしい、
人を襲ってはいけないとか、
俺以外の人には近寄ってはいけないとかを言い聞かせる、
しかし俺の取得クラスも遂に30個か……、
レベルアップがまた遠のいた、
全てモフモフが悪いのだ。
「シルフ、明日の朝は一緒にダンジョンに潜るので朝ここに来て下さい」
「ワウン」
OKらしい、
今日は町に帰り明日の準備をしよう。
翌朝母親の作った弁当とシルフ用の餌を入れた袋を背負い、
いつもシルフと昼食を食べる場所に今日は朝から向かう、
シルフはちゃんと待ってくれていた。
「おはよう、シルフ今日は朝ご飯持ってきましたよ、」
「ワン、ワン、ワン」
かなり嬉しそうである、
シルフの為に持ってきた朝ご飯は魚で、
朝買ってきた新鮮な物を、
昨日新しい弁当箱を2つ買いそれに詰めてきたのだ。
「それ食べ終わったら、ダンジョンに行くからねー」
「ワウー」
俺はシルフが食べるのを見ながら、
コイツはなんて素直で良い子なんだと感動している。
いつも通りに水晶に触れて、
ダンジョンのギルド職員さんにテイムしたシルフを見せて、
一緒に潜る事告げる、
別に問題無いようだ。
シルフと一緒にダンジョンを探索する、
シルフの鼻でモンスターの居場所と種類を把握、
「バウ、ワン」
「右の道、スライム3体ね」
シルフのおかげでモンスターに先制できる、
俺はその場に背中におぶってた袋を置き、
ショートソードを鞘から抜き大盾を構えてスライムに向かって突撃、
スライムは道を塞ぐように三体平行に並んでいる、
向かって左側のスライムをかわすと同時にすれ違いざまに一閃、
反転して真ん中のスライムに袈裟斬りをくらわせて、
返す刀で最後のスライムを倒す……もはや作業である、
伊達にスライムばかり狩って無いのだ。
スライムの体は光とともに消え其処には青い魔石が3個落ちているので、
それを拾い上げて袋を置いた場所に戻り、
袋に魔石を詰めまた次のモンスターを求め探索を進める、
ホワイトラビットは2匹、
ゴブリンは1匹でしか出現しないので、
シルフのおかげでかなり安全に倒せるようになった。
ソロの時はばったりモンスターに遭遇する事も多かったので、
少しだけダメージを貰ったりしていた。
昼食を食べる為に一旦赤の魔法陣で地上に戻る、
シルフと一緒に昼食をとり、
シルフを存分にモフモフする、
午後も午前と変わらずシルフと一緒にダンジョン探索を終える、
シルフと明日の朝またダンジョン探索の約束をして町に帰った。
今日はかなり効率的にモンスターを狩ったので銅貨5枚も稼げた、
シルフの餌代を引いても4枚のプラスである。
初めてシルフと一緒にダンジョン探索してから3年がたった頃、
シルフも成長して大人のグレーウルフと同じ位大きくなり『ビギナーダンジョン』も三階層で狩りをするようになった。
経験値はテイムしたモンスターはマスターと同じ数値の経験値が入るのでシルフは俺よりもレベルが高くなっていた、
テイムモンスターもクラスが所得できるので、
俺はシルフに風術師と剣兵を所得させてショートソードを口にくわえて風魔術を操れるようにした。
俺も身長が伸びて武器や防具を新調し、
ロングソードを持つようになり、
いつものように『ビギナーダンジョンの』3階層で狩りをしている時、
久しぶりにレベルアップしたのでステータスを確認したのだが、
このレベルアップにより驚愕のスキルを手に入れていた。