リボーン
眩い光が収まった時、
王様の体が倒れてその体から黒い魔力の塊がでてきた、
黒い魔力の塊はやがて形を作り現れた、
巨大な体躯に発達しすぎたアンバランスな腕、
全身が漆黒の体毛で覆われており、
右手には巨大な杖のような物が握られている、
赤の瞳が顔に3つと両腕に一個づつ存在する、
「くっくっくっくっ、良くやった勇者よ」
「お前はなんだ」
「私か、私は魔王だよ」
「魔王は2000年前の勇者が倒した筈だ」
何やら勇者様と魔王らしい者が会話している、
勇者は今かなり疲弊している筈だ、
俺はスキル・気配遮断で魔王の死角にシルフと周り込みながらチャンスを待つ、
「ああ、その通りだよ、だがね、ほんの少しだけ残ったのさ魂がな、あの忌々しい勇者共は滅ぼせなかった私の魂を属性竜を使って封印したんだよ」
「まさか……俺達がしたことは、貴様の封印を解く手伝いだったのか!」
「その通りだ!私は2000年かけて魂を修復、今代の王を操り、完全な復活の為に勇者!貴様を利用したのさ!」
「なら、今度は俺達がお前を倒してやる!」
勇者パーティーと魔王の戦いが始まった、
魔王は漆黒の魔力を両腕に纏って勇者達を攻撃、
勇者様と聖騎士様が防ぐが弾き飛ばされた、
更に相手の視界を全て埋め尽くす程の魔力弾を勇者パーティーに放つ、
精霊王様と聖女様が結界魔術で防ぐが、
かろうじて防いでいるレベルで、
何時壊れてもおかしくない。
俺は王様の体を巻き込まれないようにシルフに避難させてから魔王の背後に回る、
さてと、
これはバレる何て言ってる場合じゃ無いようだ、
素の状態ではあの戦闘に参加しても足手まといになるだけだしね、
俺は全てのスキルを発動させて、
全身が赤く発光、
漆黒の鎧に大盾と愛剣を構えて魔王に奇襲をかけた。
「見事な奇襲だが、効かんよ」
「マジかよ!」
完璧な奇襲を魔王の背後から切りつけた筈が、
まるで最初から分かっていたように片腕で防がれた、
勇者様達と戦いながら俺の奇襲も防ぐのかよ、
「黒騎士よ貴様は強いが、ダンジョン内で手の内を見せたのが間違えだったな、貴様の使っているスキルは既に解析済みだ」
そう言うと魔王自身の体が漆黒から赤く発光し始めた、
「黒騎士、あれは一体なんだ!」
勇者様から声をかけられた、
奇襲に失敗した俺は勇者パーティーに近づき説明をする、
「あれは、数十の身体強化とエンチャントを自身にかける事で発生する、戦闘力を20倍程まで引き上げる」
「はっマジかよ」
説明する間も魔王からの攻撃は更に苛烈を極める、
「勇者よ、何か手は無いか?」
「手持ちのアイテムも切らしてる、だが……数十の身体強化とエンチャントか、回復さえ出来ればな」
「ワォォォォォォン」
シルフが帰ってきた、
王様を運んだ帰りにアイテムを積んで来たようだ、
誰が積み込んだか知らないがナイスだ!
「俺が時間を稼ぐ、勇者達はあのアイテムで回復するんだ!」
「黒騎士!死ぬなよ!」
勇者パーティーは一時的に戦線を離脱、
シルフに駆け寄ってアイテムで回復している。
たった数十秒、
だが一人で魔王を引きつけるのはまさに命掛けだった、
魔王の振るう両腕を大盾を打ちつけるように防ぐ、
とてもじゃ無いが受け流す事は出来ない、
グレートソードによる空斬波を大量に発生させて、
魔力弾を切り裂く、
勇者パーティーに攻撃が行かないように防げなかった魔力弾を鎧で受け止める、
たった二十秒で全身がボロボロになり、
鎧や武器が罅だらけになった、
だがその甲斐はあったようだ、
全身を赤く発光させた勇者様が俺に迫る魔王の腕を防いだ、
「待たせたな!」
「いや、聞いて即再現出来るとは、流石勇者だ」
俺がその状態に成れるようになるのに三年はかかったのに、
「いや、家のパーティーは優秀だからな」
なる程、
一人のスキルで身体強化するのでは無く、
勇者パーティー全員の力で勇者様を強化したのか、
「後は頼んだぞ勇者」
「ああ、任せろ」
赤く発光した勇者と、
それを支えるパーティーは魔王と互角に戦っている、
先ほどまで勇者が押されていたのにだ、
だがそれでも後一手足りない、
シルフの持ってきたアイテムで勇者達はステータスを回復したが、
流石に全開とはいかなかったようだ、
どうする……武器も防具も罅だらけでとてもじゃ無いが援護攻撃すら出来ない、
並みの攻撃魔術では魔王には意味をなさない、
変に勇者パーティーのコンビネーションを壊す訳にはいかないので介入もなかなか出来ないのだ、
何かないか、
パーティーを邪魔しないで援護する方法は、
待てよ、
俺はスキルで常にHPとMPを回復し続ける事ができる、
ならば行けるか、
勇者パーティーのコンビネーションを壊さずに俺は勇者の援護を開始した。
そうだ、ルナールの時は俺は全力で強化してない、
だが勇者パーティーなら俺の全力強化でも体は大丈夫の筈だ、
俺は勇者パーティー全員に自分ができうる限りの魔力と生命力による強化をかけた。
変化は一瞬だった、
赤く輝く勇者が金色の魔力とも生命力とも思われる光に包まれて発光、
爆発的に戦闘力を跳ね上げて魔王を追い詰める、
勇者だけではない、
勇者パーティーは俺の強化を受けてその体を赤く発光させ、
瞬く間に魔王を葬り去った。
「馬鹿な、2000年も復活を待ったのだぞ!魔王たるこの私がぁ!」
「魔王だから負けたんだよ!お前は2000年前も勇者とその仲間達に負けたんだ!」
勇者との会話を最後に、
魔王は今度こそ完全に滅ぼされた、
俺達は勝ったのだ。




