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『ゴーストダンジョン』

翌日、ダンジョンに向かう、

メーティスで冒険者が入れるダンジョンは『ゴーストダンジョン』、

出入り口はなんと!

古くてボロボロの日本家屋である、

なぜだ異世界の筈なのに……まあいい、

玄関が出入り口となっており何時も通りにシルフと入って行った。


「おじゃましまーす」


「ワウー」


おもわず挨拶して入ったがダンジョン内はかなり暗い、

光魔術がつかえない冒険者はランプの魔道具が必要である、

中は板張りの廊下で長く複雑な迷宮になっている、

しばらく歩いているとモンスターゴーストが現れた、

物理的攻撃が一切効かないらしく、

魔術的攻撃等で攻撃しなければならないのだが、

俺のグレートソードなら魔力を通して光属性の攻撃が出来るので問題はない、

シルフも風魔術で攻撃できる、

だがゴーストは匂いが無く足音も無い、

さらに見た目も半透明で、

しかもダンジョン内はまさに暗闇なので遠くまで見渡すことが出来ないので索敵が難しく、

どうしても遭遇戦になってしまっていた。


「戦闘自体は大丈夫だが、何時敵が襲ってくるかわからないのはストレスがたまるな」


「ワン、ワウー」


「シルフも疲れたか、次の階層が35階層で休憩部屋が有るしそこで一休みするか、35階層なら他に人も居ないだろ」


「ワン」


俺達は足早に休憩部屋に向かった。


「初めて利用するが、なるほど休憩部屋だ」


「ワン」


次元の歪みのような物を越えると草原に大きなログハウス、

泉に女神像が立っており、

女神像が肩に持つ水瓶から水がこんこんと湧いている。


ログハウスの中に入るとキッチンとシャワーが2部屋あり、

2段ベッドが2つ有る部屋が4つある、

トイレも2つある所を見るに明らかに男女別に使えよという感じだ、

水はあるが食料は無いのでそれは持ち込みしなければならないようだ。


シルフは家の外でリラックスさせてまだアイテムボックスに余ってた干し肉をあげた、

俺も余りの干し肉を食べて睡眠をとる。


スキル・気配察知が発動したかなり近い、

危険予知が発動しない所を見るに、

敵対的な存在では無いようだが………スキル・体内時計で時間を確認…3時間程寝ていたようだな、

充分休めたしダンジョンに戻るか、

此処を出ればまた入って来た冒険者とは違う次元に出るし、

すれ違うだけで済む筈だ、

そう思いベッドから立ち上がりリビングにでたら、

血だらけの少女が倒れていた、

近くにシルフも居る、

どうやらシルフが運んだようだ、


「偉いぞシルフ、少し離れてくれ」


「ワン」


シルフに離れて貰いまず光魔術の大回復をかける、

続いて鑑定で状態を確認、

HPは3桁まで回復したがMPがまだかなり少ない、

こちらも光魔術の精神力譲渡である程度回復させる、

これで体の状態は大丈夫な筈だ、

後は血だらけの装備と服を外して体を拭き、

俺の服を着せてベッドに寝かせる、

非常事態だから仕方無いとは言え女性の裸を見てしまって少し罪悪感がある、

しかし綺麗な人だな、

同い年位で長く蒼銀の髪に、

胸は控えめだがスレンダーで傷一つ無い体はまるで芸術品を思わせる美しさだった。


しかし彼女は一人のようだ、

もしかしたらパーティーメンバーが彼女を残して全滅したのかな、

とすれば果たして此処から彼女一人で次の魔法陣までたどり着けるのか?

流石に助けた人がすぐ死なれるのは嫌すぎる、

目覚めるまで待つか、

俺はシルフに着いた血を拭き汚れ物を外の泉で洗濯しながら少女が目覚めるのを待った。


4時間程リビングでソファーにもたれながら寝ていたらベッドルームから先の少女が出てきた、


「……貴方が助けてくれたのね……ありがとう」


「ああ気にするな、それより聞きたいことがある」


「……何でも聞いてください」


「君は、一人で此処まできたのかい?」


「……いえ……私を含めて5人のパーティーだったのだけど……恐らく他の4人は……死んでしまったわ」


「そうか」


「では次に君は独りで次の魔法陣までたどり着けるのか?」


これが重要だ、

もしたどり着けるなら問題無いのだが、


「……多分……無理ね」


「そうか」


冒険者どうしがダンジョン内で出会えるのは休憩部屋のみである、

此処から出ればまた自分が入ったダンジョンの次元に戻る事になる、

鑑定で彼女のステータスを確認したがレベル45のクラスは槍兵・火術師・光術師だった、

この『ゴーストダンジョン』ではソロならその3倍位はレベルが欲しい、

さてどうするかな……、


「君は助かりたいかい?」


「……えぇ……私はまだやるべき事があるの……」


「なら、此処で起きる事は絶対に口外しないと誓えるかい?」


「……なんとか出来るの?」


「なら、此処で起きる事は絶対に口外しないと誓えるかい?」


「……なんとか出来るの?」


「君が絶対に口外しないならね」


「……約束するわ」


確かな決意とともに答えてくれた、


「よし、ならまず君の服だけど外に干してあるから」


「……ありがとう」


そう言うと彼女は少し顔を赤くしながら服を取りに行った、

どうやら自分の服が着替えさせられた事に今気づいたようだ。


彼女がベッドルームで着替え終わり装備も装着してから部屋をでて、

一緒に外の草原の部分で準備する、


「まずは君の装備に僕のエンチャントをかける」


「……わかったわ」


彼女の槍とハーフプレートと額当てにエンチャントをかける、


「……凄い」


「次に君自身に強化魔術をかける」


「……自分の体じゃないみたい」


「その状態は10分程続くから、でも体に負担がかかるからこの休憩部屋で少し体を動かして慣れてね」


「……えぇ」


彼女は強化された自分の体を確かめる為槍の型を10分間繰り返して強化が終わった、


「じゃあ今から30分休憩してから作戦を決行する」


「……作戦?」


「今の強化を君にかけて10分では魔法陣まではたどり着けない」


「……可能性ならあるわ」


「その可能性を上げるために今から魔道具を渡す」


「……まさか」


どうやら彼女も気付いたようだ、


「そう、さっき作った俺のエンチャントと身体強化の魔術が込められた魔石だ」


魔除けの結界も作りたかったが、

ダンジョン内は結界が効きにくく、

しかもゴーストタイプのモンスターにも結界は効きづらいので無しにした、


「……貴方は何者なの……魔石に複数しかも直接魔術を込めるなんてそんな」


「ただの冒険者だよ」


「……ごめんなさい……当然詮索も無しよね」


「ああ、流石に魔石は使い捨てだから」


「……わかったわ……貴方のかけた魔術が切れたら……魔石を使うのね」


「全部で3個ある、最初に直接かける分と合わせて40分だ、それでどうにかしてくれ、君の体も俺の魔術に耐えられるのはそこら辺が限界だ」


彼女の体に耐えられ、

尚且つこの階層の敵を楽に倒せて、

なるべく効果時間を伸ばした特殊なエンチャントだ、


「……ありがとう……今はお礼出来る物が無いけど……外に出れたら必ず礼をするわ」


「別に礼なんていらないよ、さっきも言ったけど詮索無用、他言無用でお願いするよ」


「……でもそれでは……貴方は何の為にこんなに親切にしてくれるの?」


「自分の為だよ、君みたいな綺麗な人を助けられる状況で助けなかったら、きっと後悔するからね」


じゃなければきっと前世であんな死に方しない、

ヒーローに憧れた俺は子供を助けて人生に意味があったと思えた、

きっと彼女が俺の事を言いふらしても俺は後悔しないだろう、

草原でしばらく休みそれから彼女の体が回復したのを見計らい彼女に声をかける、


「じゃあそろそろいくよ」


「……まって」


「なに?」


「……ルナール・ランク・メーティス……私の名前……貴方達に感謝を」


やはりかランクライド王国では名字持ちは貴族様だけだ、


「そうか、その装備で、もしかしたら貴族様かなと思ったけど、やっぱりか、俺はアルトあっちはグレイウルフのシルフだ、じゃあ頑張ってくれ」


そう言って彼女に魔術強化をかける、

彼女は全速力で次元を越えていった、

蒼銀の鎧と真紅の槍を携えて。


「シルフ、俺達も彼女より先に戻ろうか」



「ワン」


俺とシルフは全力で次の魔法陣までたどり着いた約10分である、

赤の魔法陣に触れてダンジョンの外にでる、

玄関からでてギルド職員に挨拶してから、

ダンジョンを離れる、


「お疲れ様、シルフ、今日は此処で別れようか」


「ワン、ワン」


シルフと挨拶して別れてから、

こっそりと鷹の目でダンジョンの出入り口を確認出来る場所に移動する、


「シルフさんなぜ此処に居るのかな?」


「ワン、ワン、ワウー」


「いやあ、気になってね?しばらく見てようかなと」


「ワン、ワウー」


どうやらシルフもルナールの事が気になるらしい、

俺達はルナールの心配をしながら待ったいた。


丁度40分たち、

ルナールがダンジョンからでて来たのを確認してから、

俺は見つからないように町に帰った。


sideルナール


アルトに魔法をかけられてから、

『ゴーストダンジョン』内を全力で駆け抜ける。


強化された体は前方に現れたオーガゴーストを槍の三連突きで倒せた、

アルトの説明通りにこのエンチャント中なら光魔法属性の攻撃判定になるから私が使用するのは光魔術のライトだけで済む、

アルトは何者なのか、

こんなに凄いエンチャントは勇者パーティーの賢者様でも出来るかどうか判らない、

しかも思考速度まで加速している、

さらに魔石の加工まで……そんな事を考えながらも全速力で敵を倒しながら探索する、……私と組んだパーティーメンバーを死体で見つけた、

今回ダンジョンに入る事になったのは家の命令であった、

家に縛られたく無いから冒険者になったのに、

長男より優秀な私が邪魔になったのか、

政略結婚に応じない私を殺したかったのか、

ダンジョンに潜って35階層まで潜ってキメラゴーストの魔石を持って来いと命令された、

その魔石を持って来たら縁を切ってもいいと父と母は約束したのだ、

それがまさか罠だとは。


当初護衛だと思ったパーティーメンバー達は34階層で私に襲いかかってきた、

私は反撃してからとっさに35階層に行く魔法陣に触れてメンバー達と離れたのだが、

後から私を追ってきた、

私は光魔術で相手の目を潰してからダンジョン内部をがむしゃらに逃げ回り、

途中キメラゴーストに攻撃されて、

必死に逃げ回り命からがら休憩部屋に入ったのだ、

アルトが手当てしてくれなければ死んでいただろう、

彼らの死体があちこちにぶちまけられている、

恐らくキメラゴーストに殺られたのだろう、

私は二個目の魔石を使う、

残り後20分だ、

目の前に現れたキメラゴーストを倒す、

ギャァァンという甲高い叫び声で威嚇しながら口で雷撃を放ってくる、

強化された思考速度は瞬時に判断して、

体を横に転がせながら避ける、

敵の体に近づき、

ライオンの顔と体に鳥の翼と蛇の尻尾の内、

まずは尻尾を切り飛ばす!

キメラゴーストは私と距離を取りながら飛翔、

空中から雷撃を連続で放ってくる、

私は雷撃を壁を利用しながら跳んで避けて、

空中のキメラゴーストの翼に槍をスキル・飛翔槍で投擲する、

アルトにより強化された槍は容易くキメラゴーストの翼を貫き通し、

更に私の魔力を感知して再び槍は手元に戻ってくる、

キメラゴーストは激高しながらその巨体で突進して来た、

私は避ける事自体はできたものの、

衝撃波により吹き飛ばされ壁に叩きつけられた、

だがダメージは殆ど無い、

油断しているのか倒れた私に正面からゆっくりと近づいてくる、

だが私の間合いに入った瞬間に立ち上がり、

槍兵のスキル・三連突きで両目ともう片翼を奪う、

キメラゴーストは口から雷撃をデタラメに乱射するが、

私は加速した槍の切り払いでキメラゴーストの首回りを切り裂いた……キメラゴーストは断末魔の叫び声を上げながら、

やっと体が光とともに消滅し黒く光る魔石を残した。


この魔石を家に届ければ……これで私は家との縁を切り自由に成れる、

今まで散々な目にあった貴族との関係もこれでおさらばだ、

私はキメラゴーストを倒した後またダンジョン内を探索、

最後の魔石を使用して5分の余裕を持ち赤魔法陣を見つけた、

アルトとの約束を守る為にはエンチャントの効果が切れるまで魔法陣には触れれない、

外にはギルド職員がいるからだ、

私は凄く待ち遠しく思いながら5分を待った。

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