ゴブリン・オーク・オーガ・もう一人の自分
ギルドマスターと対決した翌朝俺は悩んでいた、
昨日の対決でダンジョンに何時も道理のペースで潜っても大丈夫な様になったはずである、
だがしかし昨日冒険者ギルドにいた勇者パーティーが現在ダンジョンを攻略しているので、
それが終わってからダンジョンで路銀稼ぎをするのか、
あるいは当初の予定道理3ヶ月ほど掛けて稼ぐのか、
それとも貯金を崩して次の町に行くのか、
元日本人としては貯金を崩すのは遠慮したいのだが……、
取り敢えず今日はゴブリン退治と薬草採集をしに行く事にして、
勇者パーティーがダンジョン攻略に手間取っていそうなら、
とっとと次の町へ向かうかな。
さて冒険者ギルドでFランクの薬草採集とゴブリン退治の依頼を受けて町を出発、
シルフと共にカルテットの北の森に来たのだが、
「シルフ、なんか森の気配がおかしくないか?」
「ワウワウ」
シルフも違和感を感じているらしい、
さて取り敢えず先に進んでみるかな、
俺は何時も道理に森を探索しつつゴブリンと薬草を探す、
森を30分も探索すると見知った2人組を見つけた、
「アルにゃーん」
「アルト、おはよう」
「おはようございます」
「偶然にゃー」
偶然にもスイカさんとダルクさんに出会った、
2人は森の異変に気付いているのだろうか?
「実はシルフがさっきから森の様子がおかしいと言ってるのですが」
「ふむ、実は私達もその調査をしにきたのだ」
「カルテットの町は獣人とビーストマスターとエルフが多いにゃんから森にょ雰囲気に敏感にゃん」
「なるほど、ならば俺は早めに切り上げますね」
「その方がいいだろう」
そんな会話をしていた矢先だったゴブリンの大軍が現れたのは。
「おおーシルフあの数は凄いな」
「呑気に言ってる場合か!逃げるぞ!」
まだかなり距離があるがゴブリンとオークの群がこちらに向かって来ている、
「ギルドに急いで報告しにいくにゃん!」
「行ってらっしゃい」
「なに言ってるにゃんアルにゃんもいくにゃん!」
「ダルクさんは見えますよね?」
弓を背負ったダルクさんならスキル・鷹の目を所持していて見えるはずだ、
「ああ、女の子の冒険者だろう?」
「にゃんだって!」
「ええ、シルフは目がいいので」
「でも、無理にゃんいくらアルにゃんが何か隠してても、あの数のにゃか助け出すにょわ……」
「その通りだ、判ったらさっさと行くぞ!」
「何になりたいかじゃない……どうなりたいかです……僕はあの子を助けますよ」
俺は別に勇者だとか英雄だとかに成りたい訳じゃない、
でもTVで見てた、
小説で漫画で読んだ、
そんな俺が憧れたヒーロー達は決して人を見捨てたりしないはずだ、
「……判った、私達はギルドに戻って応援を呼んでくる、死ぬんじゃないぞ……行くぞスイカ!」
「アルにゃん、死にゃにゃいでにゃん!」
そう言うと2人は全速力で町に引き返した。
「さて、とっとと助け出すかなシルフ!」
「ワン、ワン」
俺とシルフは何時もの装備を装着してから全速力でゴブリンの群に飛び込んだ。
sideダルク
私達は全速力でギルドに戻っている、
だがしかし彼は残って捕らえられていた子を助け出すという、
私達の制止を聞かずにだ、
彼は何か隠している、
あるいは勝算が有るのかもしれない、
しかし捕らえられていた子も冒険者の筈だ、
命を賭ける覚悟は出来ている筈である、
それを助け出したい理由が、
どうなりたいか、
などと……私はどうなりたかった?
冒険者になり始めたころ伝説のティファニー様の用に成りたかったんじゃ無いのか?
決してSランクの冒険者に成りたかった訳じゃ無いはずだ……
「スイカ……ギルドへの連絡は一人で十分な筈だな」
「ダルにゃんまさか!ダメにゃんなら私がもどるにゃん!」
「何、私は遠距離が専門だ、時間稼ぎと援護射撃が得意で単独なら確実に逃げ切れる、しってるだろう?」
「でも、でも」
「接近戦が中心のスイカでは無理だ」
「……わかったにゃん」
「さあ急いでくれ、スイカが早く応援を呼べば私も楽になる」
「こんな時に昔のダルにゃんに戻らにゃくても……」
そう言うとスイカは全速力で町に走って行った、
私もアルトの援護をしよう、
この気持ちと決意が鈍る前に!
sideアルト
群の数が多い、
この森のゴブリン全部集まってんじゃないのか?
片っ端から切り捨てているが、
一向に数が減らない、
ダンジョンでは多くても10体を超える事はなかったんだが、
もう少しで女の子にたどり着ける、
俺は女の子の周りのゴブリン達をシルフと一緒に風魔術で切り刻む!
なんとか無事に助けれた用だ、
どうやら冒険者の女の子は気絶しているようだが、
命に別状は無いし乱暴された形跡も無い、
地魔術で人が入れるドームを作りその中にシルフと俺と女の子を囲う、
「シルフ、体にロープで女の子を縛り付けるから、合図をしたら落とさないように急いで町に連れて行ってくれ」
「ワン」
いい返事だ、
女の子を回復させて脱出の準備ができたので、
俺はドーム状の地魔術でできた岩を360度に向かって吹き飛ばす!
周囲のゴブリンを一掃して町の方向に向かって空斬波を叩き込んだ!
「シルフ、行け!」
「ワン!」
切り開いた道を女の子を背負ったシルフが全速力で駆けていった……さてこれで全力が出せる、
今まではシルフと女の子が近くに居たため、
全力が出せなかった、だがしかし今からは違う、
俺は全力で自身のスキルを発動させた。
俺の持つクラスは全部で80クラス、
そしてスキル数はゆうに400を超える!
違うスキルなら似たような効果のスキルでも重ねて掛ける事ができ、
身体強化、
魔力強化、
武器エンチャントの重ね掛け、
加速スキルの重ね掛け、
さらに光魔術のアクセルは重ね掛けできる、
初めて全部のスキルを駆使した俺の体は赤く輝いていた。
数秒でゴブリン共を蹴散らす、
その奥にオークの群がいたがゴブリンには数が劣るそちらも即殺、
これで全部かなと思ったら、
更にオーガの群が襲って来たが全て確殺、
終わったかと思ったのだが……一匹だけ肌の赤く輝くオーガが現れた、
「その体俺に似てないか?もしかしたらお前は俺、俺はお前……だったのかもな」
「ガァァァァ!」
「相当怒ってるみたいだな当然か……だけど俺達も黙って殺される訳には行かないんだ」
強い、今までの相手とは桁違いだ、
何処から攻撃を仕掛けても岩そのもののようなデカイ剣を自在に振り回して防御してくる、
かといって大技を仕掛ける隙も無い、
しかし相手にも余裕は無いらしくお互いの剣がお互いに取っての必殺となりえる状況で膠着状態になっている、
何かキッカケが有れば更にアクセルを重ね掛け出来るのだが……と考えながらも攻撃の手は緩めない、
お互いに緊張感が更に高まった所で………反撃の矢が相手のオーガの目に向かい同時に三本当たった、
当然の様に矢はオーガの前で砕け散る、
ダメージ等無いのだ、
だが相手の視界を塞ぎ、気を逸らさせ、
一瞬の隙は決定的な瞬間となり、
俺はアクセルの重ね掛けに成功した!
後は一瞬だった、
あれだけ手強く手こずった赤色のオーガは呆気なく崩れ去った。
辛い……体が爆発しそうだ、
アチコチが痛い、
スキルの重ね掛けだけでも体に負担が掛かっていたのだが、
最後の更なるアクセルの重ね掛けに一瞬でボロボロになった、
明鏡止水が効いてないのか?
心を落ち着けないといけない……目が……霞んで……来た。
sideダルク
森に戻ってきた私が見たのは信じられない光景だった、
ゴブリンの群の中から女の子を背に乗せてシルフが町へ脱出したのはいい、
恐らくCランクの上級かBランクの冒険者が2人ならギリギリ同じ事ができるだろう……しかしその後だ、
アルトの体が赤く発光したのと同時に、
ゴブリンの、
オークの、
オーガの群が3分もたたずに全滅した。
だがその後アルトと同じように赤く発光したオーガが現れ、
戦いだした。
それは凄まじい戦いで自分がまるで伝説の中の戦いを目の当たりにしている気分だった、
だが端から見れば判る、
アルトは押されている、
今は拮抗してるのだろう、
だがこのままでは相手のオーガの方が体力的に有利なはずだ、
私はなにをしにきた?
見てるだけか?
助けるんじゃなかったのか?
もしアルトが倒されたら町の冒険者達で勝てるのか?
勇者パーティーは確か連日ダンジョンに潜っていたはずだ、
私はSランク冒険者に成るんじゃない、
ティファニー様のようになるんだ!
弓矢でしかもあの高速の戦闘で相手のオーガにのみピンポイントで矢を当てる、
さらにただ当てるだけではだめだ、
手持ちの矢ではあのオーガにダメージは与えられない、
なら視界を、オーガの視界を一瞬でも奪う、
矢を番え狙いを澄ます、目で追っていては間に合わない、
感じて捉えるんだ、
瞳を閉じて、
絶対の確信を感じた瞬間に放つんだ……感覚を研ぎ澄まして、
……瞬間自分の中に不思議な位の全能感が湧き上がった、
瞳を開け矢を放つ、
結果は見るまでもなく、
当たっていた。
sideアルト
心地いい、
夢を見ていた、
子供の頃母親の腕の中で眠る夢を、
「お…かあ…さん?あれ?ダルクさん?」
どうやらダルクさんに膝枕されてたらしい、
「気付いたか?」
「えぇありがとうごさいます、すぐどきます」
俺はダルクさんの膝から頭を起こして、
立ち上がった、
「あの矢、ダルクさんのだったんですね」
凄まじい腕前だ、俺も弓術のレベルは高い筈だが、
とても当てられるとは思えない、
「ああ、どうやら突発発現スキルが発現してね」
「なるほど、それで……ですね、見ました……よね?」
「何の事かわからないな、私は君の戦闘などみていないよ」
「ありがとうごさいます」
どうやら見て見ぬ振りをしてくれるらしい、
「なぜ秘密にしたいのかはしらないが、今日のような事をしていればいつかバレるぞ?」
本気で心配してくれてるのがわかる、
なんか以前と雰囲気が変わったな、
「それは大丈夫です、既に手は打っていますから、全力を出すところさえ見られなければですが」
「そうか、ならいいんだ君が気絶してから結構経つ、応援が来たら言い訳を考えておけよ?」
ダルクさんが笑いながら立ち上がった、
どうしようかな、
やはり天恵の運のせいにするしかないかな?
こうして俺とダルクさんは森の出口に向かって歩きだした。
森の出口付近で丁度スイカさんとシルフにあった、
どうやら女の子は下ろしてきたようだが、
「2人共無事で良かったにゃん!」
スイカさんがダルクさんに向かってダッシュしながら抱きついている、
「応援はどうした?」
「町は町で大変だったにゃん、なんと風竜テンペストが現れたにゃん」
「大丈夫だったのか!」
ダルクさんが慌てて問い詰めている、
勇者パーティーの行く先々で伝説の竜がでてくるな大丈夫なのかなこの国は、
「勇者パーティーがなんとか倒したにゃん、被害も軽微だったにゃん、しかも重症者こそでたにゃんけど死者はでてないにゃん」
「そうか良かった」
勇者パーティーが強くなってるな、
火竜サラマンダーの時は拮抗する位だったのに、
「ダルにゃんとアルにゃんはどうにゃったにゃん、その様子にゃともう大丈夫そうにゃけども」
「いや〜俺達もなんとか女の子を助け出して、ゴブリンの群から逃げ出してね、木の上とか使いながらゴブリン達をまいたんですよ、そしたら急にゴブリン達は森の深くまで引き返したんです」
「フーン、不思議だにゃーもしかして、風竜テンペストに追われていたのかにゃ!」
「そうですよきっと!」
俺はスイカさんの言葉にうんうんと頷きながら、
考えていた、
実際は風竜テンペストに追われていたのかもしれないし、
あのオーガが群を煽動したのかもしれない、
俺にとっては前者の方が都合がいいのでその筋でいこう、
「シルフもお疲れ様」
「ワン!」
こうして俺達はカルテットの町に戻って行った。




