VSギルドマスター
冒険者ギルドにて猫探しの報告、
報酬を受け取ったまでは良かったのだが受付さんに
「しかし、先方の方が了承したとはいえ守秘義務を怠ったのは事実です」
「はい、すみません」
「ギルドマスターに報告しますので、あちらの席でお待ちください」
「はい」
どうしよう、
なんかギルドマスターに報告するらしいぞ、
ここまで目立たずに活動して来たのに、
しかしここで逃げたら余計に怪しまれる上に冒険者を辞めたりとかになるかもしれないし……
逆に考えるんだ、
ここを乗り切ったら後が楽になると、
そうだなんかこう上手い言い訳を考えるんだ、
頑張れ俺の灰色の脳細胞!
「では、マスタールームにご案内します」
「アッハイ」
シルフを伴い冒険者ギルド3階の奥の部屋に案内された、
「ギルドマスター、冒険者のアルトさんをお連れしました」
「うむ、入りなさい」
案内された部屋の中には書類が詰まれた机が奥に1つと、
応接用の向かい合った革張りの長椅子と、
その間に長机があって、
執務用の机にはおそらくギルドマスターと思われる白髪で白長髭の老人が立ち上がり俺と反対側の椅子に腰掛けた。
「うむ、そっちの椅子に掛けなさい」
「はい」
俺は長椅子に座りシルフはその脇にお座りした、
「うむ、君は席をはずしなさい」
「では失礼します」
案内してくれた受付さんは部屋をでて行った、
さてここからが勝負所である、
「うむ、君はなぜ自分が呼ばれたかわかるかね?」
「えー俺が呼ばれた理由はですね、依頼主の守秘義務を怠った事が原因だと思いますが」
「うむ、まあそちらは別に良い、ギルドの君への評価が下がるのでな充分罰則になるじゃろ」
「では、何故俺は呼ばれたのでしょう?」
「うむ、実はのぅ、各地のギルドから君が上層階のモンスターの魔石ばかり交換してるという報告があってな」
「それは、その通りですが…」
「うむ、なにも、それが悪いというわけでわない」
「はあ」
「うむ、何故駆け出しの君がそんな上級の魔石ばかり交換できるのかのう、そこの所を教えて欲しいんじゃ」
当然、そんな事言える訳がないので、理由はでっちあげる!
「実は、地元のレンダイから港町イーライにたどり着いたくらいですかね、いきなり新しいスキルを取得したんです」
「うむ、新しいスキルとな?」
「はい、その名もスキル・天恵の運」
「うむ、してその効果は?」
「ソロの時、自分に対して運のステータス値に関係なく良い事が起きる……です恐らくこの効果によるのですが、急にモンスターが仲間割れしたり、急に倒れたりなどが頻発するのです」
俺はさもそんなスキルが有るように宣言した、
実際はスキル・偽装でステータスを偽っているだけだが、
「うむ、聞いた事ないのう、急にスキルが発現する、
というのは昔から存在するがのう……取り敢えず確認の為鑑定出来る者を呼ぶから待っててくれ」
「分かりました」
ギルドマスターは執務机の上にある魔道具に魔力を通すと、
先程とは違う職員さんが入ってきた、
「失礼します、お呼びでしょうか」
「うむ、人物鑑定士を呼んどくれ」
「承りました」
職員さんは部屋をでていき、
暫くしてから人物鑑定士と思われる人を部屋へ案内してきた、
「うむ、ではヒルキ君、すまないがこちらのアルト君を鑑定してくれたまえ、すまないがコルティア君は席を外してくれたまえ」
「失礼しました」
コルティアと呼ばれた職員が部屋をでたのを確認してから、
ヒルキと呼ばれた鑑定士が俺の鑑定をはじめた、
その結果を懐から出した紙に書きギルドマスターに渡した、
「うむ、ヒルキ君ありがとう、下がってくれたまえ」
「失礼します」
ステータス各種は偽装した時2レベル分程上げておいた、
これでばれないはずだ、
「うむ、鑑定結果も特におかしいところは無いのおぅ」
よし!うまく乗り切った!
「うむ、何故スキルが発現した時にギルドに登録しなかったのかのぅ?」
「ギルド証の更新が3年に一回有るので、その時で良いかと思いまして」
「うむ、まあそうじゃのう、しかしこの鑑定結果だけでは不十分じゃのう」
「どうしてでしょう?」
「うむ、君が高レベルの偽装を持っておる可能性もあるからのぉ」
「そう言われましても、俺にはどうしようも無いのですが……」
「君のスキル・天恵の運が本当に効果があるか試さないとのう」
「なる程、しかしソロじゃないと発動しないので、誰かとダンジョンに潜る訳にはいかないと思いますが」
ここまで予想していたから、
わざわざ発動条件をソロにして効果も自分限定、
さらに突発発現スキルにしたんだ、
突発発現スキルは昔から原因不明とされていて、
突発発現スキルの取得した条件を解明するために、
様々な非道な実験をしたらしく、
現在は発現した場合各ギルドに報告、
有用なスキルであればギルドが利用できるようにして、
人体実験を行う事は禁止されている、
「うむ、実はわしはのぅ遊び人の上級クラス・ギャンブラーを所持していてのぅ」
「なる程、つまり何か賭事をして、スキルの効果を確かめると」
「うむ、その通りじゃそこでのう、机にサイコロが3つある、この出た目の数字で競うのじゃ」
「なる程」
「うむ、君のスキルはギャンブルとは関係なく発動するようじゃが、わしのスキル・豪運は何か賭けないと発動せん、そこでわしが負けたら、金貨一枚君にあげよう、わしが勝ったら君は銀貨一枚をわしに上げるでどうじゃ」
「それではスキル・レベルの高いギルドマスターが勝のでは?」
「いや、君のスキルは上級のモンスターにも通用するのじゃ、スキルの説明通りなら君はわしに勝つかあるいは、勝負そのものが邪魔されるはずじゃ」
「分かりました、それで僕の疑いが晴れるならやります」
「うむ、それでよい、ではルールの確認じゃ、この机の上でサイコロを3個振る、出た目の合計が多い方が勝ちじゃ、引き分けの場合はもう一度振り直しじゃ」
「分かりました」
「うむ、ではわしから振るぞいそれ!」
ギルドマスターの出目は…………666、6のゾロ目!
「これは勝ったかのう」
「失礼ですが…サイコロを確認してもよろしいですか?」
「うむ、イカサマなぞしとらんぞい、まあいくらでも調べるがよい」
「ありがとうございます」
俺はサイコロを手に取り何回か転がしてみた、
ギルドマスターはホッホッホッと上を向いて笑いながら余裕の態度、
恐らく天恵の運なぞ信じて無いのだろう。
「それでは行きます」
「うむ」
俺はサイコロを3つ振る!出た目は……666と1!
「なんと!そんな事が!」
三つのサイコロの内一つが割れてなんと数字が増えた、
「俺の勝ちですね」
side・ギルドマスター
彼にチョッカイを仕掛けた物は彼に気づかれずに彼のスキル天恵の運にやられてしまうのじゃろう、
各ギルドや国の関係者には利用出来ない旨を伝えなければならないのぅ、
これも天恵の運によってわしが一番彼に害をなさずに彼を守れる人物と判断されたからかのぅ、
恐ろしいスキルじゃ。
sideアルト
俺とシルフは冒険者ギルドを出て宿に向かっている、
「ワン、ワン、ワウワウワン」
え?なんで勝てたかって?
当然イカサマである、
仕掛けは簡単、
まずギルドマスターに先に振らせる、
ギルドマスターは俺の鑑定によると豪運のスキルレベルは俺より少しだけ高かった、
もう一週間後なら俺の方が高くなるんだが、
普通にやったらギルドマスターの方が勝つのだ、
しかし俺はサイコロのイカサマを確認するふりをして錬金でサイコロに細工をした、
さらにスキル豪運を発動する、
そしてさらに投擲術をサイコロに応用したのだ、
イカサマ確認の時サイコロに投擲術を応用出来る事も確認していたのだ!
「ワン、ワウワウ」
イカサマせこいなって?
バレなきゃぁイカサマはイカサマじゃぁ無いのさ!




