猫探し
「シルフ、今日はダンジョン探索は休みです、なので冒険者ギルドの依頼掲示板に行きます」
「ワン」
翌朝、シルフと共に冒険者ギルドへ、
流石に延々と散歩するのは飽きたので、
簡単な依頼を受けるためである。
冒険者ギルドに入ると勇者パーティーがいました、
何か俺の行く先々で遭うんだが何で?
恐らく勇者パーティーは『バードダンジョン』を攻略しに来たんでしょう、
俺は特に会話するでもなく依頼掲示板を確認してから依頼の受付カウンターへ、
「テイムモンスターの探索を受けたいんですけど」
「わかりました、少々お待ちください」
何やら資料を取り出して確認している、
「こちらの依頼はその特性上達成期限は存在しません、また依頼を途中で放棄しても違約金等も発生しませんが、ギルドから貴方への評価は下がります、よろしいですか?」
「大丈夫です」
「ではこちらが探索するテイムモンスターの資料になります、資料を確認したらご返却下さい」
「わかりました」
迷い猫の探索らしい、
猫が死亡したりしているケースがあるため依頼失敗でも違約金が発生しない珍しいタイプである、
猫の特徴、
飼い主の家などの情報を記憶してゆく、
本来テイムしたモンスターはマスターの言うことは聞く物だが、
猫は気まぐれな性格が多くマスターもまだ9歳らしいのでレベルも低く、
信頼関係が築け無かったのだろう、
取り敢えずこのマスターの家へ向かった。
「すいませーん」
「はーい」
俺は迷い猫のマスターの家へ向かい玄関でノックをして声をだした、
「何でしょうか?」
「冒険者ギルドからきましたアルトといいます」
出てきたのは30代位の獣人の女性であった、
「よろしくお願いします」
「それでですね、何かその猫の匂いが着いた物をお借りしたいんですが」
「ちょっと待って下さいね」
俺はこの依頼を達成する自信があった、
シルフさんの嗅覚頼りとも言うが、
「ありました、この爪研ぎで大丈夫ですか?」
「ありがとうございますでは少しお借りしますね」
「シルフ、匂いを記憶して追跡出来そうかな?」
「ワン、ワン」
楽勝らしい、
流石だぜシルフさんはそこら辺の犬とは一味違う、
「こちらお返ししますね、では取りかかりますので」
「よろしくお願いします」
獣人の奥さんに見送られながら探索に乗り出す、
シルフはその鋭い嗅覚を活かしながら道を迷いなく進んでいく、
迷い猫のマスターの家から1時間程離れた河原の木箱の中に猫はいた、
どうやら両脚を怪我しているようだ、
俺は光魔術で怪我を回復させる、
これでいいだろう、
状況から察するに誰かが面倒みてたっぽいな、
「お兄ちゃんシロの傷治してくれたの?」
どうやら面倒を見ていたのは子供らしい、9歳位の人種の女の子だった、
「あーこの子のな、飼い主に頼まれて探してたんだ」
「やだ!シロ連れてかないで!」
「でもな、キチンとした飼い主に返さないといけないんだ」
「何で?わたしちゃんと面倒みてたよ!」
「しかしだな……」
「うぇぇぇぇん!やぁだぁぁぁ!」
あー泣いちゃったよ
「飼い主の人に事情を説明して会えるようにしてあげるからね、だから泣き止んで…ね?」
「ひっく……ほんとぅ?」
「ああ、一緒に着いて来てくれる?」
「……うん……」
泣く子は強いな、
本当は守秘義務とかあるから駄目なんだがまあなんとかなるだろう、
俺は猫と泣いた子を連れて依頼主の所へ向かった、
因みに匂いを辿っていたため時間が掛かったが、
実際の距離は依頼主の家から20分程の河原である。
「なる程そうですか」
「えぇなのでこの子にどうか今後も会わせてあげて欲しいんですが……」
「えぇ構いませんよ」
「おばちゃん!ありがとう!」
俺は奥さんに事情を説明したのだがどうやら仲を取り持てたようだ、
奥さんに依頼達成の書類にサインをもらっていると、
どうやらマスターの少年が帰って来たらしい、
「ただいまぁ…あ!シロ帰って来たのか探したんだぞ!」
「こちらのお兄さんが見つけてくれたのよ」
「えっと、お兄ちゃんありがとうございます」
「ああいいんだよ、それでねこっちの女の子が怪我したこの子の面倒を看てくれてたんだ」
そう言って男の子が現れた時に、
俺の背中に隠れた女の子を前にだして紹介した、
「おまえもシロの面倒看てくれてありがとう」
「あの、シロにまた会いに来ても良い?」
「いいに決まってんじゃん!なんたってシロの命の恩人だからな」
「ありがとう!」
そんな子供達の会話を聞きながら、
「それではこれで」
と俺は挨拶をして冒険者ギルドへ報告をしに帰った。
帰り道にて、
あれが所謂幼なじみとの出会いなんだろうなきっと、
前世も今世もそんなものは伝説だと思ってたのだが、今俺は伝説を目撃したのだ、
などとアホな事を考えながら、
「シルフ、今日はお疲れ様」
「ワン、ワン」
今日一番の功労者を労った。




