鉱山、火山、テツザン
鳥のさえずりで目を覚まし、
朝の新鮮な空気を入れる為に部屋の窓を開けると、
外の通りに何故かテツコがいて目があった、
なんか手招きしてる、
こんな朝からなんのようだろう、
俺は簡単に身嗜みを整えて宿屋の外にでた。
「えへへ、来ちゃった」
「いや、来ちゃった、て」
なに?俺結構いそがしいんだけど、
「なに、その嫌そうな顔」
「何か用?」
「僕、今日休みだからさ、町を案内してあげようかと思って」
と言われてもな、
「俺今日は普通に忙しいんだが」
「なんで?武器は下取りに出したでしょ?武器が無いのに仕事できるの?」
「武器が無くても、この町は昨日来たばかりだからな、冒険者ギルドに行って此処の町のダンジョンの情報とかを調べないといけないし」
資金に余裕が有るとはいえ、
9日間も遊んでる訳にはいかない、
簡単な依頼位はこなさないと。
「それは今日じゃないとダメなの?」
なぜだ?普通はこれだけ嫌な顔したら誘わないだろ、
まあ昨日金貨を大量に使ったし、
お金を沢山持っていると踏んだのか?
「別に明日でもいいといえばいいが……」
「じゃあ決まり、僕が色々案内してあげるね!」
「いやどうしても外せない用事があるからまた今度な」
一応、本当に外せない用事が一つだけある、
まああまり時間がかかる訳ではないが、
「えぇー本当?なんかさっきから僕の事避けようとしてない?」
「そんな事ないよ」
そんな事あります、
だってテツコの親父さん俺がステータス偽装してる事に気がついてるっぽいし、
親父さんは言いふらしたりしなそうだけど……その娘であるならテツコが俺のステータスに気付く可能性が有る、
しかもバレた場合俺の事を簡単に言いふらしそうだ、
結局この後もなかなか帰ろうとしないテツコを連れて、
俺は渋々ながらもシルフに会いに行った、
決してロリっ子同級生がちょっとづつ泣きそうな顔になったからではない。
俺はテツコに案内された場所で一緒に食事をしてからシルフの餌を買い、
南門を通り町の外へ出てしばらくした所でシルフを呼び出した、
「カモン、シルフ」
「ワン、ワン」
シルフはいつも通りにすぐに現れると俺にじゃれてきた、
「おぉ!本当に剣を装備してる!」
シルフに餌をやりながらモフモフしてると輝いた目で見てくる、
「グレーウルフが珍しいのか?」
従魔では最もポピュラーなはずだが……
「剣を使うのは珍しいよ!普通は魔術系かハンター位しかクラス所得しないでしょう?」
まあ確かにシルフのクラスは剣兵と風術師とハンターだが、
「ねぇ〜僕も触っていい!」
「シルフよ、ああ言ってるが」
「ワン」
「良いってさ」
「やった!」
ロリっ子が狼と戯れてる……なんか癒やされるな、
しかもスカートがチラチラして見えそうで見えない、
まったくもって目に毒である、
暫くシルフとテツコはじゃれあっていた。
「そろそろ町に戻るぞ」
そろそろ昼時である、
テツコはかなりシルフを気に入ったらしくなかなか離れようとせず、
何時もより長くシルフと遊んでしまった、
「わかった」
テツコは名残惜しそうな顔をしながらも俺と一緒に町へ帰った。
テツコと共に昼飯を食べてから色々と町中を案内してもらう、
テツザンの町は北が宿中心の温泉街、
東が武器屋・防具屋・アクセサリーショップが中心の商店街、
南側はギルドなどの公共施設、
西側は美術館などであるらしい。
俺はテツコと美術館に向かい武器を鑑賞していた、
色々な物を見たがどれも歴史的価値はあれど実際に使えるような物では無さそうである、
「あれ?」
「どうした?テツコ」
「うん、前此処に来た時に見た双剣が無いから」
「そうか、どんな剣だったんだ?」
「この美術館に飾ってあるなかで、実際にまだ使えそうな唯一の武器だから覚えてたんだけど……見た目は刃の厚い曲刀でなんでも地竜の逆鱗と牙を加工して作った物らしいよ?」
「へぇ〜」
「なんと2000年前の勇者パーティーにいた、この町出身の剣兵が使ってたらしくて、この町のテツザンて言う名前もその剣でどんな物でも切れるからってついたんだって!」
「何でも切れる、鉄斬ね……」
2000年前の勇者の中には確実に日本人がいたな、
その人はどういう人生を送ったのかな、
俺も勇者の伝説は知ってたが、
色々忙しくあまり詳しくはなかった、
伝説では勇者パーティーは魔王を討伐した後幸せに暮らしたそうだが……
その人が幸せな人生を送ったのなら元日本人として嬉しく思う、
「それじゃね!今日はありがと!」
「ああ、じゃあな」
美術館を後にした俺は近くの喫茶店でテツコと少し休んでから、
良い時間になったのでテツコを家まで送った。
夕食を食べる為居酒屋へ行き適当に情報も聞く、
マスターによると何でも最近勇者が現れたとかで今はその話題で持ちきりらしい、
しかも海竜リヴァイアサンを討伐したとか、
それ以外にも聖女様も現れたとか、
盗賊の死体が大量に見つかったとか、
ちょっと前は地震が多かったとか、
もう秋になるのにまだ暑いとか。
「へぇ〜」
などと返事を返しつつ、
内心幾つかの事柄には聞き覚えがあり少し冷や汗ものだった、
そういえば盗賊の死体片付けるの忘れてた。




