転生して、勉強して。
安心感に包まれている、
俺は死んだはずだ、
目が見えない、
体もほとんど動かない、
声もでない、
出来るのは聞く事と考える事だ。
俺は聞こえる歌を聞きながら自分を思い出す俺はたぶん死んだはず。
日本人・男・27歳・フリーター・斉藤総一・中卒
男の子が車道に飛び出して、
ワゴン車にひかれそうなのを体を入れ替えるようにして助けて、
代わりにひかれた……はずである。
歌が聞こえる、
過去を振り返りながら、
たぶん自分は生まれ変わって胎児なのではないか、
あるいは植物状態の寝たきりなのか、
どちらにしてもこの安心感の中に永遠に包まれていたい、
だがもうすぐここからでる時期なのだろう、
なんとなくだがわかる
やはり転生だったらしい両親の声を聞きながらベビーベッドで考える、
俺の名前はアルト、
父親の名前はアルバ、
ムキムキで坊主頭の金髪、
顔は普通身長は母親より頭二つ高い、
母親の名前はトーア背中まで長い銀髪、
顔はなかなかの美人で胸はそこそこ、
両親の話を聞くかぎり元冒険者で現在は冒険者ギルドの職員らしい。
ふむやはりここは異世界のようだ、
前世ではゲームや漫画などが好きだったので、
剣や魔法に触れるのが今から楽しみである。
「アルトー、ギルドへ行きますよ」
「あい」
一歳になった位だろうか両親は俺をギルドに連れて行くようになった、
ギルド内に託児所がありそこで子供を預ける事ができるのだ、
自宅は洋風の一軒家で周りの家もそう変わらない、
ギルドまで徒歩15分位の道を抱っこされながら両親と会話しながら過ごす、
ただし喋れるのは
「あい」
「だぶ」
「やー」
である。
冒険者ギルドはかなり立派な建物で日本でいうなれば区役所みたいな雰囲気を感じさせる、
正面から入り父親はそのまま自分の部署に行き、
母親は俺を託児所に預けてから行く。
「アルトをよろしくお願いしますねマーツ先生」
「はい、アルト君はとてもおとなしいので全然大丈夫ですよ」
託児所に預けられるのは俺に取ってかなりプラスである、
ほかの子供たちの成長と合わせて演技しやすく、
この世界の情報も沢山手に入る。
子供の頭は柔軟なのか、
かなり記憶力がいいので毎日が楽しい、
マーツ先生は託児所の保母さんで赤髪でショートヘア、
身長は母親より頭一つ低い、
ちなみに犬耳で、
初めて見た時はガン見してしまった。
俺の両親は周りの大人と比べると体格がいいらしく、
俺も身長が伸びるようにがんばろう。
因みに前世では身長170センチ丁度だった。
三歳も過ぎた頃、
母親が仕事が休みの日俺は自宅で本を読んでいた、
普段は本は高級品なのか手の届かない所に置いて有るのだが、
疲れているのか机で本を読みながら寝てしまっていたのだ、
そこで俺は机によじ登り本を読むことにした、
文字は託児所でマーツ先生に教わったので読める、
本のタイトルは『クラス取得の心得』、
と『冒険者の心得』である、
古いらしく、
所々にじんだりしていて読めないが大体わかる。
この世界はまるでゲームのようにモンスターを倒す事により経験値を稼ぎステータスを成長させるらしい、
ステータスの項目は
称号
レベル
HP
MP
力
魔力
防御力
対魔力
速力
運
である、
クラスを取得する事でレベルアップ時それぞれの項目に成長補正が入り通常より多く成長する、
またそれぞれのクラスにより一定のスキルを取得するようだ。
クラスの項目は多岐に渡り、代表的な物で
剣兵
槍兵
弓兵
騎乗兵
炎術師
水術師
風術師
地術師
などである、
俺は出来る限りクラスの取得方法を記憶していき、
次の本『冒険者の心得』を読んでいく。
ダンジョンの種類や攻略に必要な必需品を網羅してあり、
代表的なモンスターの倒し方、
バランスのいいパーティーの組み方などを掲載してある。
一通り読み終わり俺は出来る限り多くクラスを取得すれば物凄く強く成れるのではないかと考えてしまった、
ゲームみたいだと思ってしまったのだ、
この時本が完全に読めていれば、
あるいはきちんと大人に教わっていればと後悔する事になるとは思わなかった。