表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/101

序話 一片

本編は次回より随時更新

 

 ひらり、ひらり


たくさんの桜が咲き乱れる中、一際大きな桜の木が立っていた。

その下で一人の女が見上げている。

古風だが質の良い着物に身を包み、花吹雪の中で静かにじっと動かない。その佇まいは後姿だけでもどことなく気品が漂っている。

ふわりふわりと風が吹くたび、綺麗な長い黒髪が流れて薄桃色の花びらと混ざり合う。

鮮やかでいつまでも見ていたいような…ゆっくりとした時間が流れていく。


 ザアッ


不意に、風が強く吹いて女が桜から目を離しゆっくりとこちらを振り返った。

途端にぐにゃりと世界が歪む。

否、視界がぼんやりと霞み、振り向いた女の顔も霞んで見えなくなった。

何かを伝えたくて手を伸ばすもどんどん遠くなって声すらも届かない。

暗くなる視界は意思に反してどんどん深くなっていく。

ひらり。暗闇の中で最後に一片、小さな薄桃色が目の先を霞めて舞い落ちた。


 ―これはそう、昔から何度も繰り返し視てきた、夢……









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ