表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

選択

作者: DAM

 僕には、大切な友人がいた。

友人とは、仲が良かったし何も隔たりもなく信頼していた仲だったのだろう。


 まず、僕の自己紹介を始めたいと思う。

私立高校に行っている高校2年生だ。

 そして、この告白をする上で必要不可欠で大切な友人達がいる。

綾川あやかわ森田もりたと二人だ。

綾川は、僕たちのメンバーのリーダーのような存在で少しわがままな所がある。

森田は、勉強ができるが友人関係の苦手な不器用な奴だ。


 さて、本題になるが僕の告白を聞いてほしいと思う。


 いつから綾川達のグループに入っただろうか。

確か、高校に進学してからだった気がする。

僕が綾川に初めて話しかけられた時、彼は僕に「一緒にカラオケに行かないか?カラオケ代は奢るからさ」と言ってきた。

僕はその時、綾川の事はあまり知らなかったが奢ってくれるというので行くことにした。

そこから、彼とは仲良くなった覚えがある。

 そしてもう一人の友人の森田との出会いは、高校1年でのクラス替えが初めての出会いだった。

彼との共通点はロボットアニメだけだったが、彼は僕が知らないことを知っていて勉強になった。

森田は、高校2年でのクラス替えで他のクラスになってしまったが彼との交流は続いていた。


 毎朝、綾川達のグループと登校としていた僕に森田が「俺も一緒に登校して良い?」と聞いてきた。

僕は「綾川に聞いてくれ。僕の判断では決められないから」と答えた。

「わかった。聞いてみるね。」と言い残し、僕より少しだけ前を歩いていた綾川に聞いているのが見えた。

森田はニコニコしながら僕に「許可をもらったよ」と言って、その日から綾川達のメンバーと登校する事が増えていった。


 森田が、綾川たちのメンバーと溶け込んでいた頃だっただろうか。

綾川は、森田の悪いところを森田がいないところで指摘し始めた。「毎朝、森田は大声で笑うため周りからは白い目で見られている。俺達まで一緒に見られかねない」といった内容だった。

そして、綾川たちメンバーは、『森田がなぜこのメンバーにいるのか』を話し始めた。このメンバーに属しているからには、この話を聞かなければならなかった。しかし話している内容が、間違っていないようにも聞こえてしまった。そして、後で知った話だが森田は高校1年時代から嫌われていて、学校の企画の遠足の後にプリクラを撮りに行った女子たちを追いかけるように付いて行ったという話を女子たちから聞いた。この話を聞いたとき、彼に不信感を抱いた。


 そして、綾川から森田に伝えるようにお願いをされた。森田に、綾川たちのメンバーから嫌われているという事実を伝えることと、学校の女子からも嫌われているという事を。

僕は、綾川に自分で伝えてほしいと言えなかった。僕が森田に不信感があったからそのお願いを否定できなかったのかもしれないし、僕自身が森田を嫌っていたのかもしれない。

しかし、僕は綾川からのお願いを森田になかなか伝えることができなかった。

言い訳をするならば、良心が言う事を拒んでいたのだろう。


 ある日の放課後だった。

講習を受けた帰りに森田と二人で帰る事になった。下駄箱の前で森田と待ち合わせをして、帰ろうと約束をしていた。しかし、なかなか待ち合わせの時間になっても来なかった森田に僕はイライラしていた。

「ごめーん、待たせた」

森田は申し訳なさそうに、言ってきた。

「別にいいよ」

僕はそう言ったが彼への不信感はさらに増していった。

校門から出て帰ろうとした時、知らない生徒から「おーい、森田ー」と森田が呼ばれていた。

いかにもバカにするような雰囲気を漂わせた森田への呼び方に、森田と関わっていると僕までバカにされかねないと、考えた。

少し歩いて、人気ひとけが無い所で森田に綾川のお願いを伝えた。

「綾川たちのメンバーがお前の事が嫌いだって、言ってたよ」

「へー、でも綾川とは話さないから別にいいや」

「あと、学校の女子もお前のことが嫌いだって言ってたな」

「えー、まじかー」

いつもニコニコしていた森田の笑顔が引きつっているのがわかった。

「でも、言ってくれてありがとうな」

「怒らないの?」

「いや、怒ったってしょうがないでしょ?言ってくれたことで自分が直すべきことがわかったよ」

その言葉を聞いたとき、大人だなと思ったし自分の愚かさに気付いた。

「ごめんな」

「謝らなくたって、良いって」

こんな会話をして、気付いた時には森田といつも別れていた道に着いた。

「今日は本当にごめん。じゃあね」

「うん、また今度」

今度?いつもは、また明日って言ってたはず。

その時から、森田とは話さなくなった。

そして、あの日から森田が笑った声を聴いていない。


 綾川達からは「よく言ってくれた。ありがとう」と言われた。

しかし、何か心に引っ掛かるものがある。

森田から笑顔を奪ったことかもしれない。メンバーとの関わりを続けるために森田を犠牲にしたことかもしれない。ただ、言えることは彼の分も僕がこのメンバーで楽しまなくちゃいけないと思う。


僕は選択を無意識にしていた。

綾川のグループから僕が離れれば、森田の笑顔は失われなかっただろう。

僕が、綾川からのお願いを森田に言わなければ森田と僕はもっと友人関係を続けていただろう。

しかし、この選択で僕は綾川からの評価が上がったに違いない。

僕は、もう少しだけ綾川たちのメンバーでいられるだろう。

それだけで、良いのかもしれない。


この選択が、僕にとって良かったのか悪かったのかはわからない。




 

間違いの指摘など、お待ちしてまーす。


はたして、主人公の選択は彼にとって良かったのでしょうか…

作者ですら、わかりません。

みなさんの、お気持ちが彼の正当性の度合いを示してくれると思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ