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最終話.今も……『りょー』

「昨日、例のポ●モン好きの彼女に会いました」


 その言葉に私は一瞬背中が凍り付いた感じがしました。彼女が居たんだった。でも、それとこれとは……。


「ぜんぜん、楽しくなかったんです」


 田辺さんは私の目を見て話し始めました。今度は私が眼を逸らしてしました。


「一昨日、りょーさんと行った、ポ●モンセンター、近くの喫茶店でのゲーム、そしてこの部屋……、私にとって別世界でした」


「……それって、オタクの世界ってこと、ですか?」


 私はちょっと不機嫌そうに言います。そっか、楽しそうにしてくれていたけど、引いていたんだ……気を使ってくれていたんだ……なんかつらいです。引き留めなきゃよかった……。


「なんて言えば良いかわからないけど、とにかく別世界でした。あれだけのぬいぐるみを見たのも、これだけのぬいぐるみやグッズを見たのも初めてで……」


 そう言って田辺さんはポ●モン棚を見ます。そして、また私を見ます。


「それにそんな赤毛で普通に街中を歩く女の子、正直、びっくりしました」


 引いてる引いてる……。自分の髪の毛を触りながら、ますます悲しくなってきました。


「そんなの個人の自由じゃん……」


 私は聞こえない程度に呟き捨てました。


「そして、その、男の人を簡単に部屋にいれるんだな、って。慣れているんだなって」


「ええ? いや、それは……」


 それにはちょっと反論しようとしました。私はやっぱりそう思われていたんだ~と慌てましたが、それ以上言葉が出ません。どうしたらいいのか、なんて言えば誤解が解けるの?!


 言葉に困っている私を置いて、田辺さんは淡々と続けます。


「日曜は成り行きで、部屋に行くことになって、その事に電車内で気が付いて、正直自分でも焦りました」


「そ、そうだったんですか? てっきり計算かと……」


 私は普通に言ったつもりがちょっと意地悪気になってしまいました。


「と、とんでもない」


 田辺さんは目を大きく広げて否定しました。……ホントみたい。


「とにかくPCを見るだけだ、他に好きな人が居るからと自分に言い聞かせ、平然を装ってましたが……」


 そこで田辺さんはうつむいて止まってしまいました。


 次の言葉を待ちます。正直田辺さんが何を言いたいのかわからずイライラしていました。ここが私の部屋じゃなかったら、ここで帰っていたでしょう。


「昨日、例のポ●モン好きの彼女に会いました」


 聞きましたよ。


「告白、やめました」


「ええ? 付き合っているんじゃ……」


 思わす大きな声を出してしまいました。


「付き合ってないです。好きだったんですが、告白をやめました……会って、なんか違うなって感じて……日曜が楽しかったんです」


 その言葉に頭が真っ白になりました。髪の毛は真っ赤です。紅白ですよ、めでたいです。これって、そういうことですか? え? めでたい? うれしいの? 待て待て私。なんか顔ニヤついていませんか? うつむいて隠します。


 田辺さんはちょっと恥ずかしそうにうつむきながら、ちょっと小さい声でいいました。


「今日も日曜と同じ感じで行けばいいと思って、服装も似たようなものを選んで来たのですが……。どうにも……目を合わせると、……自信がなかったんです」


 そして、背筋を伸ばし、深々と頭を下げました。


「今日は冷たい態度になってしまい、申し訳ありませんでした。嫌いになったわけじゃないです。目を合わせると、……自信がなかったんです!」


 二回目! それって、それって、今日は目が合うと私を、おおお、押し倒したくなるってててて、そそそういうことだよね?! 待て待て、喜んでいいの?


  ……いいの?


    いいのかな?


     私のことスキってことだよね??? 




    ポン




 なにかが飛んだ音が心の中でしました。ほっぺが熱いです。




 経験無いからかな?! 免疫無いからかな?! 私も日曜楽しかった。今日、冷たくされてすごく悲しかった。


 それって、スキってこと、でいいんですよね?




 田辺さんは頭を下げたままです。


 私はゆっくり玄関に進み、右手でそっと田辺さんの後頭部に触れました。


 自分の心臓がバクバクしているのがわかる。きっと田辺さんにも聞こえていると思う。ううん、聞こえていてほしい。


 私は、そのまま右手を頭から、耳へ、そして頬に滑らせます。温かい。こんなに温かく感じると言うことは、私の手、冷たくないかな?! 頬に当てたまま、そっと、田辺さんの顔を起こします。


 こんなに近くに立つと身長20cm差は大きいです。右手を頬に触れ続けるのは大変です。


 手をゆっくり下方に滑らし、田辺さんの胸まで下ろした時です。田辺さんが私のその手に手を重ねてきました。


 わ、私も言わなきゃ!


「た、田辺さん……」


 上目遣いで田辺さんの目を見ると、田辺さんもこちらを見てくれています。


 今だと思う。




「わ、私、私()田辺さんがスキです!!」


「……」


「……」


「……」


「……あれ?」


「……」


 思っていたのと違います。反応が無い。え? なんで? そして少し間が空いて帰ってきた反応は……


「えーーーーーーーーーーーー?」


……こんなんでした。


 田辺さんは更に慌てふためいてちょっと早口でのたまいます。


「いや、急に言われても。日曜に会ったばかりですよ。日曜は確かに楽しかったです。でもそれとこれは、えっと、その……ああ、もちろん、嫌いじゃないですよ? かと言って、えっと……」


 ちょっと見ていて面白く感じ始めた時、もう、いいや。って思ってしまいました。


「もういいよ」


 そう私が言うと、田辺さんは『え』と言う顔で一気に冷静に戻ったみたいです。




 もういい……、そう……、一気にあふれ出してしまった気持ち、もう後には引けませんでした。


    ズドン


 私はそのまま田辺さんに体重をかけ、田辺さんを押し倒しました。


「りょーさん、な、なにを?!」


 ビックリしている田辺さんの顔がこんな近くに……。男の人の上に乗っているのも初めて。


 そのまま顔を両手で包んで顔を近づけます。鼻が当たりそう……。


「わ、私()、田辺さんがスキです!」


 もう少し素敵な言い方、出来ないのかな、なんて思うけど、その時はそれが精一杯。そしてそのまま、ゆっくり唇にキスをしました。田辺さんはそのまま受け入れてくれました。


 初めてだったので怖かったですが、うまく出来たみたいでよかったです……。




 その後は、詳しくは書けません。あまり覚えていないから……と言うことにしておいてください。




    ◇




 結局、私には女子力がありませんでした。あったのはポ●モンパワーと妄想パワーだけでした。


 実は、田辺さんも平然を装ってましたが、免疫がなかったみたいです、こういう世界(オタク)も、女も……。




 実は、今も田辺さんは私の部屋にいます。同棲しちゃってます。ナコにはダメ出しされながらも、お祝いを言ってもらえました。


 今は彼もすっかり、オタク。私なんかよりオタク。どっぷりはまっています。コスプレも自分から参加してきます。あっちこっちのイベントにも私と一緒に参加しています。もちろん教えたのは私なんですが、その勢いにはちょっと引くこともあります。


 でも、面白いから、楽しいから……。


 私のこともスキになってくれたので……。


 でも……、今も『りょー』ってハンドル名で呼ぶのだけは、直して欲しいかな。




☆おわりなの☆

 実話をベースにしています。 1/2ぐらいはノンフィクション。ポ●モンセンターでの待ち合わせやお部屋に行ったのもホント。髪の毛は赤じゃなくて、青紫だったかな?!


 出会いのきっかけって、不思議なものですね。そう感じた体験記でした。え? 誰のかって? さー(笑)


 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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