07.つまりは成り行きって訳で【Side彼女】
「俺は魔族だ」
…………は?
魔族? あたしの聞き間違いじゃないよね?
だけど、フードをとると尖った耳がこんにちは。人間じゃないね。うん。
……魔族って、もしかしてあの、ゲームとかのボスとかでよくあるアレですか? コウモリの羽とか付いたりして、美形設定がやけに多い、あの魔族?
…………まさかこいつが?
「おい、何かリアクションしろよ。……何でなんも言わねぇんだよ?」
「……あ、……え。魔族?」
「あぁ。魔族」
「……ちなみに王さまは、魔王……とか?」
「まぁ……、そーゆーことになんだろな」
こんにちは、非現実。
さようなら、日常。
あたしはすでに放心状態だった。
「……」
「……おい。大丈夫か!? 息してるか!?」
魔族の奴があたしをガクガクと揺らす。
気持ち悪いけど、それどころじゃない。
マジな話、あたしにどうしろと? て言うか、一体どすればいいの!?
そんな時、ゴゥゥ……と言う音が聞こえた気がした。
なんだか嫌な予感がすんだけど……。えっと、とりあえず、放心してる場合じゃないよね?
「あの、さ……。これ何の音?」
あたしが聞くと、そいつはアズラスさんと顔を見合わせた。
「これってアレだよな?」
「まぁ……、そうですね」
だからアレって何。
当然のように言われても、あたしには全然分からないんだけど。
そうこうしてるうちに、アレはすぐ側まで来て……ようやく分かった。
「アレって砂嵐のことだったの!?」
あたしのツッコミも、ただ砂嵐に巻き込まれるだけだった。
短いですが、これにて【つまりは成り行きって訳で】はおしまいです。
第一章一節にあたる部分になります。
次の二節も近々あげますねー…たぶん。