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異世界×あたし  作者: 葉山
【第一章】こんにちは、異世界
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03.つまりは成り行きって訳で【Side彼女】

 あー…、これはマヂで死んじゃうよね……。死ななかったら何者だよっ! ってつっこめるよ……。

 あ、なんか我ながら悲しくなってきた。

 だって一応、生きる事に未練はかなりあるし、やりたい事とかも結構あるし、それにまだ彼氏つくってない。

 ……花の乙女だから、あたしでも憧れるんだからね。恋愛っていうのは。

 うーん……こんなこと言ってる場合じゃないよね?

 何か変なところで落ち着いてるなぁ……。さすがあたしとしか言いようがないけど。ほら、何か絶体絶命になると妙に冷静にならない?

 まあ、ここは一つ。もう一回叫んどきますか……。



「ああああああああああああああああっ!」



 とそんな時、ごうっと下から突風が吹き上げて、あたしの身体を押し上げてくる。

 おかげで徐々に落下速度もゆっくりになってきて、あたしは地面と衝突するなんていう恐ろしい事態は回避できた。

 た、助かったぁ……。

 気付けばスカートが捲くれてて、髪はボサボサな上にパサパサだし、耳はなんか変な感じだし、何かあたし自身はかなりボロボロだったんだけど、助かったから良しとしよう。

 あたしの中でようやく一区切りがついて、落ち着いてきた……はず。

 そこで、ふと思った。


 ……ここどこ?


 辺り一面どこを向いても砂。砂。砂。

 あ、あそこにあるのはサボテンかな? そんでもって、あたしの足元にあるこの白くて生物室で見たことがあるようなこれは、牛かなんかの頭蓋骨……っぽいね……。

 つまり、砂漠に居るみたいだけど……。


 何? あたしにどうしろと?


 一般女子高生が帰り道に砂漠なんかに行くはず無いよね?

 ……てか、どうやればこんな本格的な砂漠に行けるんだ?

 あれ、そもそも何であたしがここに居るんだ?

 あの、いつも踏みしめているコンクリートの道は何所行った!?

 混乱しているそんな時、ふっと暗くなったかと思うと頭の上から声が降ってきた。


「お、いたいた」


 ぶわっと派手に砂煙をあげて、巨大な何かが着地した。て言うか、思いっきり眼に砂が入ったんですけど!

 慌てて眼を擦って、そっと眼を開くと……思わず眼を閉じた。

 あれ? おかしいな。

 あたしの眼に妄想フィルターでも掛かったのかな?

 見えてはいけないものが見えちゃったぞ?

 あまりに信じられないので、試しにもう一回見てみる。

 ……いやいやいやいや、ありえない。ありえないから! そんなのおかしいって!

 だって、誰が信じられる!?


 この現代の地球に、ドラゴンが居るだなんてっ!


 一歩譲ってあたしの幻覚。

 十歩譲って新手の嫌がらせ。

 百歩譲ってこれはCGだっ!

 じゃなかったら、これは夢なんだ! そうじゃなきゃ説明できない!

 そんな混乱するあたしをさらに混乱の渦に巻きこませるかのように、ドラゴンの背中から人が降りてきた。


「無事か?」


 心配されてる……んだよね?

 でも、この人ドラゴンの背中から降りてきたんだよね?

 あたし、本当に大丈夫なのかなぁ……。


「あ、はぁ……。多分」

「なら良かった」


 そっけなく言ったその人を見上げた瞬間、あたしは息ができなくなった。

 胸がうるさいくらい激しく動いている。

 あぁ、どうしよう。今のあたし、絶対顔が赤い……。

 頭からすっぽりフードを被っている怪しさ全開の人が……、いや、怪しさ全開なのに、なんで?

 ドキリと胸が騒ついている自分がここに居る……。

 長いフード付きローブからはみ出ている髪はサラッサラのミルク色で、その髪の隙間から見える瞳は光り輝く金色。

 長身で甘いマスクなんだけど、ちょっと頼りなさが漂っていて、構ってあげたくなるようなそんな感じ。

 なんだか、とんでもない境遇にいるからかな?

 いつもよりトキメキ度が高い……気がする。今ならジャ○ーズが、ただの一般人に思えるかも。


「あ、あの……」


 う、うわっ!

 緊張のあまり声擦れてる!? いつものあたしは何所に消えたっ!?

 と、心の中でものすごい動揺しているあたしのことなんて、分かってるのか分かってないのか分からないけど、いや、多分分かってないんだろうけど、その人は失礼なほどじぃっとあたしの顔を見ていた。

 そ、そんな近くに美形の顔があると、ものすごく照れちゃうんですけどっ!


「……ち、近い……んですけど」

「え?あ、悪い」


 慌てて離れてくれて、ほんっとに良かった。

 心臓が限界だったよ……いや、マジで。


「……まぁ、人違いだったっぽいな。俺が捜してた奴とはちょっと違うよ、な? うん。多分だけど、なぁ、アズラス」


 一人勝手に自己完結するその人は、後ろに控えていたドラゴンに同意を求めた。

 それで頷くもんだから、いやぁ、良く出来てるよね、あの、ねぇ?

 ……もちろん作り物だよね?


「いやいやいやいや、ありえないっ! 意味分かんないってば、この展開はっ!」

「なっ!?」


 いいや、どうせボロ出ちゃうし。

 今は、とりあえずこの意味が分からない展開に叫びたいっ!

 相手が驚こうがなんだろうか気にしないっ!

 そう、問題は今のあたしの状況。しかも、この人いくら美形だからって、誰なのか何なのか分からないしっ!


 流されてるんじゃないわよっ、しっかりしろ、あたしぃっ!!



この頃の彼はまだマトモです。彼女もまだマトモです。


いや、始めくらいはマトモにしてあげないと可哀想かな、と思いまして←

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