表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界×あたし  作者: 葉山
【第一章】こんにちは、異世界
24/71

04.無意識と無自覚ほど性質の悪いものはない【Side彼女】


 あ~、可愛い。すっごくあったかい。

 猫ってこんなものだっけ? もっとこう、獰猛じゃなかった?


「キミ人見知りしないね。飼い猫?」


 にしては首輪が無い。

 相変わらずゴロゴロ言って目ぇ細めてるけど。


「キミの飼い主は?」


 って答える訳ないか。

 バカだなあたしも、とうとう頭ん中すっからかんになったか……。


「なぁぅ」


 とか思ってたら短く鳴いた。

 否定してんのか肯定してんのか分からないけど……。


「どっちだか分かんないって。てか、あたしの言葉分かるの?」

「なぁぉ」

「ごめん。キミが分かっても、あたしは分かんないわ」


 意志相通・コミュニケーションできず。まぁ、いっか。

 ……じゃ、ない!

 今度はどこ!?

 海!? 海だけど、何? ここ島なの!?


「荷物は……うげ!? ワークがふやけてる!」


 うれしいのやら悲しいのやら……。ちょっと複雑だ。

 まぁ、あたしもちょっと動こうかな。

 ここにいてもどうしようもないし。


「なぁぅ」


 立ち上がったあたしの足元に、その紫色した毛並みの猫が絡み付いてきた。


「ほら、あたしもちょっと動くから、キミは飼い主の元に戻りな?」


 最後に喉の下を掻いてやってから、あたしは歩きだした。


「なぁぁぉ」

「何? ついてくるつもりなの?」

「なぁぅ」


 猫は嬉しそうに鳴いた。

 ま、いっか。猫は気紛れって言うし、帰りたい時に勝手に帰るだろう。


「それならそれで良いけど」


 あ、そうだ。あたしと居る時用の名前つけてあげよう。

 呼ぶときにいちいちネコとかキミじゃ可哀想だし。飼い主が居たら、その時聞けば良いわけだしね。

 そうだなぁ……。

 無い知恵絞ってひねり出そうとうんうん唸ってると、視界の隅に黄色に光る何かが映った。

 何だろ、星の形の花だ。

 異世界の不思議。小さな星型の花が連なって付いてる、そんな感じ。海岸によく咲けたなぁ……。

 あ、これでいいんじゃないかな?


「キミの事、スバルって呼ぶね」

「なぁぉ」

「しょーがないでしょ。キミの名前は知らないし、雄か雌かも分かんないんだから」


 別に、良い名前だよね?

 不満言われても、他にはタマとかミケとかしか出てこないから、これで決定。


「よろしく、スバル」

「なぁう」


 側を歩くスバルを心強く思えるわけだし、ちょっとだけ探索って言うかこの辺りを歩いてみようかな。

 まぁそうは言っても、この場所からあんまり離れない方がいいのかもしれないけど……。

 ビス戻ってくるの待たなくちゃだし。

 さらさらとする砂浜を靴で歩くのはキツイなぁ……。

 ま、地球じゃありえない位の透明さと綺麗さだから別に良いけど。

 ほら、東京湾と比べてみなよ! ここがフツーの水だったら、あれは汚水だ。

 ウフフアハハの南国リゾート地的な場所って言えばもっと分かりやすいかも。


「にしても、ここどこだろ。スバルは分かる?」

「にゃぁお」


 て、分かるんだ。

 スバルは跳ねるような足取りって言っていいの? まぁそれであたしの先を進んだ。

 けど、猫のくせに……いや、猫だからこそ早いんだってば!


「ちょ、ちょっと速い! もうちょっとゆっくり歩いてよ!」


 そう言ったら、スバルはちょっと先で待つようになった。

 それはそれでかなり腹立たしい事だけど。


「なぁぅ」


 その声が「何やってんだ? 早く来なよ。おっそいなぁ」とでも言ってるみたいで、やっぱりむかつく。

 ま、それでも、歩くしかないんだけどね。




ごめんなさい。

彼女の視点はまだ続くのですが、あんまりにも長くなり過ぎそうなのでここで切ります。


次も彼女視点です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ