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異世界×あたし  作者: 葉山
【第一章】こんにちは、異世界
21/71

01.無意識と無自覚ほど性質の悪いものはない【Side彼女】

にゃー


「何で、猫がここにいるの?」

「さぁ? 関係あるからじゃねぇの?」


にゃっ


「あ、逃げやがった」

「……本当に、関係あるのかな、あれ?」


にゃぁぅっ






【第四節】無意識と無自覚ほど性質の悪いものはない







「あれが合図ぅ!?」


 今の状況を簡単に説明すると、中島みゆきのヒット曲、銀の龍の背に乗って。

 曲名通りな状態。そんな状況で約一時間弱。

 慣れたよ。

 あんなにギャーギャー言ってたのがうそみたいな位フツーになりました。はい。


「そ。契約しましたって、伝える為の合図」


 そして意外な事が判明。

 あの黒板を引っ掻くような音が合図だって! 信じられる!?

 地球じゃ考えられない事だよね?

 日本国民……いや、地球人のほとんどが倒れちゃうってば。


「どうしてアズラスさんがあんなに近くに居たのに、そんな事しなくちゃいけないの?」

「アズラスだけじゃねぇよ。あとは……、うちに居る兄貴とか?」

「え、お兄さん居るの?」

「おう。この顔そっくりの双子の片割れ」


 兄弟がいるだけでもビックリなのに、双子だって!

 うわわっ、双子の美形なんて漫画の中だけの設定かと思ってたのに、こんな偶然ってあるんだ! ありがとう異世界!

 ……性格まで同じじゃないといいな。


「ちょっと会ってみたいかも……」

「そーかぁ? あいつなんかに会ったって疲れるだけだぞ、マヂで。同じ見た目でも、俺はあんなに腹黒くはなれねぇし」


 お兄さん腹黒なんですか。お馬鹿さんなビスとは大違いみたい。

 ちなみに、ビスは今風圧の関係上フードは被ってない。つまり、後ろを振り向けば美形の男がいるってことで……。

 あの性格を知らなかったら、あたしは絶対惚れてた。

 いや、外見だけはいいから、今でも心臓はバクバクいってるんだけどね。


「ところで、後どれくらいでビスん家に着くの?」

「もうちょいじゃね?」

「漠然としすぎだよ。もうちょっと具体的に」

「だって分かんねぇもん。周りは全部蒼い空。白い雲。下は広大な碧い海だぜ? 分かった方がすげぇよ」


 はぁぁー…。

 まぁ、そうだよね。

 初対面のときと同じような答えしか言ってこないのは、なんとなく分かってたし。

 意識してる自分が情けなくなってきても、勝手に早くなる動機はどうしようもないんだけどね。


「アズラスさんは分かります?」

「ぎゃぉぅ……」


 いや、鳴かれても困るんですけど……。


「アズラスは人の形とらねぇと話せねぇからな」

「そーゆーのは先に言ってよね」


 がっくりと肩を落とす。

 いや、別にいいんだけどね。

 気を取り直して、ビスに改めて聞いてみる。


「ねぇ、ビスん家に地球への帰り道が書いてある本とかって、本当にあるの?」

「あるんじゃねぇの? うちの蔵庫はなぜか無駄にでっかいし」

「どんだけでかいのよ?」

「んーっと……龍舎がすっぽり入るくらい……だった気がする」

「……分かんないって」


 そもそも龍舎って何? 馬小屋の龍Ver.みたいな?

 自分の想像の中だけなんだけど……でかいなぁ。

 女子高生やっている間に帰れるかなぁ……。


「ある事を願うしかない、か」

「まぁ、気楽に考えろよ。難しく考えても解決口が見える訳じゃないしな」

「……なんか、非協力的ねぇ」


 まぁ、そりゃそーか。

 あたしとしては早く帰りたくて仕方がないんだけど、こいつにとってはようやく見つけた契約者だもんねぇ。

 なんだか可哀そうだけど、同情はしないから。自分のことで手一杯だし。


「あーぁ、何時帰れるんだろ」


 思わず呟いたその声が、すぐ後ろにいるビスの耳にも届いたらしく、何だか気まずそうにしている感じが良く伝わってくる。

 気にしなくていいから、って言おうとした時、聞き捨てがたい呟きを拾った。


「……確か、どっかでディーと同じ境遇の話を聞いた事あったような気がしたんだけど……」

「マジで!?」


 空耳だろうがなんだろうが、反応しないわけにはいかないでしょ?

 あたしは勢いよく立ち上がってビスの肩をつかんだ。

 だって嬉しかったんだもん。

 何の手がかりもなかったからさ。

 この時の浮かれ具合は自分でも浮かれすぎじゃない? と思える位だった。


 そう。ここがドラゴンの背だと言うことも忘れるほどに……。


「あ、おいっ!」


 しまったぁ! と思った時には、あたしはビスと一緒に空中に身を踊らせていた。


「え」


 そして、またあの落ちる嫌な感覚を味わう事となるのだった。


「マジでぇぇぇぇ!?」

「う、うわぁぁぁ!!」

「ぎゃおぉぅ!?」


 焦ったようなアズラスさんの鳴き声を最後に、あたしは意識を手放した。

 最近こんなんばっか、とは思ったけど……。



サブタイトル長いですね!

今更ですが、変えるつもりはありません。


……ちょっと疑問なのですが、今回アーティスト名と曲名出してしまいましたが、これって大丈夫なのかな、と。

アウトだったら、表現方法を変えます。



あと、さくっと手軽に読めるように話し言葉で書いているので“マヂ”と“マジ”が混ざってますね。暇を見つけて直します、余裕があれば。

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