新生 鳳月飛鳥! 爆誕ですわッー!!!!
結局、渡会君は退学にはなりませんでしたわ。わたくしの命の恩人ですもの、当前ですわ。
そうそう、その代わりに神宮寺愛虎さんとの婚約は解消されましたわ。彼が私の為になんの行動もとらなかったこと、そのことがお父様のお耳に入ってしまいましので。
おまけに愛虎さんの学園での横暴な振る舞いも明るみとなり、鳳月家と関係のあるグループ全てが神宮寺家から手を引いたため、神宮寺グループの株価は暴落。
愛虎さんも今までのような大きい顔はできないでしょう。
それにしても、あの白い空間での出来事は全て夢、だったのかしら?
渡会君との会話は全てわたくしの中だけのもの?
渡会君のわたくしを見つめた真っ直ぐな瞳は妄想?
足のネイルを、容姿を褒めてくださった言葉は?
わたくしを守ってくださったことは?
夢の中の渡会君は、どこまでが本当の渡会君なのかしら?
ふふ、少なくとも守ってくれたのは本当ですわね。
必ず助けるから! 僕を信じて!
凛々しい渡会君の表情が、脳裏を駆け巡ります。実際に目覚めた時の渡会くんはボロボロ泣いていましたけど、ひょっとしたらわたくしを助けてくれていた時、あの顔をしていたのかしら。
だとしたら、見てみたかったですわね。
「渡会君、わたくしは貴方のことが、す……。いやあぁぁん、ですわぁー!!」
そこまで口にして燃えるような顔の熱さに、一人顔を覆い悶絶。
ソッと指を添えた唇に渡会くんを馳せて……。
「はあ、はあ、渡会くん……」
だ、駄目ですわ。渡会君がわたくしの中で大きくなりすぎて……。か、体がゾクゾクと……。
夢の中で渡会君に褒めていただいた、浅葱色のネイルを見つめる。
まじまじと見つめられていたと思うと恥ずかしいですわー! じ、実際にも、褒めてくださるかしら……?
スマホを開きインカメラを起動。わたくしの美顔……美顔という言葉は禁句にしましょう。美しい顔を見つめますわ。
渡会君に褒めていただいた髪、目、肌と頬、唇……もはや顔全部ですわね。
こちらの方も……同じように仰っていただけるかしら?
いいえ! わたくしらしくもない! 絶対に言わせて見せますわ! 仰っていただけるに違いありませんわ!
「うん! 次は絶対に直接、渡会君の口からお褒めの言葉を頂戴致しますわー!!」
腰掛けていたベッドから立ち上がり、決意表明。
昨日までのわたくしとは、もう違う。
定められていた人生の箱から解き放たれた気分ですわ。
これも渡会君のおかげ、ですわね。
鳳月飛鳥、なりたい自分に一歩前進ですわー!!