表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/62

古薔薇の憂鬱

深夜の邸に灯は少ない。


数少ないあかりの灯る部屋の一室に一組の主従がテーブルに対面で座りお茶を楽しんでおりました。


上下関係の厳しいこの世界で主人の前でお茶が出来るのはよっぽど豪胆な者か気心のしれた腹心のどちらかでしょう。そして彼女は後者でした。


この邸に来て30数年、この主人に仕えては50年は超えております。


「それで、あの子の様子はどうでしたか?」

主人は老齢の腹心に訊ねます。

「少しばかり気落ちされていましたよ。お可哀想に。」

老侍女の声には非難の色が浮かんでいます。


「そう言う事ではなく資質の話です。」

わかっていますよと言わんばかりに「勿論お有りですよ。だからこそ試されているのでしょう?」とお茶のおかわりを注ぐ。


「器量よく、機転も効き、教養もあのお年では優秀すぎるくらいです。心根もお優しくあります。血筋が難点とはなりましょうが、あの聡明さと聖力の強さ、色を見ても候補には上がってくる事でしょう。」


「そう…今から覚悟をしなければならないわね…」


エメンタール領領主館の一室で前伯爵夫人フランチェスカは大きな溜息をついた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ