なんかめっちゃ同情された件
書き溜め
「まず、貴方は過労による心臓麻痺で亡くなりました。ここでは貴方の生前の活動に対する精算を行うのです、過不足があれば…天国か…地獄と言いましょうか。」
待てよ、俺やっぱりあれ死んでたのか。
そんな事を考えたが、案外すんなり受け容れられた。
つまらない人生、遠くに住んだ肉親が亡くなる可能性、人間関係、疲れていたのだ。
これで不安から解放されて楽になれるならそれでいいと思った。
俺が自分の死を噛み砕いている間に、男は淡々と履歴書の様な物をバインダーを何処からか取り出し確認している。
妙に顔を顰めているのが気になるが、地獄だろうが天国だろうが、俺はもう受け入れるしかないのだ。
ふと、男が口を開いた。
「流石に毎日16時間以上働き続けてきた方ですね、肝が据わっておられる。」
俺がなんでも受け入れると思った事を見透かしていた。
続けて男は言う。
「貴方が働いていた時間は高校卒業直後から30歳までの凡そ12年間、厳密に計算すると36240時間の時間外労働を確認致しました。」
そんなに働いていたのか、俺は。
感性に浸る余韻もなく、男は淡々と説明を続けた。
「そして内11520時間を、休日出勤として35%増で計算し、残りの24720時間を時間外労働として25%増で計算します。」
「誠司様の労働時の実績から1時間当たりの経験値効率を、43000と設定し計算した結果…カンスト上限に達しましたので、残経験値をスキルptとして付与致します。遅延延滞金代わりとなりますが、誠司様はあまりに単位が膨大でしたので、特別措置として特殊なスキルツリーを付与させて頂きました。」
「誠司様の転生先は我々の上司に当たる上位存在のご意向により、こちらで決めさせて頂いております、悪い様には致しませんのでご安心ください。」
そう言うと男は軽く笑いながら会釈した。
スキルツリー?経験値?何を言っているのかわからなかったが、また俺は転生するらしい、正直生きたくないと思った。
つまらない毎日を送っていた俺が、こんな光景を目にするまでは……
つかれました