なにする?
「せっかくだしこれからどっか行くか?」
腕の治療も終わり、パーティー申請をして正式に組んだところでウィルが言った。
「戦場!」
「ボコボコにされたばっかりだろ。大人しくレベ上げしとけ」
「うん」
「意外に素直だよな」
意外とはなんだ意外とは。
「てか、お前今レベルいくつだ?」
「ア?始めたばっかだから1レベ…あ!」
違うわ!!さっきコボルト倒したからレベル上がってんのか!!!
「確認してなかったのか…」
「腕治すの優先して忘れてた」
「なるほど」
そんじゃさっそくステータス確認っと…
────────
プレイヤーネーム:ガレット
レベル:12
メインジョブ:ストライカー
サブジョブ:ソーサラー
────────
…
…?
???
「なぁ、何かめっちゃ上がってんだけど、バグ?」
「ア?いや、順当だろ」
「いくら低レベルだからってこの上がり幅は異常だろ」
「魔族は対立種族を倒す以外にも、自分の種族に応じた行動をすることでもレベルが上がるんだよ。悪魔なら悪いこと全般な。そういう意味では強盗したお前は正しいわけだが…知らずにやってたのか?」
そんな仕様あったんだぁ…
「知らなかったのかよ」
「早くやりたすぎてあんま情報見てない」
「その気持ちは分かるが…。あーっと、小時代は経験値率が高いんだよ。総じて雑魚だから普通は戦闘でレベ上げしないしな。…まぁ、お前は何でか勝ってるけど…」
つまり俺が天才…ってワケか。
「そんだけ上がってりゃ新しくスキルも取れるだろ。やってみ」
わーい、色々取ろ。
まずはステータス底上げ系のやつ…特に攻撃力な!これが一番大事。早く骨を粉砕できるレベルになりたいなぁ…それと回避とかバックステップとかそういう系も…
あと、反省も活かして魔法系も多めに取っとこう。火属性とか雷属性とかは馴染み深いしこれにしよ。
「できた!」
「お、どんな感じになった?…ってウワ、見事なまでに戦闘スキル一色だな。それにお前、契約系のスキル一つも取らなかったのかよ…」
契約…系…??
「己の格を上げていって、一方的に相手を縛るのがこのゲームでの悪魔の定石だぞ?」
「何でそんな回りくどいんだよ」
「悪魔と言えば契約だろ?」
「悪魔と言えば暴力じゃ…?」
「野蛮すぎるだろお前」
だって魔界住みの悪魔って大体そんな感じだし…破壊が大好きだから文明がねぇんだよな。
「むしろこの国が国として成立してるのにびっくりしてる」
「マァ、この国の王族NPCが一番強いから、誰も逆らおうとしねぇし」
マフィア国家じゃねぇか。
「暗殺画策してるヤツらもいるらしいけどな」
「治安終わっててウケる」
「そういう国なんだよ」
マァ国がある分、魔界よりマシか。
「そういや定石がどうとか言ってたけど、そんな悪魔いんの?」
「結構いるぞ。有名なプレイヤーが何人かいるのと…NPCには約定の悪魔ってのがいるらしいな。知らんけど」
他の悪魔のことも知っておきてぇな。
「それって会いに行けるもん?」
「NPC関連はシガーが詳しいぞ」
「だれ?」
「あー、でっかい蛇のやつ」
串刺し三人衆の一人か。
「じゃ、そいつに聞いて行こ」
「了解」