飲めや歌えやの宴席で
「ふはっ」
あー、楽しかった。
死体の山はすでに消え去り、キラキラしたエフェクトとドロップアイテムを残すのみになっている。
てか、今さら【宣告】分のステータス上昇が加算されてるわ。そういや実行してからステ上昇なら皆殺しを【宣告】する意味ないな。調子に乗りすぎたかも。
「お疲れ~」
「派手にやったなぁ、お前」
ハイになってたのが落ち着いて敵の本陣でまったりしてたら、ばうとウィルが合流してきた。
「お前ら自陣の方にいたんじゃねぇの?」
「もう終わったかな~と思って。こっから自陣に戻るのめんどいでしょ?背中乗せたげるよ」
「わーい」
喜んで駆け寄ったら何かに引っ掛かってスッ転んだ。オイ、ちょっと恥ずかしいだろ。
足に掛かったのは鎖、鎖の先には三人の女、捕らえられてる長耳のド美形…創作物的なイメージで言うと…
「これエルフで合ってる?」
「合ってるよ」
「なんのなに?」
「あー、捕虜兼奴隷かな?エルフはヒューマニティ側だし」
「ココ族はヒューマニティと結託してんじゃねぇの?」
「あー、そこはヒューマニティ側も一枚岩じゃないというか、魔族っぽい特徴を持つヒューマニティを排斥する思想もあったりとか…マァそれよりも何よりも、豚鬼は種族全体でエルフと特に敵対してるんだよね」
「戦利品としてミマに持ち帰った方が良いか?」
「別に好きにして良いんじゃない?」
じゃあ経験値にするかぁ。
「【宣誓】、汝はこれより死す」
一人殺して、上昇したSTRでもう二人も殴り殺す。うん、多分こういう使い方が正しいんだな。
「お前マジか…」
「え、なんかマズかった?」
「いやお前が良いなら良いけど…NPCのエルフってレアキャラだから普通は是が非でも交流持ちたがるモンだけどなぁ…」
つってもヒューマニティにゃ興味ねぇんだよなぁ。
「そんなことより帰ろ帰ろ」
「早く帰ろ、お家へ帰ろ」
「おいしいおやつもほかほかごはんもねぇけどな」
※ ※ ※
「ばう殿、並びに御友人殿!此度は誠に助かりました!ささやかではありますが、皆様への感謝を込めて宴を用意いたしました」
でっぷりと肥えた豚鬼が俺たちにへりくだってくる。
『ばう:言っとくとこれが族長ね。相談役してる私は対等、今回の件で格上ってとこかな』
なるほど、俺らは一応ミマ族を救った扱いされてるから丁重にもてなされてるってわけか。殺したかっただけなんだけどな。にしても、なぜわざわざチャットに?
『ばう:肥え太るしか能のない豚だから、私が取り入るのも楽だったよ~✌️』
チャットにした理由が分かった。
「ありがとうございます。楽しませていただきますね」
チャットの毒舌をおくびにも出さずにこやかにお礼を言う。大した役者だぜ。
「にしてもあったな。おいしいおやつとほかほかごはん」
床一面に肉や魚や酒がずらりと並び、豚鬼たちが思い思いに座って宴を楽しんでいる。こういう雰囲気良いなぁ。悪魔の宴とかも見るの好きなんだよ俺。マァその後滅するけど。
「ここ空いてるよ。座ろ座ろ~」
「お、ありがとう」
「美味いぞこれ」
もう食ってんのかよ。ほっぺたパンパンじゃねぇか。
「ウィルがこういうのでがっつくのなんか意外だわ」
「飯は食えるときに食わないと…」
お前の人生に何があったんだ。
「ねぇねぇ、リプレイ見ようよ!」
「リプレイ?」
「戦闘とか特殊な会話イベントとかは後から見返せるようになってるの。特にお気に入りのヤツは保存したりもできるよ」
へー、そんな機能が。ほぼ無知のままこのゲームに飛び込んだから知らないこといっぱいだな。
「ガレット君がどんなバトり方するか気になる~!」
「結構普通だぞ」
再生ボタンポチー。
以下、視聴後の二人の反応。
「お前の笑顔邪悪すぎるだろ。悪魔か?…悪魔だったわ」
「そう?すっごいピュアでキラキラしてるように見えるけど」
「この惨状見てから言え」
二人ともすっごい褒めてくれるなぁ。
「ここにいたか、ガレット」
「ハルドゥ!」
生きてたんだな。
「ほら、約束だ。酒飲め酒。屍の上じゃなくて残念だがな」
「む、かたじけない。ガレットも飲め」
「ありがとう」
ドロップした豚鬼の頭蓋骨をテキトーに割って盃にする。ヤ、俺がやり出したことじゃなくて。ミマ族が当然のようにココ族を食器として使い出したからそういうもんなのかなって。ほら、あっちじゃ腕の骨?をトング代わりに使ってるし。
「ガレットの戦いぶりは武人として見事と言う他なく、ウィル殿の回復で多くの同胞の命が助かった。ばう殿も作戦立案や指揮などで力になってくれた。貴殿らの活躍は素晴らしかった。改めて礼を言う」
「私は族長からちゃんと報酬もらってるし、その分仕事しただけだよ」
「俺は色んなヤツと話すのを楽しんでただけだしなぁ。友達も増えたし、色んなヤツに感謝されんのも面白かった」
「俺も楽しんでただけっちゃだけだし。ア!ヒューマニティ、特にヒトと戦うときは呼べよな!俺ヒトを殺すのが夢なんだよ!」
「あぁ、必ず。また共に戦おう」
骨の盃をコンッと鳴らして、乾杯した。




