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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕の帰り道

作者: かなちょろ

ちょっと早めの夏ホラー用です。

短編で簡単に読めるようにしました。

怖さは無いです。


 僕の名前は【異世間 海斗(いせま かいと)】12歳だ。

 僕達は修学旅行でホテルに泊まっている。


「海斗、お前いすずちゃんが好きだろ?」

 修学旅行の夜、4人部屋の布団で話す、誰が好きとかの恋バナ。

 男子は女子のようにはならず、経緯とかは無しで直ぐに答えを聞いてくる。


「前にも話したじゃん」

「俺は聞いてないよ」

 僕の親友の鈴木 真智雄(すずき まちお)はそう言ってくる。

 前に話さなかったっけ?

「やっぱり時遠 五十鈴(ときとお いすず)が好きなんだろ? 可愛いからな」

「俺はね〜……」

 そんな話しで盛り上がる。


 そして寝静まったその夜、トイレに行くために部屋を出て歩いていると、五十鈴の姿があった。


「五十鈴?」

「きゃ!」

 僕が不意に声をかけたので、驚いてしまったようだ。


「ごめんごめん、どうしたのこんな夜に?」

「うん……、ちょっと眠れなくて……」

 トイレを済ませた僕は待っていた五十鈴と廊下の端にある椅子に座って話し始めた。


「━━━それで、真智雄がさ……」

 特に話題も無いので、今日あった出来事を五十鈴に話した。

 でも五十鈴は何か考え事をしている様子で話しを聞いて無さそうだ。

「そろそろ戻ろうか?」

 僕が切り出すと、五十鈴が口を開く。

「海斗くん、あのね……、話したい事があるの」

 その言葉に僕はドキッとする。

 もしかして……、告白!?


「海斗くんは前の事覚えてる?」

「前?」

「修学旅行の帰りの事」

 修学旅行の帰り? 帰りは明日だから5年生の時のことかな?

「う〜ん……、少しはね」

「ほんと! ならバスの事も?」

 バスで何かあったかな? 美希がバス酔いして気分悪くなった位だよな?

「確か美希がバス酔いしてバスが遅れた事?」

「美希ちゃんの事は去年でしょ! 私は明日の事を聞いてるの!?」

「明日って……?」

「ううん……、やっぱいい。 なんでも無い。 ……もう部屋に帰ろ」

「そ、そうだね」

 僕はこの時の五十鈴の言葉が気にはなったが、楽しい修学旅行の気分で寝たら忘れてしまっていた。


「全員揃ってますかー?」

 点呼を取る先生の声が響き渡る。

 今日で楽しかった修学旅行も終わり、後はバスで帰るだけだ。

 バスに乗る時、五十鈴がこっちをチラッと見たような気がした。


 そして……、山道をグネグネと降り、トンネルを出た所で僕達のバスは崖から転落した……。




「海斗、お前いすずちゃんが好きだろ?」

 修学旅行の夜、4人部屋の布団で話す、誰が好きとかの恋バナ。

 男子は女子のようにはならず、経緯とかは無しで直ぐに答えを聞いてくる。


「前にも話したじゃん」

「俺は聞いてないよ」

 僕の親友の鈴木 真智雄(すずき まちお)はそう言ってくる。

 前に話さなかったっけ?

「やっぱり時遠 五十鈴(ときとお いすず)が好きなんだろ? 可愛いからな」

「俺はね〜……」

 そんな話しで盛り上がる。

 話しも一通り済んだ所で、皆んな眠くなり僕も寝る。

 

 ガバッ!!


 僕は布団を勢い良く剥がし、汗だくになりながら飛び起きた。

「……ん? 海斗どうしたんだ?」

 隣で寝ていた真智雄が飛び起きた僕に気がつき聞いてきた。

「いや、何でもない。 ちょっとトイレ」

 何か嫌な夢を見た感じだ。


 トイレから部屋に戻ろうとすると五十鈴がいる。

「五十鈴どした?」

「きゃ!」

 肩をぽんっと叩いて呼び止めたのがいけなかったのか、五十鈴をびっくりさせてしまった。


「海斗くん、ちょっと話し良い?」

「良いよ」

 僕らはそばにあった椅子に座ると五十鈴が話し始めた。


「海斗くんは明日の事覚えてる?」

「明日? 修学旅行最後の日?」

「そう」

「明日は帰るだけだからな……、あ、五十鈴もしかして帰っちゃうのが寂しい?」

「そうじゃないの……、覚えて無いならそれで良いよ」

「そう? そろそろ部屋に戻ろうか?」

「そうだね」

 僕と五十鈴は部屋に戻り、修学旅行最後の日を迎えた。


「点呼取りますよ〜、並んでくださーい」

 先生の声が響き渡る。

 皆んながバスに乗り込むと、バスは発進した。


 そして、トンネルを抜けた先のカーブでバスは崖から転落した。



「海斗、お前五十鈴の事どう思ってるんだ?」

「好きだよ」

「なら親友の俺に教えとけよー」

「前に話さなかったっけ?」

「聞いてないぞ」

「それは悪い」

「3人はどうなんだ? 誰が好きかちゃんと教えてよ」

「俺はね〜……」

「僕はね〜……」

「俺は帰ったら話すよ」

「ずるいぞ! 今話せよ!」

 そんな感じでお互いの好きな子の話しをしたり、ゲームの話しで盛り上がった後、眠りについた。



 ガバッ!!


 体をビクンと振るわせ、目が覚める。

 なんだ? なにか夢を見ていたような……?

 目が覚めたので、そおっと部屋を出る。

 静まり返った夜のホテルはなんとも言えない雰囲気があるように感じる。


「海斗くん」

「うわっ!」

 急に声をかけられて変な声が出た。

「五十鈴? どうしたんだ?」

「ん、ちょっとね……、海斗くんは?」

「なんだか嫌な夢を見てさ」

「それって! バスのこと!?」

「いや、覚えていないんだ……ごめん」

「ううん、いいの……、それじゃ、おやすみ」

 五十鈴は先に部屋に戻ると僕1人となる。

 なんだか五十鈴変だったな?

 五十鈴の様子も気になったが、僕も部屋に戻って眠る事にした。


 帰りのバスに乗る為に並んでいると、バスの運転手が声をかけて来た。

「きみは……、知っているのかい?」

 帽子を深く被っている運転手は無表情で話しかけて来た。

「な、なにをですか?」

 なんのことを聞いているのかわからなかったので、聞いてみた。

「そう……」

 無表情のバスの運転手は何も言わないままバスに乗り込んで行った。

 なんだあの運転手、キミが悪い。


 発射したバスは山道をグネグネと降りて行き、トンネルに入った。

 意外と長いトンネルで、薄暗い景色が続く。

 その時、何か脳裏にうっすらと記憶が蘇ってくる。

 これはフラッシュバック?


 明るいトンネルの出口に差し掛かると、僕は昨日までの事を、いや、今日これからの事を思い出した。


 運転手に聞こえるように大きな声で話そうと、口を開いた時、バスは宙を舞い、ものすごい衝撃と轟音を立てて崖から落ちていく様子が割れた窓から見えた。



 ガバッ!


「ハァハァ……、なんだ……? 何かがおかしい……?」

 バスの中がグルグルと回り、僕も皆んなも席から投げ出され、宙を舞う。

 そんな夢を見た。

 同じ夢をつい最近見たような気もする。

 隣で寝ている真智雄にも毎回同じ質問されているのもモヤモヤする。

 もしかして部屋を出ると五十鈴がいたりするのだろうか?

 僕は恐る恐る部屋の扉を開け、ホテルの廊下に出る。


 いた! 五十鈴だ!

 まるで誰かを待っているように廊下をウロウロとしている。


「五十鈴」

「あ、海斗くん」

 五十鈴を驚かさないように、少し離れた所から声をかけてみた。


「なぁ、五十鈴に聞いてみたい事があるんだけど」

「なに?」

「明日の事って覚えてるか?」

「!! 海斗くんも覚えてるの!?」

「五十鈴もか! 帰りのバスで」

「トンネルを抜けた先で」

「「崖から落ちる」」

 あれは夢じゃ無かったのか?

 いや、これから起きる事だから予知夢ってやつか?


「五十鈴、どうすればいいと思う?」

「わからないよ」

「でも、2人共同じ予知夢を見るなんて絶対これから起こる事だよな?」

「予知夢じゃ無いと思うの。 私達、修学旅行の最後を繰り返してるのよ」

「そんな馬鹿な事が……」

 バスが落ちる衝撃と皆んなの悲鳴、生々しい夢だったけどまさかな。


「繰り返してるなら何度目なんだ?」

「わからないわ。 私が気が付いたのは8回程なの。 だけど繰り返しているのはもっとなんじゃ無いかしら」

「そんな……」

 椅子に座って話していると少し思い出した事がある。


「そうだ! バスの運転手! あの人何か知ってそうだった!」

「あの薄気味悪い人?」

「そう、何となく覚えているけど、僕に話しかけて来た事があったと思う」

「ほんと! それなら運転手さんに話してみれば何か変わるかも知れないわ!」

「明日早めにバスの所へ行って話してみよう!」

「わかった」

 明日五十鈴と2人でバスの運転手に話しに行く事になった。


「海斗くんおはよう」

「おはよう五十鈴、早速行こう」

「うん」

帰り支度を早々に終わらせて、五十鈴と約束していたバスが止まっている所に行く。


「いた!」

「運転手さんだ!」

 僕らは意を決して運転手さんに話しをした。


「何を言っているんだい?」

 帽子を深く被り、表情を変えない運転手さんはやはり不気味に見える。

「だから、帰りの道で、バスが崖から落ちて皆んな死んじゃうんです!」

「私達は何度も体験しているはずなんです!」

「困った子達だなぁ……、夢のことでもそんな事言っちゃダメだよ……」

「夢じゃないんです!」

 五十鈴は僕よりも繰り返している為か、必死になって運転手に話している。

「それじゃ……君達は別のバスにのるかい?」

「そうか! その手があった!」

「それじゃ皆んなが……」

「でも、これで何かが変わるかも知れないじゃないか!」

 やってみる価値はあるかも知れない。


 そして点呼が終わり、皆んながバスに乗る時、運転手さんから説明があり、僕と五十鈴は別のバスに乗せてもらう事が出来た。


 山道をグネグネと曲がり、トンネルへ差し掛かった時、五十鈴は祈るように「ママ、パパ」と呟いていた。


 長めのトンネルも半分まで来た。

 特に何事も無い。

 これで大丈夫だ。

 そう確信した。


 明るいトンネルの出口が見え、トンネルを抜けると僕と五十鈴は()()()()()()()()()の席に座っていた。

 そこからはわかっている。

 宙を舞うバス、投げ出される僕達、割れる窓ガラス……。


 そして、またホテルでの会話が始まる。


「私達もう帰れないのかな? ……グス……ママ、パパ……」

 五十鈴は僕よりも繰り返しているせいもあるのだろう、椅子に座って泣き出してしまった。

「明日はもっと違う事をやってみるよ! バスの中で暴れれば何か変わるかも知れないし!」

「無理よ! バスを変えたって結果は同じだったじゃ無い!!」

「なら、バスを出発させなきゃ良い。 明日僕が隠れてバスを出発させないようにするよ!」

「出発しなきゃ、事故る事はない……、そうか、そうよね! 私も隠れるの手伝うわ!」

 そして僕達はかくれんぼ作戦を実行することを決めた。


 次の日、僕達は帰りの支度もせずに、ホテルに隠れる事にした。

 トイレとかじゃ直ぐ見つかるかと思い、ホテルの一室、布団が沢山置いてある場所を見つけ、2人で隠れた。

 

「そろそろ点呼が始まる時間ね」

「このままここにいよう」

 体育座りで布団の影に隠れ、コソコソと喋っている。

 外では点呼が始まったようだ。


「かいとく〜ん……、いすずちゃ〜ん……、どこにいるの〜……」

 先生がゆったりとした口調で探しに来たようだ。

 僕達は口を紡ぎ、手を繋いで小さい体を更に小さくして隠れた。

 先生が部屋の前まで来た足音がする。

 部屋の前でピタッと足音が止まると、扉を開け、中に入って来る。


「み〜つけた……」

 布団の上から先生は顔を出し、僕達はみつかり、連れ出されてしまった。

 先生の手を引き剥がそうとするが、凄い力で離せない。

 バスまで連れて来られると皆んなは真っ直ぐに前を向いて席に座っている。

 先生に腕を引っ張られ、バスに乗せられそうになった時、緩んだ先生の腕から僕は五十鈴を突き飛ばした。

「逃げろ!!」

 五十鈴は走った。

 僕を掴んでいた先生は五十鈴を追いかけた。

 僕もまた逃げ出した。

 山道を突っ切って走って下って逃げた。

 そして僕はトンネルの前の崖から転落した……。



 何か機械の音がする……。

 僕はどうなったんだ……?

 五十鈴は逃げ切れたのだろうか?

 なんだろう……、声が聞こえる……。


 目を覚ますとそこは知らない天井。

 口元には酸素が送られているマスク、腕には何本かのチューブが刺さっている。

 僕が目覚めたのは病院だった……。

 僕は病院で2年程眠っていたらしい。

 修学旅行の後、バスが崖から転落して助かったのは僕と五十鈴の2人だけだった。

 五十鈴もつい最近目を覚ましたらしい。

 あの悪夢から抜け出せたのだ。

 僕が目を覚ました事を聞いた五十鈴がお見舞いに他の病室から駆けつけてくれて、一緒に涙を流した。



 あれから10年、僕達はお互い付き合う事となり、車で事故があったホテルへ行く事にした。

 親友だった真智雄に花も手向けたかったからな。


 トンネルを抜け、忘れる事が出来ないホテルへ。

 そのホテルは既に廃墟となっていた。


「ここで、何度もくりかえしたんだよな」

「そうね、最初は私の言う事なかなか聞いてもらえなかったし」

「そりゃそうだろ〜」

 廃墟となり、閉鎖されているホテルの入口に花を手向けた。

「さあ、帰ろう」

「そうね、後はトンネルを抜けた崖に手向けて帰りましょ」


 少し長めのトンネルに入る。

 後ろから修学旅行生だろうか? 大きな観光バスがついて来ている。

 観光バスは速度を上げ、僕の車にぶつかるっ! と思ったらそのまますり抜けて行った。

 そしてトンネルの出口に差し掛かる時、車のガラスに赤い手形が沢山付き、車の視界を遮った。

 僕と五十鈴の耳元にはこんな声が響き渡る。


       【か・え・さ・な・い・よ】

ちょっとでも楽しめましたでしょうか?

楽しめた方は、起きた時に今日と言う日を確認してみては如何でしょうか。

同じ事をしているかも知れませんよ……。

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